進化過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 08:32 UTC 版)
「オルトコロナウイルス亜科」の記事における「進化過程」の解説
すべてのコロナウイルス(=オルトコロナウイルス亜科)の最新の最も近い共通祖先 (MRCA)は、紀元前8000年には存在していたと考えられているが、一部のモデルのMRCAは5500万年以上前に遡ってコウモリとの長期的な共進化を示唆する。 アルファコロナウイルス属(英語版)のMRCAは紀元前2400年頃、ベータコロナウイルス属(英語版)紀元前3300年頃、ガンマコロナウイルス属(英語版)は紀元前2800年頃、デルタコロナウイルス属(英語版)は紀元前3000年頃と考えられている。飛翔温血脊椎動物であるコウモリと鳥は、コロナウイルスの遺伝子源(アルファコロナウイルスとベータコロナウイルスはコウモリ 、ガンマコロナウイルスとデルタコロナウイルスは鳥)にとって、コロナウイルスの進化と普及を促進する宿主として理想的である。 このため多くのヒトコロナウイルスはコウモリに起源をもつ。ヒトコロナウイルスNL63は、紀元1190~1449年の間に、コウモリコロナウイルス (ARCoV 2) と共通の祖先を有していた。ヒトコロナウイルス229Eも、1686~1800年の間に、コウモリコロナウイルス(GhanaGrp1 Bt CoV)と共通の祖先を有していた。より最近の例では、1960年以前にアルパカコロナウイルスとヒトコロナウイルス229Eが分岐した。MERSコロナウイルスは、コウモリから中間宿主としてラクダを介してヒトに現れた。MERSコロナウイルスは、数種のコウモリコロナウイルスに関連しており、数世紀前にこれらの種から分岐したようである。 特に、SARSコロナウイルスは、コウモリコロナウイルスとの関係が他のヒトコロナウイルスより深く、ごく最近の1986年ごろ分岐した。キーンコウモリコロナウイルス類とSARSコロナウイルスの進化経路は、SARS関連コロナウイルスが長期間コウモリで共進化していた可能性を示唆する。SARSコロナウイルスの祖先は、カグラコウモリ科のleaf-nose batsに最初に感染した。その後、キクガシラコウモリ科のhorseshoe batsに、更にはジャコウネコ、最後にヒトに感染した。 他のベータコロナウイルスとは異なり、ベータコロナウイルス1およびエンベコウイルス亜属のウシコロナウイルスは、コウモリ由来ではなくネズミに起源を持つと考えられている。1790年代には、ウマコロナウイルスが種をまたいでウシコロナウイルスから分岐した 1890年代後半には別の種間伝播(英語版)が起こり、ヒトコロナウイルスOC43がウシコロナウイルスから分岐した。1890年のインフルエンザ大流行は、病原体が実際には特定されていないこと、時期やその神経症状から、インフルエンザウイルスではなく、このウイルス(のスピルオーバー)によって引き起こされた可能性があると推測されている。ヒトコロナウイルスOC43は、呼吸器疾患を引き起こすほか、神経疾患への関与が疑われている。現在最も一般的な遺伝子型が出現したのは、1950年代である。 マウスの肝臓と中枢神経系に感染するマウス肝炎ウイルスは、系統的にヒトコロナウイルスOC43とウシコロナウイルスに関連する。ヒトコロナウイルスHKU1も、同様にげっ歯類に起源を持つ。
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