1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)であった一家4人強盗殺人事件で、凶器を売った店とされた沼津市の「菊光(きくみつ)刃物店」が13日、犯人として死刑囚となった袴田巌さん(88)の再審無罪確定を受け、看板を外した。一審では3代目の高橋国明さん(74)=群馬県板倉町=の亡き母みどりさんの証言が有罪の証拠の一つとされた。みどりさんは後に証言を誤りと認め、晩年は気に病み続けた。高橋さんは13年前の廃業後も「事件は続いている」と看板を掲げ続け、この日、区切りを付けた。(山本真嗣)
◆「思っていることと違うことを話した」
「ようやく、終わった」。13日午前10時過ぎ。菊光刃物店と書かれた看板が外され、店の前に下ろされると、高橋さんはかみしめるように話した。
死刑判決で、凶器とされた「くり小刀」を袴田さんが購入した店とされた。高橋さんの父福太郎さんとみどりさんが検察側の証人となり、店番をしていた母みどりさんが「(袴田さんに)見覚えがある」とした証言が決め手となった。
だが、みどりさんは10年ほど前、報道機関の取材に「思っていることと違うことを話した」と明かした。みどりさんが法廷で証言した当時、高校生だった高橋さんは、地裁から戻ったみどりさんが「証言の仕方って教えてくれるのね」と口にしたことを覚えている。検察側の誘導があったのではと、今も疑う。
◆袴田さんの支...
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