「恥を知れ」と怒声が飛んだ…高裁が出した無罪判決に被災者から怒りの声 東電旧経営陣の刑事裁判

2023年1月18日 21時34分 有料会員限定記事
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福島第一原発事故を巡る東京電力の旧経営陣3人の控訴審判決後、「不当判決」などと書かれた紙を掲げる女性(左端)ら告訴団と支援者ら=東京・霞が関の東京高裁前

 市民の判断で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の公判は、無罪判決が維持された。検察官役となった弁護士らは、福島第一原発事故後の原発政策を転換した政府への「忖度そんたく」を指摘。事故から12年がたとうとする中、今も避難生活を続ける被災者からは怒りの声が上がった。(小野沢健太、山下葉月)

◆勝俣恒久元会長は体調不良で出廷せず

 「控訴を棄却する」
 18日午後2時すぎ、細田啓介裁判長が判決主文を言い渡すと、傍聴人で満席の東京高裁の法廷は静まり返った。証言台の前に立った武藤栄元副社長(72)と、武黒一郎元副社長(76)は身動きせずに主文を聞いた後、武藤元副社長だけが裁判長に一礼をして席に戻った。勝俣恒久元会長(82)は体調不良のため出廷しなかった。
 主要な争点となった国の地震予測「長期評価」について、細田裁判長が「当時は、信頼度がかなり低いとする評価だった」と述べると、武藤元副社長は満足そうに軽く2、3度うなずいた。武黒元副社長は、細田裁判長をじっと見つめたままだった。
 判決の読み上げは約1時間40分に及んだ。閉廷後、2人は被災者らも座る傍聴席には目を向けずに退出。静かだった傍聴席からは「恥知らず」と怒声が飛んだ。

◆思わず書き込んだ「裁判所はこれでいいのか」

判決後の報告集会で無念の表情を見せる原発事故被害者の武藤類子さん=東京・霞が関の弁護士会館で

 旧経営陣を告訴・告発した「福島原発告訴団」の武藤類子団長(69)=福島県三春町=は、判決後に東京都内で開いた集会で「はらわたが煮えくり返る思い。最高裁に上告してほしい」と憤り、「悔しい」と何度も繰り返して声を震わせた。
 傍聴席で判決の読み上げを聞いた。「一審判決を再現しているような早口で、東電側の主張を全部うのみにして言っているようだった」。聞いているうちに絶望感が高まり、メモを取っていたノートに思わず書き込んだ。「裁判所はこれでい...

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