中二病
別名:厨二病
「中二病」とは、中学2年生頃の思春期特有の自意識過剰な状況を揶揄する言葉で社会に反抗的になる・流行の逆をする・邪気眼などの特殊能力を信じるなどが特徴的な行動のことを意味する表現。
揶揄または自虐の意味を込めて用いられるスラング。
「中二病」という呼称には、この「病状」が中学2年生の頃に典型的に見られるものである、という含意がある。中学2年生は第二次性徴のただ中であり、心身ともに子供から大人へと移行しはじめる時期であり、下級生(子供)と上級生(大人)を見ながら過ごす時期でもある。大人に憧れつつ、子供っぽさが抜けず、年相応に世間知らずである。
あらためて言うまでもないが「中二病」は病名ではない。(ある意味「病的」ではあるかもしれないが)。中二病の何たるかを説明するに当たっては「症状」「症例」「予後」「治療」といった医療用語がよく用いられるが、もちろんこれは遊んでいるだけ、もしくは病気の症状になぞらえて扱っているだけである。まじめに医学的な見地に立って語っているわけではない。
中二病の根底には自己顕示欲や承認欲求、自らを特別な存在と思いこむ自己陶酔、といった要素がおおむね共通して見て取れる。これに幻想・空想・夢想・妄想が加わり、「光と闇」「神聖と邪悪」「選ばれし者と凡愚凡俗」「天才と暗愚」「支配する側と支配される側」といった世界観も加わり、個人の趣味嗜好と相まって、具体的な言動として発出される。
中二病は往々にして「己は唯一無二の存在」という意識を抱くものであるが、その意識も含めて、中二病の行動はとかくありがちというか、類型化しやすい。中二病にあちがちな言動は「中二病あるある」「中二病発言」などと呼ばれる。
中二病という言葉は、1990年代末に世間的に初めて使われ始めたとされる。明瞭に今般の意味で使われるようになったのは2000年代半ばの「中二病総合スレ」というスレッド(スレ)であろう。同スレを立ち上げた者が「この他の中二病・小六病の症例・背伸びグッズ・中二病のヤツが聞く音楽などを語っていけww」と記し、「症例」と称して体験談や周囲の人物の見聞を連ねた。なお、当時のスレで参考にされた中二病の定義ははてなブログの中二病の解説である。
中二病という言葉は、当初は、もっぱら自虐的な意味で使われていた。次第に他人の幼稚さを揶揄する言葉として使われる傾向が色濃くなっていった。2008年にはライトノベル作家の塞神雹夜が「中二病取扱説明書」を著し、中二病の〈病状〉を整理した。この頃にはネットスラングの域を超えて「中二病」という言葉が広く一般に知られるようになる。そして「中二病」は人を形容する言葉にとどまらず、キザったらしいファッションの意匠や創作コンテンツの作風を形容する表現としても用いられるようになっている。
マンガやアニメにおける「中二病」的な要素の例としては、たとえばキャラクターデザインに関しては「黒装束を身に纏う」「銀髪さらさらストレート超ロングヘアー」「虹彩の色が左右非対称(オッドアイ)」「超然とした物腰で達観した物言いをする」「難解な言葉や概念を多用する」といった要素が挙げられる。
中二病は「厨二病」と表記される場合もあるが、この「厨」の字は「中坊」が転じた「厨房」の略であり、すなわちインターネットスラングとしての「中」の異表記である。この「厨房」という表記は、1990年代にはすでにネットスラングとして使われている。昨今では中学生か否かを問わず、大人に対しても、おおむね「幼稚なガキ」くらいの意味合いで用いられることがある。「厨」の字そのものがすでに侮蔑的なニュアンスを含む語として用いられている。
中二病の同種の言葉あるいは概念として、「高二病」「小二病」「大二病」、および、「中年病」「45歳病」「小六病」なども見いだせる。いずれも、その年頃に特有の傾向として発現しやすく、多くの人が共感でき、ちょっと恥ずかしい、黒歴史的な、あるあるネタである。
「高二病」や「小二病」は子供が背伸びして格好つける姿、「中年病」や「45歳病」は過去の武勇伝を語って「ちょい悪オヤジ」ぶる姿である。
