神奈川県が2016年度に凍結した朝鮮学校関連の学費補助。再開を求める人たちの願いは強い。全てのこどもの最善の利益を理念とする「こども基本法」が今年施行された中、横浜市内では学習会があり、「差別の解消を当事者任せにしない」と認識を共にした上、県が方針を改めるよう訴えた。(安藤恭子)
◆北朝鮮の核実験、拉致問題の教科書改訂などきっかけ
県民有志による実行委員会が「朝鮮学校を取り巻く問題を日本人の側から考えたい」と2日に初の学習会を開き、県議や横浜、川崎両市議を含め約80人が参加した。会場となった旧鶴見朝鮮初級学校の校舎は、老朽化で建て替え中の川崎朝鮮初級学校(川崎市)の仮校舎として使われている。
県内の朝鮮学校は現在、川崎を含めて四つあり、同じ学校法人が運営する。北朝鮮の核実験に伴い凍結された学校向けの補助金に代わり、県は14年度、保護者に支給する学費補助制度を導入。15年度は補助対象の児童生徒が259人で、計5600万円を支給した。
しかしこの学校法人については、拉致問題を盛り込んだ高級学校の教科書改訂がないとして、県は16年度以降、初・中級学校を含む全校に支給していない。「毎年照会を行い判断している。新年度の補助金支給は未定」(県私学振興課)という。
保護者らの救済申し立てを受けた県弁護士会は18年、「学費補助金の不支給は人権侵害」として、過去にさかのぼって交付を求める警告書を県に出した。
◆「憲法の原則、県は分かっていない」
学習会では調査を行った桜井みぎわ弁護士が講演。「ウリハッキョ(私たちの学校)は日本の偉い人からいじめられているってこと?」という子どもの声を紹介し「憲法や国際人権条約に基づく教育を受ける権利を侵害している」と指摘した。在日外国人に参政権がない中、「憲法は、議会制民主主義で守られない...
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