大腿骨
【英】:Femur,Os femoris
大腿骨は人体で最長の管状骨で約40cmあり、身長のほぼ1/4を占め、前方に軽く凸弯している。起立時遠位端は水平面上にあるが、大腿骨は垂直位をなさず、近位部が骨盤の幅だけ外方へずれる。また大腿骨頚の長軸と大腿骨遠位端の横軸とは同一平面上にはなく、大腿骨は長軸のまわりに骨頭が前方へ向く方向方向に約15度ねじれている。近位端(上端)で上内側やや前方へ突出する球状部が大腿骨頭であり、大腿骨頭の中心のやや後下方にある卵円形の粗面状小陥凹部分が大腿骨頭窩である。大腿骨頭と円柱状の大腿骨体を連結する細い部分が大腿骨頚で、大腿骨頚の中央部は細いが内および外側端で、とくに外側端で幅が広く前後にやや扁平となる。上縁は水平に、下縁は外下後方へ斜めに走っている。
大腿骨頚と大腿骨体は、約125度の傾斜度で連結している。角度は生下時により成熟するにしたがい小さくなる。男性より女性の方が角度が小さい。大腿骨頚と大腿骨体との結合部の上外側にある大きな隆起が大転子で、結合部の後下部から内後方へ突出する部分が小転子である。大転子の後上部は上内側へ突出しやや深い陥凹部をつくる。この陥凹部が転子窩である。大転子の前面上内側部から大腿骨頚の前面を下内方に走り頚の下縁で小転子の前面にいたる粗な隆線が転子間線で、大腿骨頚と大腿骨体との結合部に相当する。
転子間線は内下方へ伸びて渦状線へつづき、また下端近くで結節状に隆起して2次結節となることがある。大転子の後上角部から後面を下内包へ走り小転子にいたる比較的縁が丸い隆起が転子間稜で、頚と体との結合部に相当する。転子間稜の中央やや上外側部にある低い膨隆部分が方形筋結節である。円柱状の大腿骨体は中央部で細い上部で太く、下部では左右に幅が広くなる。大腿骨の長軸は立位で約10度脛骨の垂直線に対して外側へ傾いている。大腿骨体の中央1/3では3縁・3面がある。内側縁と外側縁は丸味をおびている。各3面とも平滑で、前面は内側縁と外側縁との間にあって前方へ凸面をなす。
外側面は外側縁と後縁との間にあり、外側よりむしろ後方に面している。内側面は内側縁と後縁との間にあり内方やや後方にむいている。後縁の粗で幅広い線状隆起が粗線である。粗線の内および外側で稜状に隆起した部分がそれぞれ内側唇と外側唇で、栄養孔がこの両者の間で認められる。
大腿骨体の上1/3では粗線が3本の線状隆起として拡散し、逆三角形の粗線である後面を形成する。下方で内側唇に、上方で転子間線の下端につづく内側の細い線状隆起が渦状線である。内側唇から小転子の基部へいたる中間位の線状隆起が恥骨筋線で、外側唇から上外方大転子の基部へ走る幅がある粗な線状隆起が臀筋粗面である。臀筋粗面は近位部で隆起し第三転子をつくることがある。
大腿骨体の下1/3では内側部が前後に扁平化し、下端が広い三角柱状を呈する。内側唇は内下方の内側顆の後上方に、外側唇は外下方外側顆の後上方にいたる。前者が内側上顆線、後者が外側上顆線である。これらに境され浅く陥凹した三角形の平滑な面が膝蓋面である。内側上顆線の上方は大腿動脈が斜走するため不明瞭となっている。大腿骨の遠位端(下端)大きく膨隆している。内側の隆起が内側顆、外側の隆起が外側顆である。内側窩は内下方および後方へ、外側顆は下方・後方および前上方に突出する部分が内側上顆で、内側上顆上方の小さな突起が内転筋結節である。外側顆は内側顆より外側への膨隆度が小さく、大腿骨体の外側面からほとんどでていない。外側面後上方で外側へ突出する部分が外側上顆である。内側顆と外側顆は大腿骨の前面で互いに連絡するが、後面では深い間隙で隔てられている。この間隙が顆間窩である。内側顆と外側顆の後縁を結ぶ稜状隆起が顆間窩で、顆間窩の上縁をなし膝蓋面との境をなす。前下方は膝蓋面の下縁で境される。内側顆と外側顆の下面および後面の凸面をなす帯状の関節面が脛骨上端と関節する脛骨面である。脛骨面は内側顆にあり前外方へ弯曲する内側部と、外側顆にあり幅広く前後に直線的に走る外側部とに分けられる。内外の両側部が両顆の前方で互いに癒合し、膝蓋骨後面に接する関節面が膝蓋面である。膝蓋面は中央の縦溝で内外に二分されるが、外側部が大きい。
大腿骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 06:47 UTC 版)
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骨: 大腿骨 | |
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大腿骨 | |
名称 | |
日本語 | 大腿骨 |
英語 | Femur, Thigh bone |
ラテン語 | Femur, Os femoris |
関節 | 股関節, 膝関節 |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
関連情報 | |
MeSH | Femur |
グレイの解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
大腿骨(だいたいこつ、独: Oberschenkelknochen、英: thigh bone)は、四肢動物の後肢において近位部を構成する長骨である。哺乳類の体では最も長く、体積があり、強靭な骨である。股から膝の間を構成する。
ラテン語ではfemurで、属格はfemoris。ただし古典ラテン語では属格はfeminisである。
ヒトの大腿骨
平均的な長さは43.2cm。大腿骨は人体においても最長の骨といわれている[1]。近位端、大腿骨体、遠位端で構成される。近位端は、大腿骨頭、大腿骨頚、大転子、小転子で構成される。丸い大腿骨頭は寛骨とともに股関節を形成する。大腿骨頭はなめらかだが、大腿骨頭窩というくぼみがあり、そこに着いた靭帯が寛骨臼につながっている。大腿骨頭の重要な機能の1つは、骨髄における赤血球の生産である。大腿骨頚は、大腿骨頭と大転子、小転子の間にある。大腿骨頚と骨体の角度は頚体角と呼ばれ、通常は約125度である。大転子と小転子には、股関節を動かす筋肉が着く。
大腿骨体の背面には粗線が走っており、表面を3つに分けている。粗線の上部である殿筋粗面には、大殿筋が着く。粗線の下部には大腿二頭筋が着く。
遠位端には、内側顆と外側顆の2つの隆起があり、脛骨とともに膝関節を形成する。内側顆と外側顆の間の隙間は顆間窩と呼ばれる。内側顆と外側顆の上部には内側上顆と外側上顆があり、内側上顆の上には内転筋結節がある。
大腿骨と関節する骨
大腿骨と筋肉
大腿骨から起始する筋肉
大腿骨に停止する筋肉
画像
出典
- ^ スティーブ・パーカー『BODY 世にも美しい人体図鑑』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年、12頁。
参考文献
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2015年7月) |
- H. F. Frickほか編著『ヴォルフ人体解剖学アトラス』内野滋雄ほか監訳、西村書店、2001年4月、398-400頁。ISBN 978-4-89013-296-6。
関連項目
外部リンク
- 大腿骨[リンク切れ] - 慶應医学部解剖学教室 船戸和弥
大腿骨
出典:『Wiktionary』 (2021/06/23 13:21 UTC 版)
名詞
発音(?)
- だ↗いた↘いこつ
翻訳
- アイマラ語: chara ch'aka (ay)
- アストゥリアス語: fémur (ast)
- アラビア語: عظم الفخذ (ar) 男性
- アラビア語エジプト方言: عضم الفخد (arz) (ʕaḍm el-faxid) 男性
- アルメニア語: ազդրոսկր (hy)
- イタリア語: femore (it) 男性
- インドネシア語: tulang paha (id), femur (id)
- ヴォラピュク: femur (vo)
- 英語: thighbone (en), femur (en)
- エストニア語: reieluu (et)
- エスペラント: femurosto (eo)
- オランダ語: dijbeen (nl) 中性
- カタルーニャ語: fèmur (ca) 男性
- ガリシア語: fémur (gl)
- ギリシア語: μηριαίο οστό (el)
- スウェーデン語: lårben (sv) 中性
- スコットランド語: thee-bane (sco)
- スコットランド・ゲール語: cnàimh na sliasaid (gd) 男性, sliasaid (gd) 女性
- スペイン語: fémur (es) 男性
- セルビア・クロアチア語: bedrenjača (sh), butnjača (sh)
- タイ語: กระดูกต้นขา (th)
- タガログ語: butong-hita (tl)
- タミル語: தொடையெலும்பு (ta)
- チェコ語: stehenní kost (cs) 女性
- 中国語: 股骨 (cmn) (gǔgǔ)
- 朝鮮語: 넓적다리뼈 (ko) (neopjeokdarippyeo), 대퇴골 (ko)
- ディベヒ語: މާކަޅުވާ ކަށިގަނޑު (dv)
- テルグ語: తొడ ఎముక (te)
- デンマーク語: lårben (da) 中性, lårbensknogle (da) 通性
- ドイツ語: Oberschenkelknochen (de) 男性, Femur (de) 中性
- バスク語: izterrezur (eu)
- ハンガリー語: combcsont (hu)
- バンバラ語: worokolo (bm), tɔgɔkala (bm)
- フィンランド語: reisiluu (fi)
- フランス語: fémur (fr) 男性
- ブルガリア語: бедро (bg) 中性, бедрена кост (bg) 女性
- ヘブライ語: קוּלִית (he) (qúlit) 女性
- ベンガル語: ঊর্বস্থি (bn) (ūrbôsthi)
- ポーランド語: kość udowa (pl) 女性
- ポルトガル語: fémur (pt) 男性 (ポルトガル), fêmur (pt) 男性 (ブラジル)
- マオリ語: pūkaka (mi)
- マダガスカル語: taolam-pe (mg)
- マレー語: tulang paha (ms), femur (ms)
- ルーマニア語: femur (ro)
- ロシア語: бедренная кость (ru) 女性
「大腿骨」の例文・使い方・用例・文例
- 少年は車の事故で大腿骨を折った。
- 彼の大腿骨顆上骨折は固定だけで処置された。
- 脛骨は大腿骨と関節で結ばれている.
- 大腿骨頭を受ける、お椀形をした窩の
- 四足獣の大腿骨と脛骨の間の関節
- 大腿骨の上部と無名骨の間の玉継ぎ手の窩部分
- 大腿骨の下側の先の外側の顆
- 大腿骨の下端の内側の上の関節丘
- 側部の大腿骨顆の近くの上顆
- 脛骨と腓骨を大腿骨に結びつけ、膝蓋によって前部を保護されている人間の脚にある蝶番関節
- 筋肉が付いた大腿骨の上側先端の近くで発達した骨ばった隆起のの1つ
- 大腿骨頭と臼蓋窩の間の球関節
- 大腿骨の頭部がその中にぴったりと入り込む球窩関節を形成する寛骨にあるカップ形のくぼみ
- 危険または死の象徴として使われる2本の交差した大腿骨(または2本の交差した大腿骨の描写)
- 動物の器官としての大腿骨
大腿骨と同じ種類の言葉
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