かんぜん‐すう〔クワンゼン‐〕【完全数】
完全数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/21 14:45 UTC 版)
偶数の完全数は無数にあるか。また、奇数の完全数は存在するか。 |
完全数(かんぜんすう、英: perfect number)とは、自分自身が自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数のことである。完全数の最初の4個は 6 (= 1 + 2 + 3)、28 (= 1 + 2 + 4 + 7 + 14)、496 (= 1 + 2 + 4 + 8 + 16 + 31 + 62 + 124 + 248)、8128 (= 1 + 2 + 4 + 8 + 16 + 32 + 64 + 127 + 254 + 508 + 1016 + 2032 + 4064) である。
「完全数」は「万物は数なり」と考えたピタゴラスが名付けた数の一つであることに由来する[1]が、彼がなぜ「完全」と考えたのかについては何も書き残されていないようである[1]。中世の『聖書』の研究者は、「6 は『神が世界を創造した(天地創造)6日間』、28 は『月の公転周期』で、これら2つの数は地上と天界における神の完全性を象徴している」[1]と考えたとされる[2]。古代ギリシアの数学者は他にもあと2つの完全数 (496, 8128) を知っていた[1]。以来、完全数はどれだけあるのかの探求が2500年以上のちの現在まで続けられている。
完全数の定義は、正の約数の総和が自分自身の2倍に等しいことと同値である。すなわち、N が完全数であるとは、約数関数 σ に対して σ(N) = 2N が成り立つことであると表現できる。また、正の約数の逆数和が 2 であると表現することもできる。
歴史
完全数に関する最初の成果は紀元前3世紀ごろのユークリッドである。彼は『原論』(第9巻、命題36)で、「2n − 1 が素数ならば、2n−1(2n − 1) は完全数である」ということを証明した[注釈 1]。2n − 1 で表される数をメルセンヌ数といい、それが素数である場合をメルセンヌ素数という。
古代から、6、28、496、8128の4つの数が完全数であることは知られており、ゲラサのニコマコスの『算術入門』には4つの完全数に関する記述が存在する[3]。
ユークリッドの公式は偶数の完全数しか生成しないが、逆に偶数の完全数が全て 2n−1(2n − 1) の形で書けるかどうかは18世紀までは未解決であった。レオンハルト・オイラーは偶数の完全数がこの形に限ることを証明した[4][5][注釈 2]。
メルセンヌ素数の探索は、エドゥアール・リュカとデリック・ヘンリー・レーマーによってメルセンヌ数が素数であるかどうかの効率的な判定法が考案され、1950年代からコンピュータが使われるようになる。現在では分散コンピューティング GIMPS による探求が行われていて、2024年11月 現在[update]で判明している最大のメルセンヌ素数は4102万4320桁の数である[7]。
2024年11月[update]発見されている完全数はメルセンヌ素数と同じく52個である。紀元前より考察されている対象であるにもかかわらず、「偶数の完全数は無数に存在するか?」「奇数の完全数は存在するか?」という問題は未解決である。
現在概要
完全数は、小さい順に
である。
各完全数の正の約数の総和は
- 12, 56, 992, 16256, 67100672, 17179738112, …(オンライン整数列大辞典の数列 A139256)
隣り合う完全数の差は
- 22, 468, 7632, 33542208, 8556318720, …(オンライン整数列大辞典の数列 A139228)
完全数の総和の列は
である。
6 と 28 がなぜ「完全」であるかは中世の学者の議論の対象になり、6 は神が創造した1週間(日曜日は神が天地創造を終えて休んだ安息日で、キリスト教ではこれを除外する)、28 は「月の公転周期」とされた[1]。聖アウグスティヌス(? - 604年)はこれとは一線を画し、「6 はそれ自体完全な数である。神が万物を6日間で創造したから 6 が完全なのでなく、むしろ逆が真である」としている[1]。
偶数の完全数 2p−1(2p − 1) = (Mp+1)Mp/2 は Mp 番目の三角数でもある。
完全数の分類
偶数の完全数
偶数の完全数は、Mp = 2p − 1 が素数のときの 2p−1Mp に限る(ユークリッド、オイラー)。
ユークリッドの証明
2p−1Mp が完全数であることの証明:[8]
完全数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 03:03 UTC 版)
Mp = 2p − 1 が素数ならば、2p−1(2p − 1) は完全数である。この定理はすでに紀元前3世紀頃のユークリッド原論で証明されていた。したがって、完全数の探索はメルセンヌ素数の探索に終始された。 2p−1(2p − 1) は明らかに偶数であるが、偶数の完全数でこの生成式から得られるもの以外はないのか2000年間にわたって未解決であったが、18世紀にオイラーによりこの形に限ることが証明された。
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