<安保政策大転換 私はこう考える>
敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有しても、日本の安全は高まらないと考える。攻撃を受けたときに限って武力行使をするとした専守防衛という長年の宣言政策の信頼が低下し、他国の不安をかき立てる。周辺国との緊張が激化して、さらに軍備競争が加速する「安全保障のジレンマ」から抜け出せなくなるからだ。
安全保障環境が厳しいから何か対抗するべきだというのは分かりやすい論理だが、それで本当に戦争が起こりにくくなるのか真剣に考えるべきだ。
例えば、1998年の北朝鮮のミサイル発射実験を受けて日米で共同研究を進め、日本政府は2003年に弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を閣議決定した。だが、これは相手国のミサイルの軍事的効果を相殺するため、BMDの対応力を超えるミサイル開発への誘因となった。防衛力強化を期待して行ったことが逆効果となり、安全保障環境を悪化させたことを政府・与党は自覚した方が良い。
戦争は国家間の共通の不利益だ。中国などと、軍備管理...
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