福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)1、2号機間にある高濃度の放射性物質で汚染された配管の切断撤去を巡り、東京電力は、現行計画の作業を断念した。切断開始から5カ月、配管を26分割する計画はトラブル続きで、撤去できたのは1回のみ。東電は準備不足と見通しの甘さを認め、少なくとも半年かけて作業を見直す。(小野沢健太)
福島第一原発1、2号機間の汚染配管 2011年3月の事故直後、原子炉格納容器の破裂を防ぐため、炉内の汚染蒸気を放出するベント(排気)に使われた。直径約30センチで1号機側が約65メートル、2号機側が約70メートル。排気筒の接続部は、人が数時間とどまれば確実に死ぬ毎時4シーベルトの放射線量がある。1回目に撤去した配管の切断面内部は、線量が毎時3シーベルトと高かった。
◆不十分だった訓練、不具合の対処検討もできず
「模擬訓練が不十分だった。不具合が起きたときの対処策の検討もできていなかった」。東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明・最高責任者は7月28日の記者会見で、現行の汚染配管の撤去計画について事実上の白旗を揚げた。
現場は原発敷地の屋外では最も放射線量が高く、人が容易に近づけない。そのため、東電はてんびん状の切断装置を大型クレーンでつり上げ、分割する配管の両端を切断する遠隔操作の計画を立てた。
ところが、3月1日に開始した切断作業は初日からトラブルがつきまとった。長さ12メートル分の1回目の撤去では、配管の片側を9割ほど切るとチェーン状の切断器具が食い込み動作不能に。これを防ぐ対策はうまくいかぬまま、1回目の撤去は片側9割まで切った配管に何かしらの力が加わり自然に切れていたため、たまたまうまくいった。
◆高まる作業員の被ばくリスク
運任せの現行計画は、作業員...
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