プルタルコスとは? わかりやすく解説

プルタルコス【Plūtarchos】

読み方:ぷるたるこす

46ころ〜120ころ]古代ギリシャの哲学者・著述家伝記哲学自然科学など広い分野にわたる著作活動行った。著「英雄伝対比列伝)」「倫理論集」など。プルターク


プルタルコス

名前 Plutarchos; Plutarchus

プルタルコス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/11 22:18 UTC 版)

プルタルコス像

プルタルコス: Πλούταρχος:Plutarchus、46年頃 - 119年以降)は、帝政ローマギリシア人著述家。著作に『対比列伝』(英雄伝)などがある。英語名のプルターク(Plutarch [ˈpluːtɑrk])でも知られる。

略歴

ボイオティアにあるカイロネイアの名門出身。アテナイ数学自然哲学を学び、ギリシャ本土と小アジアサルディスエジプトアレクサンドリアに赴き、カイロネイアの使節としてローマにも度々滞在した。生涯を故郷で過ごし、市民と親しく付き合い、ローマからの客をもてなしたので、家は大いに賑わったとされる。一方では、デルフォイ神殿の神官と交流を持ち、神託を推奨した。

思想的には、アカデメイア派または中期プラトン主義に属し、その他ストア派ペリパトス派の考え方も取り入れ、折衷主義、穏健な懐疑主義[1]の立場をとった。

著作

著作活動に熱心で、3世紀頃に編纂されたプルタルコス著作目録『ランプリアス・カタログwikidata』には、『対比列伝』(英雄伝)をはじめ、227もの書物が挙げられている。

『対比列伝』は1人の人物を記述した単独伝記4編と、古代ギリシアの人物と古代ローマの人物を対比した対比列伝22編からなる。対比列伝では、アテナイの王テセウス王政ローマを建国したロムルススパルタの立法者リュクルゴスとローマの古王ヌマアレクサンドロス3世(大王)とカエサル、などが対比されている。

この『対比列伝』は16世紀ジャック・アミヨによる仏訳がなされ、その仏語版から17世紀のサー・トマス・ノースが訳した英語版を参考にシェイクスピアは『ジュリアス・シーザー』、『アントニーとクレオパトラ』、『コリオレイナス』などのローマ史劇を執筆したとされる[2]

倫理論集(モラリア)英語版』は政治・宗教・哲学などについて論じた随想集であり、エッセーの起源であるとされる。のちにモンテーニュラブレーなどのルネサンス期のフランス文学や、ラ・ロシュフーコーなど17、18世紀のフランスモラリストに、大いなる影響があった。

日本語訳

対比列伝
倫理論集(モラリア)
  • 『モラリア』全14巻、戸塚七郎松本仁助・伊藤照夫・瀬口昌久ほか訳
    京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、1997年-2018年に刊行
  • 『倫理論集の話』(抜粋訳) 河野与一選訳、岩波書店、1964年、復刊1983年ほか
  • 『モラリア』抜粋版は以下。各・柳沼重剛訳(岩波文庫)
    • 『饒舌について 他五篇』(1985年)
    • 『愛をめぐる対話 他三篇』(1986年)
    • 『食卓歓談集』(1987年) - 「酒席で哲学論議をしてもよいか」など33編。
    • 『似て非なる友について 他三篇』(1988年)
    • 『エジプト神イシスオシリスの伝説について』(1996年)
  • 『古代ホメロス論集』 内田次信訳、京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2013年
    プルタルコス「ホメロスについて 1・2」/ヘラクレイトス「ホメロスの寓意」を収録

研究

  • 『『英雄伝』の挑戦 新たなプルタルコス像に迫る』
    小池登・佐藤昇・木原志乃編、京都大学学術出版会、2019年

脚注

  1. ^ 中畑正志 著「プラトン哲学・アリストテレス哲学の復興」、内山勝利 編『哲学の歴史 第2巻 帝国と賢者 古代2』中央公論新社、2007年。ISBN 9784124035193 477f頁。
  2. ^ トマス・ノース英訳版『プルターク英雄伝』(塚田孝雄編、龍渓書舎、1993年)は高価な特製本2冊組で刊行。
  3. ^ 3巻目までが柳沼訳。2015年5月に4巻目、2019年に5巻目、2021年5月に6巻目刊。最終6巻目に全冊の固有名詞索引を収録
  4. ^ 初刊は『プルターク英雄伝』全6巻、鶴見祐輔訳、改造社、1934年。
  5. ^ 初刊は昭和初期の1930年、様々な版で刊行された

外部リンク


プルタルコス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/21 00:40 UTC 版)

ミニュアデス」の記事における「プルタルコス」の解説

プルタルコスの「ギリシア諸問題38によると、ミニュアースの娘たちは狂気に憑りつかれて人肉欲し、3人で籤を引き、当り引いたレウキッペー息子ヒッパソス引き裂いて殺した彼女たちの夫は悲しみ暮れるあまり薄汚れた姿をしていたので、プソロエイス(ψολόεις, Psoloeis,「すすまみれの人々」)と呼ばれた。また彼女たちはオレイアイ(ὀλεῖαι, oleiai, 「殺人女」)と呼ばれオルコメノス人たちは彼女たちの子孫をも同じくオレイアイと呼んだ

※この「プルタルコス」の解説は、「ミニュアデス」の解説の一部です。
「プルタルコス」を含む「ミニュアデス」の記事については、「ミニュアデス」の概要を参照ください。

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