塞神 雹夜による「中二病取扱説明書」によると、中二病は自己設定を前提として、主に「邪気眼系」「DQN系」「サブカル系」に分類される。
邪気眼系は非現実的な妄想を現実に当てはめる行動を取るパターンであり、最も中二病らしいことからその人物を末期患者と呼ぶこともある。難解な言い回しを好み、「† 漆黒の駄天使 †」みたいなネーミングを好み、魔術的な儀式を模してみたり、自らに秘められたる特殊能力があるかのように振る舞う、というのが典型的な邪気眼系である。邪気眼系のネーミングは、2006年の2ちゃんねるの過去の失態を告白してみんなで奇声を発するスレで邪気眼という設定を持っていた人物の体験談があるため、それに関連してつけられたものである。
「邪気眼系」の典型例。べつにケガしてるわけでもないのに腕に包帯を巻き、その腕を押さえて「っぐわ!……くそ!……また暴れだしやがった……」「奴等がまた近づいて来たみたいだな……」とか独りごち、一体なにをしているのかと問われれば「っふ……邪気眼を持たぬ物にはわからんだろう……」とうそぶく。
「DQN系」は不良行為や反社会的な行動を好む傾向の中二病である。「DQN」はそもそも、軽率そうで不良じみた行動をする人、非常識な行動をするオラついた人を指す侮蔑のこもったインターネットスラングである。DQN系の中二病患者は、「授業をサボる」「未成年ながら飲酒や喫煙をする」「制服を着崩す」といった非行少年くさい行動を取ったり、猟奇的な殺人事件や殺人鬼や生物の血肉に興味を持つというような狂気へ近づいたりする。後者は宗教的な要素が混ざって「邪気眼系」のような振る舞いに似通うこともある。
「サブカル系」は特殊な価値観や高尚な趣味を持ちたがる傾向といえる。洋楽を聞き出す、英字新聞を購読する、政治的なことに意見する、というように、社会派エリートを気取る意識高い系のような行動をとりがちになる。興味の対象が難解であり、往々にして理解が追いつかず、また往々にして自らの意見も確立できていないため、聞きかじりの意見を引用する生半可な態度に陥りやすい。
中二病と「反抗期」の違いは、行動と心理状態の両面に見いだせる。反抗期は、自己主張が暴言や暴力に現れ過激になったものだが、口うるさい親には反抗するが学校の友達や優しい祖母には従順で温和といった、人によって異なる行動をとる。心理的には反抗心から、自分が悪いことを自覚していても説教に対して素直に謝れないことが多い。これ対して、中二病は、自己肯定感を優先するため基本的に誰にでも同じ言動をとり、「弱いものは駆逐されるのが当然だ」という倫理観から外れた思想があれば他者を迫害することもいとわない思いがある。しかし心理的には思い込みで虚栄を張っている場合があるため、大人に叱られれば萎縮したり恥じたりして素直に謝る場合もある。とはいえ中二病と反抗期は同時期に表れる傾向でもあり、混在している場合も多く、明確に分離して扱うこともなかなか容易ではない。
反抗期は年齢を重ねるに伴って鳴りを潜め、やがて消失する。中二病も大抵は一過性の傾向であり、成長するとともに薄れるが、大人になっても維持され続ける場合がある。いい年して中二病的な子供じみた言動が多く、そういう自己を顧みない人は、「慢性中二病」「中二病を拗らせている」などと言われて敬遠されやすい。ただし、趣味や嗜好が子供っぽかったとしても、大人としての品格を十分に備えて振る舞うことができている人は、中二病的と揶揄されることはまずない。
中二病は男性(少年)に多い傾向と言い得るが、女性(少女)も思春期に中二病を患うことはある。大人になっても精神的に未熟な言動をする女は「中二病女」と呼ばれる場合がある。中二病女はいわゆる「メンヘラ」に近づくこともある。メンヘラは、昨今では、他者に依存的で自己主張が激しく自殺願望を口にするような(面倒くさい)人を指す語として用いられている。
中二病
別表記:厨二病
「中二病」とは・「中二病」の意味
