離散幾何学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 17:14 UTC 版)
離散幾何学(りさんきかがく、英: discrete geometry)または組合せ幾何学(くみあわせきかがく、英: combinatorial geometry)とは、離散的な幾何的対象についての組合せ的な性質および構成手法について研究する幾何学の一分野である。離散幾何学のほとんどの問題は点、直線、平面、円、球面、多角形などの基本的な幾何的対象の有限または離散的な集合にまつわるものであり、この主題ではそれらが「どのように交叉するか」や「どのようにより大きな対象を被覆しうるのか」といった組合せ的な性質に焦点を当てる。
離散幾何学は凸幾何学や計算幾何学と多くを共有するほか、有限幾何学、組合せ最適化、デジタル幾何学、差分幾何学、幾何的グラフ理論、トーリック幾何学、組合せ位相幾何学とも近い関係にある。
歴史
多面体や図形の敷き詰めはケプラーやコーシーのような人々によって長きにわたって研究されてきたが、現代的な離散幾何学の起源は19世紀後半である。初期に研究されたテーマはテューによる円充填の密度や、レイとシュタイニッツによる射影配置、ミンコフスキーによる数の幾何学、そして、テイト、ヒーウッド、ハドウィガーによる地図の彩色だった。
ラースロー・フェイェス・トート、H・S・M・コクセター、ポール・エルデシュが離散幾何学の基礎を築いた[1][2][3]。
トピック
多面体とポリトープ
ポリトープ(超多面体)は平坦な縁を持つ幾何的対象である。これは任意の一般の次元数について存在する。多角形は2次元、多面体は3次元、多胞体は4次元のポリトープである。一部の理論ではこの概念がさらに一般化され、非有界な多面体(無限胞体や図形の敷き詰め)や抽象多面体のような対象までもが含まれる。
離散幾何学においてポリトープを研究する切り口のいくつかを以下に挙げる。
充填、被覆、敷き詰め
充填、被覆、そして敷き詰めは、いずれも一定の対象(典型的には円、球、タイル)をある規則にしたがって曲面や多様体上に配置する方法である。
球充填はある格納空間の中での互いに重なり合うことのない球の配置である。球は全て同一の大きさであるものと考え、空間は3次元ユークリッド空間であることが普通であるが、異なる球や一般の次元のユークリッド空間(2次元なら円充填、高次元では超球充填)、あるいは双曲空間のような非ユークリッド空間を考慮するように充填問題を一般化することもできる。
平面の敷き詰めとは、重なったり隙間ができたりしないように、タイルと呼ばれる単一または複数の幾何的図形を平面に貼ることである。これも高次元に一般化される。
この領域の具体的なトピックには以下が含まれる。
構造の剛性と柔軟性
構造剛性はリンク機構やヒンジのような関節で連結された剛体の複合物の可動性について説明する組合せ的な理論である。
この領域のトピックには以下が含まれる。
- コーシーの定理
- フレキシブル多面体
接続構造
接続構造は、その公理的定義に見出せるように、(アフィン、射影、メビウスなどの)平面を一般化する。接続構造はそれらの高次元のものについても一般化するものであり、有限の構造は時に有限幾何と呼ばれる。
形式的には、接続構造とは3つ組