終域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 04:29 UTC 版)

数学において写像の終域(しゅういき、英: codomain; 余域)あるいは終集合(しゅうしゅうごう、英: target set)は、写像を f: X → Y と表すときの集合 Y、すなわち写像 f の出力する値がその中に属するべきという制約を定める集合をいう。終域の代わりに「値域」という語を用いる場合もあるが、値域は写像の像(出力される値すべてからなる集合、f: X → Y で言えば f(X))の意味で用いることが多いので注意すべきである。
定義と注意
さて Bourbaki (1954) の意味で写像(函数)を定義するのであれば、終域は写像 f の一部として含まれる[1]。即ち、写像 f とは三つ組 (X, Y, F) であって F が直積集合 X × Y の函数的部分集合(すなわち函数関係)[2]かつ F に属する順序対の第一成分の成す集合(すなわち定義域)が X に一致するものをいう。このとき集合 F はこの写像のグラフと呼ばれる。また、x が写像 f の定義域 X の元を亙るとき、f(x) の形に書ける元全てからなる集合を f の値域と呼ぶ。一般に値域は終域の部分集合であって、従って一般には両者は一致しないことが起こり得る。一致する場合(すなわち全射)でないならば、終域に属する適当な元 y に対して、方程式 f(x) = y は解を持たない。
ブルバキはまた別な定義として、「写像」を単に函数的グラフそのものと定め[3]、これはまた広く用いられている定義である[4]が、これには終域が定義として含まれない。例えば集合論において、定義域 X が真の類であることを許す方が望ましいという場合には、三つ組 (X, Y, F) といったものは厳密な意味では存在しないため定義に用いるには不適当だが、グラフによる定義ならば自然である。ただ、文献によっては f: X → Y という見かけ上終域に言及する形で写像を導入していながら、その後は暗黙にこの終域を含めない定義を用いる場合もあるので注意が必要である[5][6][7][8][9]。
値域と終域
例 1
函数
終域
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