「中二病」とは・「中二病」の意味は、中学2年生程度の年齢によくある思春期特有の行動やセリフ、思考のことを言う。中二病と言っても肉体的および精神的な病気の症状がでるというわけではなく、子どもから大人へと成長していく過渡期に自分自身を深く見つめた結果出てくる特有の行動だ。つまり医学的根拠のある病気ではなく、多くの人が経験する一過性の反抗期のようなものである。それぞれの性格やタイプ、嗜好によって中二病のタイプが異なる。ネット用語では「厨二病」と表記することもある言葉だ。#不良型
不良型は、いわゆるヤンキーと言われる人物の行動や格好に憧れる人に現れる中二病だ。突然服装が派手になったり、夜遊びするようになったり、またはバイクに乗ったりなどのように表面に分かりやすく現れるのが特徴である。そのほかには、自分を強く見せようとして嘘をついたり、物事をオーバーに話したり、または周囲や大人に威嚇的な態度をとったりすることもある。
不良型の中二病になるのは、やはり基本的に活発で行動的な一面があるタイプだ。ヤンキー、又は不良と言われる一般的な人物は主に屋外で行動し、自宅に閉じこもることはあまり見られない。行動もバイクに乗ったり夜の繁華街に出かけたりなど、多少危険で冒険的ともいえる行動をとることが多い。そのため基本的にヤンキー・不良に憧れるタイプは、型に縛られず活動的に、そして自由に行動したいと潜在的に思っているタイプだ。ただし非行行為が激しくなると中二病の範疇ではなくなる。あくまで自己顕示欲の一つの手段として不良的な行動をとっている場合に限られる。
#サブカル型
サブカル型は、主に周囲とは違うサブカルチャーなどを趣味にし、周囲との差別化を図り特別感や優越感を感じるという中二病だ。具体的には、同年代と同じ文化や趣味を好まず、一般的にはあまり知られていないような映画や音楽、漫画や小説などを好み、独自の世界や価値観の中で日常を送るというタイプである。
サブカル型には基本的にインテリ嗜好のタイプが多いため、自分の趣味の範疇で、その知識の多さや考えの深さをアピールし、自分は特別な存在だと認知して欲しいという思いが根幹を成している。サブカル型に関しては、普段口数が少なく交際範囲も狭い場合が多いが、同じ趣味の友人・知人相手には非常に口数が多くなりがちだ。口調としては大声で笑ったり騒いだりするのではなく、一定の調子で淡々と、そして早口で話し続けることが多く見られる。また、行動範囲は自分の趣味であればかなり広いが、それ以外の行動範囲はごく狭いのが一般的だ。知識や経験の面で自分を大きく見せようとする傾向も大きく、余り嘘をつくことはないが、色々な知識や経験を積み重ねてきた大人のような口調や態度を示すことがある。
#こじらせ女子型
こじらせ女子型の中二病は、基本的に自分に自信がないタイプが多く見られる。自信のなさが裏に隠れているため、何を言っても素直に受け止められなくなるのだ。例えば、何か引っかかることがあればとことん納得するまで突き詰めてしまう。自分を無視した、または挨拶をしなかったなどがあればそれは自分を嫌いだからと思い込んでしまいがちである。
白か黒かで物事を判断し、中途半端の状態では我慢ができない場合が多い。些細なことでも一つひとつ引っ掛かりこだわってくるので、周囲にいる人たちが振り回されてしまうのがこじらせ女子型だ。基本的に思考がネガティブなので、周囲を振り回した後は大きな自己嫌悪に陥る。結果さらに自分に自信を無くして悪循環を繰り返してしまうので、一層こじれてしまいがちだ。
#孤立型
孤立型の中二病は誰ともつながりを持とうとせず、自分の殻に閉じこもり行動力も衰える。場合によっては自室から出ようとしない、いわゆる引きこもりのような状況にもなりがちなのが孤立型だ。学校や家庭などでも誰とも口を利かず、話しかけられても最低限のことしか話さない。だからといって何も考えず周囲と距離をとっているのではなく、自分について深く考えた末に孤立型になる場合が多く見られる。
例えば、受験勉強や部活動など一つのことに邁進し、周囲に目もくれず一筋に努力を重ねてきたにもかかわらず挫折してしまったタイプだ。受験や部活動で思うような結果が出せなかったとき、または自分の努力が全く報われなかったときに大きな虚無感に襲われ未来が考えられなくなってしまうのだ。挫折しなかった場合でも、一心に努力を重ねてきたことが終わり、初めて自分の人生についてじっくり考える時間ができた時に孤立型になる場合がある。
#天然型・不思議型
中二病には天然型・不思議型もある。このタイプは漫画やアニメにはまっているタイプが多く、登場人物やキャラクターになり切ったような話し方や態度、さらには服装や髪型までアニメキャラクターの真似をすることがある。具体的には、ファッションに十字架のアクセサリーや包帯、眼帯やチェーンなどちょっと怪しげなアイテムを取り入れ始める。スピリチュアルな事象に関して興味を持つことも多く、自分は特殊な力を持っている、または神と交信できるなどといった発言をすることもある。基本的には誰とでもフレンドリーに交流するが、行動や態度がエスカレートすると孤立することもあるタイプだ。
#中二病の経過
中二病は、孤立型以外は全般的に思春期特有の自己顕示欲の表れと言って良いだろう。体が大人になっているにもかかわらず、精神的な面や経験的な面、知識的な面で成長しきれていない部分を補うために、自分自身を大きく特別なものと周囲に認知されたいという思いが中二病として表面化しているのだ。多くは年齢を重ねるに従い次第に表面化しなくなり、元のナチュラルな状態へと戻っていく。そのため、状況がひどくならなければ自然に任せておいて良いだろう。
また、中二病を恥ずかしいことであると認識した場合、逆に不自然に自分の行動を律してしまい思い通りに行動できなくなったり、言葉を発せなくなったりする場合があり、これを裏中二病と言う。また、中二病をからかったり揶揄したりするタイプを高二病と言い、さらに中二病を嘲笑する高二病を非難し嘲るタイプを大二病と呼ぶなどの派生語も存在する。
「中二病」の語源・由来
「中二病」の語源・由来は、1990年代、タレントの伊集院光氏の深夜ラジオ番組『罹ったかなと思ったら中二病』というコーナーが語源とされている。ラジオの中で、伊集院光氏が具体的な中二病の症状として挙げているのは、「急に大人は汚いと言い出す」「本当は美味しいと感じていないにもかかわらずブラックコーヒーを注文する」「本当の親友を探そうとする」「特に不満もないのに親にわざと冷たい態度をとる」「孤高を愛する」などである。中二病とはいわゆる俗語・造語の一種で、ネットの掲示板上で活用されるようになり次第に一般化していった言葉だ。ネット上では中二病の「中」を厨房の「厨」に置き換えて用いられることが多い。インターネットの掲示板上では自虐的に用いたり、相手の態度や言葉が幼いことを指摘したり、またはギャグの一環としたりして使われている。
中二病は多くの人が多少なりとも経験があることで、思春期独特の考え方や価値観、友人関係や理想の自分を美化してノートなどに記録し保存している人も多く、大人になって自らの黒歴史として自虐的に紹介するユーチューバーなども見られる。
厨二病
厨二病(ちゅうにびょう)とは、いかにも思春期らしいと感じさせる言動を生じさせる要因、またそういう言動をする人を揶揄していう俗語。典型的には、不自然に大人びた振る舞いをしたり、過剰に斜に構えた態度をとったり、自分を常人とは違う特別な存在だと考えたりするような言動について用いることが多い。また、ある物事が、そういう言動をしがちな人が好みそうな性質を備えていることも指す。自虐的にも用いる。「中二病」「中2病」とも表記する。略して「厨二」ともいう。
用例:「厨二病にかかる」「厨二病をこじらせる」「厨二病全開のノート」「厨二病くさいバンド」
「中二病」は、思春期らしい言動が中学2年生ごろの男子に特有のものであると考え、疾病に見立てたことからの命名で、1999年にTBSラジオの番組「伊集院光のUP’S 深夜の馬鹿力」で用いられたのが最初である。当初は、「洋楽を聴き始める」「親に反発する」などの「症状」があるとされた。2000年代半ばに、インターネットの掲示板において幼稚で痛々しいと感じさせるような書き込みを揶揄するのに用いられはじめ、広まった。「厨二病」の表記は、ネットスラングで中学生を意味する「中坊」に「厨房」の字を当てていたことによる。後には、インターネット掲示板「2ちゃんねる」に書き込まれた、中学生の頃に自らには第三の目である「邪気眼」が備わっているというキャラクターを演じていたという投稿が広まったことから、自身に超常的な能力が備わっていると妄想することを特に指して「厨二病」ということも多くなった。
「厨二病」と同様に、思春期らしい言動を引き起こす要因として捉えられるものに「自意識過剰」「自己顕示欲」「自己陶酔」「自己愛」などがあるが、これらがいずれも思春期に特有に見られるということを含意しない一方で、「厨二病」は思春期特有のものであるという意味合いが強い。さらに、「厨二病」はこれらのいずれかもしくはすべてを包含しうる概念である。また、「厨二病」はこれらに比べてからかいのニュアンスがきわめて強い。
(執筆:稲川智樹)
中二病
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中二病(ちゅうにびょう)とは、「(日本の教育制度における)中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動」を自虐する語[1]。転じて、思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング。派生語に高校2年生を指す「高二病」、大学2年生を指す「大二病」がある。
なお「病」という表現を含むが、実際に治療の必要とされる医学的な意味での病気、または精神疾患とは無関係である。
概要
発祥
「中二病」という語の発祥は、1990年代末にラジオ番組『伊集院光のUP'S 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)で生まれた造語という説がある(後述)。1999年1月11日放送の同番組内でパーソナリティの伊集院光が「自分が未だ中二病に罹患している」と発言し、翌週から「かかったかな?と思ったら中二病」(1999年1月18日 - 3月22日)というコーナーを立ち上げ、リスナーから募った「症例」(と銘打った投稿ネタ)を体系化させていった。
伊集院本人が指標として挙げた例は「『因数分解が何の役に立つのか?』『大人は汚い』と言い出す」「本当の親友を探そうとする」など。放送当時は番組リスナーの間だけで用いられるだけの名称であり、番組内においてコーナーが終了してからは次第に忘れられていった。
後に、伊集院本人は発祥について、みうらじゅんと会話した際「中学校2年生の男子は精通が始まったり、体の成長と心の成長のバランスが取れない時期が一番、面白い」というみうらの発言から「あの時期、特有の病気にすれば、恥ずかしくないよね。四十肩みたいな感じで『中二病』って」というやりとりで生まれた言葉だと語っている。[1]
意味の変化
その後、2005年を境にインターネット上で再び広く使われるようになる。当時2ちゃんねる生活全般板にあった「中二病総合スレ」等で使われるうちに自虐の意味が薄れて揶揄する意味合いが強くなり、「過去の失態を告白してみんなで奇声を発するスレ」に投稿された「邪気眼」と呼ばれる投稿から、思春期の少年が行いがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などに対する蔑称、特に創作物の評価において「身の丈に合わない壮大すぎる設定や仰々しすぎる世界観を持った作品」、ひいては「非現実的な特別な世界観や設定そのもの」を揶揄・否定するネットスラングとして定着した[2]。
またネットスラングとしては、中学生を表す「中坊」から転じた2ちゃんねる用語「厨房」と融合して、「中」の字を「厨」で置き換えた厨二病という表記も見られる[3]。
さらには「中二病」の語を、思春期を指す「中2」という年齢を超えて拡大解釈する用例もみられるようになり、千野帽子は2009年の著作中で、小説『ドン・キホーテ』を「主人公は色メガネを通して世界を認識している。人々は彼を言いくるめるためその妄想を否定せずに付き合ってやるが、そうしてますます彼は自分の妄想にのめり込む」という悪循環から、「50歳からの中二病」という副題を付けたいとしている[4]。
こうした意味合いの変遷について、伊集院本人は2009年12月4日に自らのTwitterで、「もう僕の作った時の意味と違うから言葉自体に興味無いです。」と語っている[5]。
「中二病」を巡る対立
2012年2月20日、日本のヒップホップMCのZeebraが自らのTwitterで「今更知ったが、中二病って言葉伊集院光が作ったのか。余計な事しやがって。 何にも本気になれない『出る杭を打つ』クソみてえな文化を助長するだけ。島国根性丸出し。」と名指しで批判した[6]。
それをフォロワーから知らされた伊集院は、Zeebraに「私もあなたもメディアに出ている人間です。発言が曲解されることもままあります。それらを見て苦笑いすることは無いですか?ウィキなど他人の発言をどっぷり信じる人に違和感はないですか?私はそうです。神宮球場でのあなたの演出した映像はカッコよかったです。野球大好きなので(笑)」というDMを出して返答した[6]。
Zeebraはこれに対し、「伊集院さんの意図は通じました。結果が残せるか残せないかは、やってみないと分かりません。夢は叶わない事の方が多いから。何よりも試さずに諦める風潮だけは根絶したいです」とツイートを投稿した[6]。
伊集院は後日、『伊集院光 深夜の馬鹿力』で「この人とは考えが合わない」「ディスったとかディスられたとか、どうでもいいわ!正直めんどくせぇ!」と発言した[6]。
具体例と分析
オタク文化研究会著『オタク用語の基礎知識』の当該項目では、典型的な「症例」として以下6点が紹介されている[7]。
- 洋楽を聴き始める。
- うまくもないコーヒーを飲み始め「コーヒーはブラックが美味い」などと強がる。
- 売れたバンドを「売れる前から知っている」とムキになる。
- やればできると思っている。
- 親に対して「プライバシーを尊重してくれ」と激昂する。
- 社会の勉強をある程度して、歴史に詳しくなると「アメリカって汚いよな」と急に言い出す。
珍しい例では、自分にしか読めない文字を自作する人もいる[要出典]。アニメーター河野紀子によると「承認欲求」と「自己同一性」という2つの心理から生まれるとされる[8]。
荻上チキは、中二病の「症例」の多くが学校空間内で確認されていることを指摘。そして、しばしば中二病として嘲笑の対象となるのは本人が自己設定した(外部から見れば片腹痛いような)奇異なキャラクターを周囲に押し付けるような振る舞いであり、これは学校空間が「キャラをめぐる病」を引き起こしやすい環境であることを示唆していると述べている[9]。
タイプ
ライトノベル作家、塞神雹夜(さえがみ ひょうや)の『中二病取扱説明書』によると[10]、中二病には主に以下の3つのタイプがあるとされる。
- DQN系
- 反社会的な行動や不良を演じ、格好いいと思い込んでいる。根は真面目であったり、臆病であったりするので本当の不良にはなりきれない。喧嘩や犯罪行為に対する虚言が多い。「DQN」とは「反社会的な人」や「迷惑な不良系」を表すネットスラング。
- サブカル系
- 流行に流されずマイナー路線を好み他人とは違う特別な存在であろうとする。別にサブカルが好きなわけではなく他人と違う趣味の自分は格好いいと思い満足している。
- 邪気眼(じゃきがん)系
- 不思議・超自然的な力に憧れ、自分には物の怪に憑かれたことによって発現する、抑えられない隠された力があると思い込み、そのような「凄い力」がある自分を妄想し、悦に入る。また、そういった設定のキャラクター作りをしている。
- 「邪気眼」という名前はこのタイプの中二病の有名かつ代表的な体験談において、筆者の塞神雹夜が設定していた隠された力に由来している。
中二病を題材とした作品
- 中二病でも恋がしたい!
- 異能バトルは日常系のなかで
- 厨病激発ボーイ
- 厨二くんを誰か止めて!
- AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜
- ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。
- STEINS;GATE
- Fourteen-Sick - milktubの楽曲。アルバム『SMILE ENERGY』収録。
- ライ麦畑でつかまえて - アメリカ版中二病小説。中二病は現代の日本だけでないことがよくわかる。
脚注
- ^ a b 大井義明. “「中二病」発案のタレントが単語の真意説明「元々、人を攻撃する言葉じゃなかった」 - 芸能 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年12月7日閲覧。
- ^ “厨二病”. WE-KEY PEDOPHILIA. 5pb./Nitroplus/RED FLAGSHIP. 2011年7月19日閲覧。 steinsgate.jp 内キーワード解説ページ
- ^ “ネメシス|漆黒のノイエゼーレ|作品紹介|講談社コミックプラス”. 講談社. 2011年7月25日閲覧。
- ^ 千野帽子『読まず嫌い。』角川書店、2009年、30-31頁。ISBN 978-4-04-885027-8。
- ^ 伊集院光(@HikaruIjuin) (2009年12月4日). “「もう僕の作った時の意味と違うから言葉自体に興味無いです。」”. Twitter. 2018年1月18日閲覧。
- ^ a b c d “「正直めんどくせぇ!」伊集院光VS Zeebra『ディスり騒動』の顛末”. リアルライブ (2012年2月21日). 2018年1月5日閲覧。
- ^ オタク文化研究会「中二病」『オタク用語の基礎知識』マガジン・ファイブ、2006年3月9日、102頁。ISBN 4-434-07396-6。
- ^ 荒井陽介 (2012年8月22日). “[CEDEC 2012]「GOD EATER」のリードアニメーターが,ポージングによる“中二的”キャラクターの表現方法を紹介”. 4Gamer.net. 2018年1月5日閲覧。
- ^ 荻上『ネットいじめ――ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」』 PHP研究所、2008年、226-227頁。ISBN 978-4569701141。
- ^ 塞神雹夜『中二病取扱説明書』コトブキヤ、2009年1月13日、2-3頁。ISBN 978-4-7753-0685-7。
参考文献
- オタク文化研究会 『オタク用語の基礎知識』マガジン・ファイブ、2006年2月。ISBN 978-4-434-07396-0
- 塞神雹夜『中二病取扱説明書』コトブキヤ、2008年12月20日。ISBN 978-4-7753-0685-7
関連項目
- 大二病 - 派生語
- インターネットスラング
- 伊集院光 深夜の馬鹿力 - 発祥となったとされる伊集院光のラジオ番組。
- コサキンDEワァオ! - ラジオ番組。同趣旨のコーナーに「中2の放課後」がある。
- やしろあずき - web漫画で自身の中二病の経験を頻繁にネタにしている。
- 思春期、自己同一性
- タブロイド思考、ステレオタイプ
- 自己暗示、思い込み
- アザーキン - 自らを人間以外と規定するサブカルチャー
- スノッブ
厨二病(ちゅうにびょう)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 14:16 UTC 版)
「STEINS;GATEの用語一覧」の記事における「厨二病(ちゅうにびょう)」の解説
「中二病」とも。思春期の少年少女に見られる少し不思議な行動や言動。あるいは思春期を過ぎてもそのような振る舞いをする人へのからかいの言葉。元々はあるラジオ番組のリスナー投稿コーナー用の造語であり、自虐ネタの一環だったがインターネット上で広く認知されてからは意味が変化、多様化し、現在では主にネット上にてレッテル貼りや侮蔑目的で使われることの多いスラングと化しており、同時に何種類もの派生言語が存在している。ネット用語で同じく蔑称の「厨房」と意味が混同されることも多く、「厨」という文字は厨房や○○厨と言う蔑称に掛けて中二病の「中」を捩ったものである。
※この「厨二病(ちゅうにびょう)」の解説は、「STEINS;GATEの用語一覧」の解説の一部です。
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