【寄稿】進み続けた坂本龍一さん 根源に「音楽とは何か」という問い 小沼純一・早稲田大文学学術院教授

2023年4月4日 16時00分 有料会員限定記事
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2009年10月、ローマで演奏する坂本龍一さん(AP)

 坂本龍一さんとNHK・Eテレの音楽教養番組「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」(2010〜14年)で共演するなど、親交の深かった小沼純一・早稲田大文学学術院教授に追悼の寄稿をしてもらった。

◆この10年、坂本さんの音楽に感じていたこと

 坂本さんの闘病はつらく思っていた。ごく最近くださったEメールでは、私に、老母の介護について、「愚痴でも何でも言ってください」と書いてきてくだすって。それどころではなかったろうに。
 この10年くらい、音楽について、こういう方向にいっているのか、と感慨深く思ってきた。アルバム「アウト・オブ・ノイズ」(09年)から「async」(17年)、つい先日(23年1月17日発表)の「12」など。

早稲田大文学学術院の小沼純一教授

 音楽をやりたい、曲をつくりたい。そうした思いから坂本さんは東京芸術大学に進む。それでいて、まわりの状況をみて、「現代音楽」には未来がないと、別の方向へ、もっと多くの人が音楽にふれ、共有し、共感できるところへと向かった。テクノに代表されるポップなフィールドへ、映画音楽やダンス、美術につながる方向へ。
 それでも、音楽をつくることへの志向は、欲望は、ずっとありつづけた。ポップ・スターになるのが目的ではない。有名になるのが大事なわけじゃない。音楽を商品・消費物でもあるが、それだけのものとして提出はしない。
 自分が音楽をつくるとは、音楽とは何か、どういうものなのかを探ること。もともと作曲する、発音...

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