メタフィクションとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > メタフィクションの意味・解説 

メタフィクション【metafiction】

読み方:めたふぃくしょん

小説について考え小説小説批評する小説


メタフィクション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/20 16:34 UTC 版)

メタフィクション: Metafiction)とは、フィクションについてのフィクション、小説というジャンル自体に言及・批評するような小説のこと[1][2]。また、「メタ」と略して使う人も多い。

概要

メタフィクションは、漫画・アニメ・小説などにおいて「それが作り話だ」ということを意図的に(しばしば自己言及的に)読者に気付かせることで、虚構と現実の関係について問題を提示する[3]。メタフィクションの自己言及の方法には、例えば小説の中にもうひとつの小説について語る小説家を登場させたり、小説の内部で先行作品の引用・批評を行ったり、小説の登場人物を実在の人物や作者と対話させたり、あるいは作者自身を登場人物の一人として作品内に登場させる、といったものがある[4]。小説の登場人物のセリフで「何せ、設定が安直だから、そんな事じゃないかと思って」(主人公がゲストキャラクターに「いろんな事をよく知ってるなぁ」と評されて)や「これは小説(漫画・アニメ)だから」などの発言(いわゆる「メタ発言」)もこれに類する。

メタフィクションの傾向や、機能は潜在的にはあらゆる小説に多かれ少なかれ存在していると言えるが[5]、古典文学における典型的な例としては、語り手が自分の語る物語の脱線について絶えず弁解をおこなうロレンス・スターントリストラム・シャンディ』が挙げられる[1]ミゲル・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』は2部構成だが、第2部は作中で第1部が出版されているという設定であり、劇中で主人公が自分について書かれた小説に言及する。近代文学では芥川龍之介が「作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。」、「だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。」と記す『羅生門』、現代小説における実践としては「あなたはいまイタロ・カルヴィーノの新しい小説を読み始めようとしている」という書き出しではじまるイタロ・カルヴィーノ冬の夜ひとりの旅人がイタリア語版英語版』などが挙げられ[1]ポストモダン小説はその多くがメタフィクションの傾向を持っている[1]

「メタフィクション」という用語は、アメリカ合衆国の批評家・小説家ウィリアム・H・ギャスの1970年の論文から使われはじめたものと推測されている[3]。日本では、筒井康隆などを論じた高橋康也の「メタフィクション覚え書き―筒井康隆論のための小さな助走」(『新潮』1983年5月号)から一般化した[2][6]

漫画(特にギャグ漫画)・アニメなどで扱われるメタフィクションはさらに露骨で、リアリティや考証の正確性を度外視し、登場人物が『別ルートのネタバラシになるが…』や『本編でクリアした女の子と…』などと喋るものまで存在する。

脚注

出典

  1. ^ a b c d 川口喬一、岡本靖正 編 『最新 文学批評用語辞典』 研究社出版、1998年8月、270頁。ISBN 4-426-11302-4
  2. ^ a b 『カタカナ・外来語/略語辞典』[全訂版]、自由国民社、1999年10月、636頁。ISBN 4-426-11302-4
  3. ^ a b ウォー 1986, p. 13.
  4. ^ 巽孝之『メタフィクションの謀略』ちくまライブラリー、1993年、I頁。ISBN 4-480-05195-3。2001年3月に『メタフィクションの思想』としてちくま学芸文庫から再刊。
  5. ^ ウォー 1986, p. 17.
  6. ^ 高橋康也「メタ・フィクション覚書 筒井康隆論のための小さな助走」、『新潮』第80巻第6号、新潮社、1983年6月、218-228頁。

参考文献

関連項目

外部リンク


「メタフィクション」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「メタフィクション」の関連用語

メタフィクションのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



メタフィクションのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのメタフィクション (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS