<連載 ミャンマーの声>
ミャンマーの軍事クーデターにアートで対抗する人たちの活動を「こちら特報部」は伝えてきた。彼らの映画や絵画が今月、東京都内で相次いで披露される。クーデターから3年余り。現地では混迷が深まっている。当局に目を付けられても創作をやめないのはなぜか。作品公開を前に聞いた。(北川成史)
◆デモを先導し逮捕状、潜伏生活
「ミャンマーの人々が直面している困難、悲しみ、人権侵害を世界に見せたい」。潜伏生活を強いられながら製作を続ける映画監督コパウ(49)は、オンライン取材で力を込めた。
2021年2月のクーデター後、約2年かけて完成させたドキュメンタリー映画「夜明けへの道(英題・RAYS OF HOPE)」が4月27日から、東京・新宿のK's cinema(ケイズシネマ)を皮切りに全国で順次公開される。
ミャンマーを代表する映画監督のコパウはクーデター後、抗議デモを先導し、当局に逮捕状を発付された。現在、タイに近い民主派勢力の支配地域に潜伏し、スマートフォンなどを使って映画製作をしている。
◆自らの闘いを軸に人々の苦境描く映画
「夜明けへの道」はクーデター後のコパウの闘いを軸にしたビデオ日記の性格を持つ。妻子と別れ、潜伏場所へ移動する緊迫した様子や、銃を手に悲壮な表情で訓練する民主派の若者らとの交流が映し出される。
「私の姿は一端で、ミャンマーの人々全体が苦境にある」とコパウは強調する。国軍が2月に徴兵制を発表後、民主派の支配地域に逃れる若者が増えている。将来を悲観し、自殺する若者の話も耳にするという。
コパウは誓う。「ミ...
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