世俗社会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 13:43 UTC 版)
宗教学において、現代の西洋社会は世俗的であると一般に認められている。これはおおむね完全な宗教の自由と、宗教が究極的には政策決定に指示しないという一般的な確信による。それでも、宗教的伝統に基づく道徳観は各国で重要なままである。例えば世俗社会の本質を描写したD.L.マンビーによれば、世俗社会は次のように特徴付けられる。 世俗社会は宇宙の性質と人間の役割についていかなるものであれ唯一の視点があるという立場を拒否する。 それは均質的ではなく多元的である。 それは寛容である。 それは個人の意思決定の範囲を拡張する。 あらゆる社会はいくつかの目的を共有するものだが、そのために問題解決の手法とルールの枠組みが構成員の間で共有され、同意されていなければならないことを意味する。世俗社会では可能な限りそれが最小限に抑制される。 現象の調査を通して、問題解決は理性的に図られる。 世俗社会はいかなる全体主義的な目標も設定しない一方で、それは構成員個人の目標を理解する助けとなる。 それはいかなる公的な偶像も持たない社会である。どんなことにでも応用できるような[社会から]是認された一般的な行為はない。 そして世俗社会の背後にあるポジティブな理念は 個人と小グループへの深い尊敬 全ての人々の平等。各人は各人の長所を理解し合うために助けあわなければならない。 身分制度や階級制度の破壊。 伝統的な西洋宗教の権威に対する挑戦の結果として生まれた現代社会学は、デュルケーム以来しばしば世俗化された社会における権威の問題や社会学的、歴史的プロセスとしての世俗化に注目した。D.L.マンビー、マックス・ウェーバー、カール・ベッカー、カール・レーヴィット、ハンス・ブルーメンベルク、M.H.エイブラムス、ピーター・L・バーガー、ポール・ベニシューらが20世紀にこの問題の理解について貢献した。 世俗主義はまた宗教と超自然的信念が世界の理解の役に立たず、むしろ自主自立や理性といった現実的な問題から人々を隔離すると主張する。この意味では世俗主義は科学や理性、自然主義思想の推奨と結びついている。また、世俗主義はそれら三つの理念(のどれかひとつでも)を推進する習慣と言うこともできる。そのため世俗主義の主唱者は必ずしも宗教的に中立ではないかも知れない。同時に世俗主義が必ずしも無神論であるというわけではない。社会や政府に対する宗教の影響を認める無神論者がいるかも知れず、同時に信心深い世俗主義者も存在しうる。世俗主義は世俗的ヒューマニズムの必須の概念である。
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