製糸業とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > ビジネス > 日本標準産業分類 > 製糸業の意味・解説 

製糸業

読み方:セイシギョウ(seishigyou)

繭から生糸製造する産業


製糸業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 02:18 UTC 版)

生糸

製糸業(せいしぎょう)とは、(カイコ)から絹織物の原材料となる生糸を生産する産業である。

概要

明治期から昭和初期にかけて生糸製品は、緑茶ともに日本の外貨獲得にとって重要な商品・産業であった。このため、製糸業といえば主に生糸の製造業のことを指して使われるようになった。なお綿羊毛から糸を紡ぐ作業は紡績という。

日本の製糸業

「信州製糸の三大明星」とされる初代片倉兼太郞(左)、尾澤金左衞門(中央)、林國藏(右)
『東京築地舶来ぜんまい大仕かけきぬ糸をとる図』(歌川芳虎筆、1872年)。古河市兵衛による築地製糸場が描かれている[1]

日本では弥生時代に大陸から絹作りが伝来したと考えられており、江戸時代には東北地方信濃国上野国甲斐国などにおいて養蚕業と製糸が行われていた。

江戸幕府横浜などを開港した安政6年(1859年)当時、ヨーロッパ諸国の蚕は微粒子病による打撃を受けていた。日本産生糸は中国産生糸に劣らぬ品質を持つものとして評価されたため、生糸生産は明治期にかけて日本の輸出貿易の中心となった。八王子から輸出用の生糸を横浜へ運ぶ神奈川往還は“絹の道”となった。甲斐国在方出身の甲州屋忠右衛門や川手五郎右衛門ら地元物産を外国向けに売り込む投機商も出現した。

こうした近世の都市町人を中心とする商人層に対し、幕末から明治初年には在方に出自をもつ豪農層が成長し、明治後年には地方商人や地主階層が次々と製糸業を創業した。明治10年代には長野県山梨県岐阜県を中心とする東日本を中心に生産が行われた。

製糸業は明治政府殖産興業の主力として国策的に振興された。民間での創業を促すため、原料繭購入資金の融資を行う地方銀行や高利貸しには政府からの政策的融資が行われ、原善三郎茂木惣兵衛ら生糸売込商も台頭する。

明治政府は生糸の増産と、ヨーロッパからの導入した製糸技術の吸収・普及のため、官営製糸場も設けた。明治5年(1872年)につくられた富岡製糸場フランス式の蒸気動力で繰糸機などを動かし、現存する施設が世界遺産に登録されて著名である。翌1873年には東京都心部に、水車を使うイタリア式の葵町製糸場(現在の虎ノ門)を開設した。葵町製糸場は数年稼働したのみだが、笠岡製糸場(岡山県笠岡市)のモデルとなり、近代製糸業の西日本への伝播に役割を果たしたとみられている[2]

日本産生糸の主な輸出先は当初はフランスで、後に絹織物産業が急速な発展を遂げたアメリカ合衆国へ移った。明治後年にはイタリア、中国をしのぐ輸出量を誇った。

日本の製糸業ははじめ、座繰式の製糸機械が普及し生糸生産を行っていた。イタリア、フランスから器械製糸の技術が導入されると、富岡製糸場など各地で導入が進んだ。日本の製糸業者の多くは10人繰以上30人繰未満の中小規模業者が中心で、高価な鉄製繰糸器械の導入は困難であったため、フランス・イタリア式を折衷した木製繰糸器械(諏訪式繰糸機)も発明された(武居代次郎)。また、製糸工場では寄宿制と低賃金、劣悪な労働環境で働く製糸女工が存在していたことも当時から指摘され、『あゝ野麦峠』などで描かれた。一方で過酷な農作業からの解放や高収入が得られたともされる[3]

脚注・出典

  1. ^ 築地製糸場 つきじせいしじょうコトバンク
  2. ^ 虎ノ門「幻の製糸場」詳細図面/建築法や設備 西日本に影響『読売新聞』朝刊2017年10月4日(文化面)
  3. ^ 『続・あゝ野麦峠』 [要文献特定詳細情報]

関連項目

参考文献



製糸業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/24 07:22 UTC 版)

チェシャーの絹関連産業」の記事における「製糸業」の解説

チャールズ・ロウは、1743年ボタン工場the Button Mill固有名詞))を建てた。そこには2台のイタリア式フィラトイオ( filatoio ダービー用いられていたタイプ水力撚糸機)を設置し染色行った工場拡張され1761年までには350人を雇用するまでになったデントリーライル(Daintry and Ryle)により1775年にパーク・グリーンに設立されたフロスト・ミル(Frost's Mill on Park Green)など、他の工場がチャールズ・ロウの製糸工場の後に続いた。ジョン・ハドフィールド(John Hadfield)はボリン(Bollin)に工場持ち第一チェスター・ロード・ミル(the first Chester Road Mill)が建てられたのもこの頃である。 マクルズフィールドは繁栄した農夫が週に6シリング稼ぐところ、撚糸業に従事する男性は週に7シリング稼いだ女性なら3シリング6ペンス訳注12ペンス=1シリング)で、子どもは3年契約初年度、週に6ペンスから始める。翌年に9ペンス上がり3年目まるまる1シリング受け取れるうになる。これは、1日12時労働週休1日という条件のものであったイギリスフランス戦争状態にある間は需要増加し平和になる不況何年続いた。チャールズ・ロウは1760年1万ポンド事業売却して撚糸業から足を洗った七年戦争1763年終戦すると非常に困難なことになった。この時点でマクルズフィールドでは、絹織物作っておらず、織糸をスピタルフィールズに供給するだけであった。スピタルフィールズは当時社会不安の状態にあって、パーク・グリーン公園市場起きていた小さなデモ参加者により支持され大規模なデモ起こっていた。労働者たちは組合組織した。スピタルフィールズにおける賃率と徒弟奉公人の数及び徒弟奉公期間は、1773年議会法により規制された。

※この「製糸業」の解説は、「チェシャーの絹関連産業」の解説の一部です。
「製糸業」を含む「チェシャーの絹関連産業」の記事については、「チェシャーの絹関連産業」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「製糸業」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「製糸業」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「製糸業」の関連用語

1
糸都 デジタル大辞泉
100% |||||



4
片倉兼太郎 デジタル大辞泉
76% |||||




8
丹東 デジタル大辞泉
58% |||||

9
富岡 デジタル大辞泉
58% |||||

10
岡谷 デジタル大辞泉
58% |||||

製糸業のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



製糸業のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
総務省総務省
Copyright(c)2025 総務省 統計局 All rights reserved
政府統計の総合窓口(e-Stat)
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの製糸業 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのチェシャーの絹関連産業 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS