東京出入国在留管理局(東京入管)が11月に強制送還したブラジル国籍の女性(20)は母国に帰った後の3日間、空港から移動できず、ベンチで寝泊まりした。母国に身寄りがなく、帰国後の支援も受けられなかったためで、東京新聞の取材に「ひどい経験だった」と振り返った。(池尾伸一)
◆「バッグなどを盗まれないよう、警戒して眠れなかった」
女性はブラジルの施設で孤児として育った。日系人夫婦の養子となり、12歳だった2016年に一家で来日した。在留資格は「留学」。高校を卒業したものの、今も日本で暮らす夫婦に実子がいたことなどから疎遠になった。専門学校在学中にうつ病も発症。出席日数が足りず、在留資格を失った。今年8月に収容され、退去命令も出された。
11月8日夜に強制送還され、ブラジル南部サンパウロの空港に9日夕(日本時間10日早朝)に到着。しかし、在日ブラジル総領事館に一時的な宿泊先として勧められたNPO施設に空きがなく、12日朝まで空港内のベンチで過ごした。「バッグなどを盗まれないよう、警戒して眠れなかった」と話した。
所持金は支援者がカンパした2万円だけ。空腹をクッキーでしのいだ。交流サイト(SNS)で、幼少時に施設で別れた弟の名前を発見。弟とその養父母の元へ、サンパウロから16時間かけてバスで移動した。今もこの家庭で暮らす。「とてもつらかった。精神的な傷を受け、治療を受けている」と明かした。
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◆強制送還先の生活支援すら受けられず
強制送還される人が母国に身寄りがない場合は人道的配慮から、国連の国際移住機関(IOM)の支援を受けられる。女性の支援者は東京入管に、IOMの活用を要請した。だが、...
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