アラビア人とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > アラビア人の意味・解説 

アラビア‐じん【アラビア人】

読み方:あらびあじん

アラブ人

「アラビア人」に似た言葉

アラブ人

(アラビア人 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/22 07:32 UTC 版)

アラブ人
العرب al-ʿarab
代表的なアラブ人

上から1段目: ピリップス・アラブスダマスコのイオアンキンディーハンサー

2段目: ファイサル1世ガマール・アブドゥル=ナーセルアスマーン英語版メイ・ジアデ英語版
総人口
2017年推定で約4億人[1]


約3億5000万人から4億2200万人[2]


(正確な統計ないため過去統計と人口増加率からの推定値・急速人口増加中)
居住地域
 アラブ連盟339,510,535人
 ブラジル15,000,000人[3]
 フランス6,500,000人[4]
 アルゼンチン3,500,000人[5]
 アメリカ3,500,000人[6]
 コロンビア3,200,000人[7]
 イラン700,000人 - 2,000,000人[8]
 イスラエル1,500,000人[9]
 メキシコ1,100,000人[10]
言語
アラビア語南アラビア諸語アーンミーヤ
宗教
主にイスラム教キリスト教ユダヤ教がごく少数存在する。

アラブ人(アラブじん、العرب،عربي)は、おもにアラビア半島西アジア北アフリカなどのアラブ諸国に居住し、アラビア語を話し、アラブ文化を受容している人々。

7世紀ムハンマド(マホメット)によってイスラム教が開かれ、中東北アフリカを中心に勢力を拡大した。

もともとアラビア人をアラブと呼ぶが、日本では誤訳から始まった呼び方で定着した。

概要

キングダム・オブ・ヘブンサラディン役で有名なシリア人俳優ガッサーン・マスウード

ムハンマド以前、アラブ人は統一された社会共同体もなく、部族社会を形成していた。部族はたびたび水資源や利権を巡って争い、破壊や略奪といった無法な行為を行っていたものの、戦では詩の優劣で勝敗を決めることがあるという非常に発達した精神文化も備えていた。ムハンマドによるイスラム教の創始以降、イスラム教のもとでイスラム文化は最高潮に達し、イスラム世界では錬金術を原点に各種の科学数学哲学が発展し、文学の発展もあった。しかし17~18世紀ごろを境にして、後にヨーロッパで起きた科学革命産業革命に後れを取るようになった。

「アラブ人」という概念は人種的存在とは言えない。むしろセム語アラビア語)という言語を共有する人々としてであったり、聖書に窺える、ある人物を始祖とするという共通概念で規定される。アラブ人は旧約聖書に登場するアブラハムが妻サラの女中であるハガルとの間に生ませた長男のイシュマエルを祖とするイシュマエル人の子孫と称し、イサクの次男ヤコブの子孫であるユダヤ人とは別の民族になったとしている。民族的概念と人種的概念が一致しないという点で、アラブ人とユダヤ人は共通するといえる。最初のアラブ人はアラビア半島の住民である(いわゆる「アラビア人」は、イスラム教徒でもある彼等およびその子孫全般のみを指す)が、イスラム教の聖典のクルアーンはムハンマドを通じてアラブ人にアラビア語で伝えた神の言葉とされているため、イスラム教の拡大によってベルベル人エジプト人、そしてメソポタミア人(イラク人)などの近隣の多くの人々が言語的に同化し、アラブ人となった。その後、20世紀初頭にオスマン帝国や欧州列強の植民地支配に対する抵抗運動の中で汎アラブ主義が勃興し、アラビア語話者の間に「アラブ人」という民族意識が補強された。

ただし、キリスト教徒のアラブ人にはアラブ人としての民族意識は宗派によってばらつきがあり、東方正教会の信者には(パレスチナ難民内にも多くの信者がいることもあり)有力な汎アラブ主義指導者(ジョージ・ハバシュなどのように一部は「テロリスト」とされることもあった)になる者もいる。

その一方で、レバノンのマロン派の信者は古代フェニキアの子孫としての民族意識が、イラクなどのアッシリア人は古代バビロニア、アッシリアの子孫としての民族意識が、エジプトのコプト正教会の信者はコプト語の話者であることから古代エジプトの子孫としての民族意識が強い。

現在ではシリア人パレスチナ人エジプト人マグリブのアラビア語系住民、身体的形質の上では黒人とされる人々を含むスーダンモーリタニアなどの「ブラックアフリカ」におけるアラビア語話者、さらにベルベル系の諸民族やソマリ人などアラビア語以外の言語を母語とする者までがアラブ人として自己規定する場合もある。ただし、典型的なコーカソイドのアラブ人は、ネグロイドのアラビア語話者をアラブ人と認めないことが多い。

ベドウィンなど、遊牧民や砂漠の民のイメージもあるがこれは一面的な解釈にすぎない。彼らは多くの穀倉地帯を抱えた農耕民族でもあり、インド洋を股にかけた海洋民族でもある。イスラム文化は高度に発達した都市文明の産物であり、西欧を中心に発祥した近代科学にも大きな影響を与えている。

遺伝子

アラブ人を特徴づける遺伝子はY染色体ハプログループJ1である。このタイプは現在アラブ人の分布する中東~北アフリカで高頻度にみられる。特に北アフリカではアラブ人の入植により急速にJ1が広まったものと推定される。 人種的なアラブ人は上記の通りなのだが人種的なアラブ人、つまりアラビア半島出自のアラブ人はサウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、ヨルダン(現在パレスチナ系、メソポタミア系の難民が7割を占める)、エジプト、チュニジア、モロッコ、アルジェリアで多い。シリア、イラク、レバノンはメソポタミア系やイラン、トルコ系、リビアはベルベル人、イエメンは原始アラブ人だが文化的にはアラブ人と定義づけられている。

主なアラブ人国家

著名・有名なアラブ人

脚注

関連項目


「アラビア人」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アラビア人」の関連用語

1
セム デジタル大辞泉
58% |||||

2
ダウ デジタル大辞泉
58% |||||

3
アラブ人 デジタル大辞泉
56% |||||

4
ダンセーニ デジタル大辞泉
52% |||||

5
モガディシオ デジタル大辞泉
52% |||||

6
ローレンス デジタル大辞泉
34% |||||

7
大食 デジタル大辞泉
34% |||||




アラビア人のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アラビア人のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアラブ人 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS