禁錮
禁錮とは、刑法において定められた一種の刑罰である。禁錮刑は、自由を奪われることを主たる目的とし、犯罪者を一定期間、刑務所等の施設に拘束することで社会から隔離する。禁錮刑は懲役刑と同様に、身体の自由を制限する刑罰であるが、その性質や目的に違いが存在する。
懲役刑と禁錮刑の違いは、労働の有無にある。懲役刑では、受刑者に労働が課せられることが特徴であり、労働を通じて更生を促すことが目的とされる。一方、禁錮刑では労働が課せられず、受刑者は自由時間を持つことができる。ただし、その自由時間は、教育・訓練等の更生プログラムに充てられることが多い。
禁錮刑は、短期間の刑罰や軽微な犯罪に対して適用されることが多い。また、禁錮刑は、執行猶予が付されることがある。執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に再犯しなければ刑を免除する制度である。この制度は、初犯者や軽微な犯罪者に対して、社会復帰の機会を与えることを目的としている。
禁錮刑は、犯罪者の更生や社会復帰を目指す刑罰であるが、その効果には議論がある。一部では、禁錮刑が短期間であるため、犯罪者に十分な更生の機会を与えられないとの指摘がある。また、禁錮刑が執行猶予付きである場合、犯罪者が再犯するリスクがあるとの懸念も存在する。しかし、禁錮刑が犯罪者に対して適切な制裁を与え、社会からの隔離を通じて再犯防止につながるとの意見もある。
以上のように、禁錮とは刑法における刑罰の一種であり、犯罪者を一定期間、刑務所等の施設に拘束することで社会から隔離する目的がある。懲役刑との違いは労働の有無であり、禁錮刑は労働が課せられない。禁錮刑は、短期間の刑罰や軽微な犯罪に対して適用されることが多く、執行猶予が付されることがある。
禁錮
別表記:禁固
英語:imprisonment
「禁錮」とは、刑法上の刑罰のうち一定の期間にわたり刑事施設に拘置させることで懲役のように作業義務を科さずに受刑者の自由を奪い受刑者を罰する刑罰のことを意味する表現。
禁錮とは、禁固刑に関する規定
禁錮は刑法第13条において規定されている。(禁錮)
第十三条 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、一月以上二十年以下とする。
2 禁錮は、刑事施設に拘置する。
―― 刑法 e-Gov
禁錮刑とは、禁錮と禁固刑の違い
禁固刑は「禁錮に処する刑罰」くらいの意味であり、ほぼ「禁錮」と同義。「禁錮」と「禁固刑」は互いに置き換え可能な語彙である。公文書でも両方の言い方の使用例が見つかる。
あえて区別をつけるとすれば、そもそも「禁錮」は「ある場所に閉じ込めて外に出さないこと」を意味する語であり、必ずしも、刑法上の刑罰だけを指すとは限らない。その点「禁固刑」といえば「刑罰として科される禁錮」であることが明示できる。
「禁錮」と「懲役」の違い
禁錮と懲役の違いは、刑務作業が義務付けられているかどうか、である。懲役刑の受刑者は刑務作業を行わなくてはならない。禁固刑の受刑者は刑務作業を行わなくてよい。禁錮刑の受刑者も申し出れば刑務作業を行うことはできる。実際、過半数の禁錮受刑者が刑務作業を進んで行っているという。
禁錮と懲役は、どちらも、最短でも1ヶ月~最大20年、あるいは無期、という長期間にわたって刑が科される。
なお、禁錮と同じく「刑事施設に留め置かれる刑罰」であって、その期間が1日~29日間と比較的短期の刑を、「拘留」という。拘留は禁錮より軽い。罰金刑よりも軽い。
「懲役」「禁錮」「拘留」は、いずれも「受刑者の自由を剥奪する刑罰」であり、「自由刑」に区分される。
禁錮と懲役の違いはなくなるかもしれない
2022年3月、政府は「懲役」と「禁錮」を共に廃止し、あらたに「拘禁刑」 を創設してこれに一本化する改正案を閣議決定した。同年6月には参議院本会議で可決された。これによって禁錮や懲役の刑はなくなる。拘禁刑も自由刑であることには変わりはない。「禁固」と「死刑」「罰金」との違い
死刑や罰金刑と禁固刑は、まず刑罰の軽重が異なる。また、刑罰の様態も異なる。刑罰の軽重は、重い順に「死刑>懲役>禁錮>罰金>拘留>科料」と並ぶ。この6種は独立して科すことのできる「主刑」である。この他に「没収」もある。没収は、主刑に付加する形で科せられる「付加刑」である。
刑罰は様態に応じて「自由刑」「生命刑」「財産刑」の3種類に区分できる。
「禁錮」「懲役」「拘留」は、受刑者の自由を奪って刑罰とするものであり、「自由刑」に区分される。
「死刑」は受刑者の生命を奪って罰とするものであり、「生命刑」に該当する。
「罰金」と「科料」(ならびに「没収」)は、受刑者の財産を剥奪して罰とする刑であり、「財産刑」にあたる。
刑罰の様態には「身体刑」や「名誉刑」といった区分もあるが、これらに該当する刑罰は現行の刑法にはない。
禁錮7年の罪
いわゆる「内乱幇助罪」は、刑法第79条で「7年以下の禁錮」に処される旨が規定されている。このような、法令において罰則が具体的に規定されている刑を「法定刑」という。ちなみに内乱の首謀者は「死刑または無期禁錮」、外患誘致罪は「死刑」である。
法定刑で禁錮が定められている罪は「内乱」および「私戦予備及び陰謀」の罪のみである。私戦予備及び陰謀罪は「5年以下の禁錮」、ただし自首した場合は刑が免除される。
禁錮生活は辛い・きつい、と感じる人は少なからずいる
禁錮刑の受刑者は、基本的にはじっと座って過ごす。懲役刑の受刑者が作業している間、何をすることも許されず、ただ座っていることが求められる。人によっては、この「何もすることがない」状況が苦痛でしょうがなく、体を動かせる懲役の方がずっとマシと思えたりもする。そのため刑務作業を申し出て懲役刑と同じく作業に従事する者が出てくる。「自宅で禁錮」はあり得るか
刑罰としての禁錮は「刑事施設に拘置する刑」と定められている以上、自宅で受刑するということはあり得ない。海外では受刑者に発信機を装着させ常時監視可能にした上で「自宅監禁」する試みが行われたことがある。
そもそも「禁錮」という語彙は「ある場所に閉じ込めて外に出さないこと」を意味する語であり、必ずしも刑法上の刑罰だけを指す語彙ではないため、刑罰に関する文脈でなければ「自宅で禁錮」「自宅に禁錮」といった表現をあえて使うことも可能ではある。
きん‐こ【禁錮/禁固】
禁錮
禁錮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/10 13:30 UTC 版)
「法律上の身柄拘束処分の一覧」の記事における「禁錮」の解説
有罪判決が確定した者を刑務所に拘禁する刑罰。懲役と異なり、定役に服する必要はない
※この「禁錮」の解説は、「法律上の身柄拘束処分の一覧」の解説の一部です。
「禁錮」を含む「法律上の身柄拘束処分の一覧」の記事については、「法律上の身柄拘束処分の一覧」の概要を参照ください。
禁錮
出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 01:47 UTC 版)
名詞
発音(?)
- き↘んこ
表記
- 2010年常用漢字表の改訂まで「錮」は表外字であったが、刑法典では「禁錮」と表記され続け、平成7年(1995年)の現代語改正においても、常用漢字採用前ではあったが「禁錮」の表記が維持された。当用漢字告示以後に制定された法令においては、「禁こ」の表記となっている[1]。
- 日本のマスメディアにおいては当用漢字制度から長らく日本新聞協会用語懇談会による代用語「禁固」が用いられてきた[2]が、「錮」が2010年の常用漢字入りしたことに伴い、本来の用字「禁錮」も、ともに使用可能となった[3]。
関連語
翻訳
- 英語:imprisonment
動詞
活用
- サ行変格活用
- 禁錮-する
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