「市を訴えるってこと?」・・・福祉課職員に怒鳴られた娘、尊厳否定され死んだ父 生活保護めぐり心に傷

2024年2月17日 17時39分 有料会員限定記事
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<砂上の安全網 ②>
 2015年9月、桐生市からの生活保護受給が決まった黒田正美さん=仮名=の父、杉本賢三さん=同、当時(61)=は、直後に心臓疾患の治療のため市内の病院で手術を受けた。

 退院後に実家の廃工場に戻れば、再び体調を崩しかねない。主治医は施設入所を勧めた。ただ、桐生市が提示したのは前橋市北部の介護施設だった。桐生市内から車で1時間以上かかるため、子育てに追われる黒田さんは難色を示して近隣施設の紹介を求めたが、担当者に「桐生市内はどこもいっぱい」と断られた。

◆保護辞退届書かされ、居場所と収入失いそうに…

 担当者はさらに、杉本さんの生活保護を廃止し、前橋市で改めて申請するよう求め、黒田さんに保護の辞退届を代筆させた。受給者が転居する場合は「移管」手続きで、保護が途切れないようにするのが通例だ。黒田さんは釈然としなかったが、制度に関する知識が乏しかったこともあって、父を施設へ入れることを優先し受け入れた。
 ここで問題が生じた。入所に必要な桐生市の介護認定手続きが未了だったため、施設に入所を断られる。居場所を失うばかりか、前橋市から生活保護を受けるまで一時的に完全な無収入になってしまう。
 辞退届は入所と引き換えだったため、黒田さんは電話で桐生市の担当者に辞退の撤回を懇請する。しかし、担当者は「施設のご案内をしただけで入れとは言ってない」などと話し、らちがあかなかった。

◆担当者との間に存在する上下関係

 黒田さんが書き残したメモにはこうある。
 「○○(担当者氏名、メモでは実名)黒田さんは何をしたいの? 桐生市をうったえるって事?」

保護の辞退届撤回を求めた黒田さんに、担当職員が「桐生市をうったえるって事?」と詰め寄る様子がメモに記されていた

 「そうやって○○さんとかにせめられてつらくって市に行く事やtelがくると調子が悪くな...

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