古学とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 社会 > 社会運動 > 一派 > 古学の意味・解説 

こ‐がく【古学】


古学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/23 14:13 UTC 版)

古学(こがく)は、朱子学を否定する江戸時代の儒教の一派。山鹿素行の「聖学」(これを特に古学(こかく)と言う)、伊藤仁斎の「古義学」、荻生徂徠の「古文辞学」の総称。

徂徠の学派を「蘐園(けんえん)学派」と呼び[1]、古文辞学的に研究し、その古典を道徳の観念より制度理論の書=一種の政治学の原典と見るやり方であり、近代的思考に近いものがあるとされる[2]。この学派は水戸学派や在野の「崎門(きもん)派」(山崎闇斎の学派)と異なり、『孟子』の放伐論を肯定したところに特徴があるが、これは幕府の正当性のために利用され、近世期の朝廷に政権がないのは、民を安んじたために幕府に委譲せざるを得なかったと解釈された(前同 p.51)。これに対し、山県大弐は逆に幕府打倒の正当性に放伐論を利用した[3]

一方、仁斎の古義学は、政治や社会秩序について議論することはほとんどなく、それを天命として、そのまま受け入れる(後述書 pp.173 - 174)。その関心は、秩序の元における人倫世界を愛と誠実と思いやりに満ちたものとするための、人々の日常生活における自覚的実践に向けられ、非統治者の立場から儒学を内面化した(後述書 p.174)。徂徠は、「道」を「古代中国の先王達が制作したのこと」とし、天地自然や人間(の内面)から道を分離したが、徂徠の道の解釈が、政治や制度に限定されたのに対し、仁斎の道は、人倫世界(俗)に限定された[4]

後世の解釈によらず、『論語』などの経典を直接実証的に研究する。その実証的な研究態度は国学などに影響を及ぼした(前同 p.176)。江戸中後期に流行し、越後長岡藩では藩校が建設された当初、古義学と古文辞学の両方が藩学となっていた。

他方、寛政異学の禁では「風俗を乱す」という理由で江戸幕府及びこれに倣う諸藩で公式の場での講義を禁止された。

脚注

  1. ^ 市井(1967) p.49
  2. ^ 市井(1967) pp.49 - 50
  3. ^ 市井(1967) pp.51 - 53
  4. ^ 佐々木(2000)p.176

参考文献

関連項目

  • 古方派 - 日本の漢医学派で同様に朱子学を批判する立場を取る(主に仁斎の古義学の影響がある)

「古学」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



古学と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「古学」の関連用語

1
復古学 デジタル大辞泉
100% |||||


3
古学び デジタル大辞泉
72% |||||




7
羽倉学 デジタル大辞泉
54% |||||

8
聖教要録 デジタル大辞泉
54% |||||

9
陽明学派 デジタル大辞泉
54% |||||


古学のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



古学のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの古学 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS