イコモス2024年次総会/学術シンポジウムへの参加
令和6(2024)年11月13日~15日にかけて、ブラジル・オウロプレトで開催されたイコモスの2024年次総会/学術シンポジウムに参加しました。イコモス(ICOMOS = International Council on Monuments and Sites)とは、昭和39(1964)年に採択された「歴史的な建造物および場所の保存と修復のための国際憲章(べニス憲章)」のもとに昭和40(1965)年に設立された専門家や学識者等で組織される文化遺産保護の第三者機関(NGO)です。現在では全世界で10,000名以上の会員を擁しており、その活動は、ユネスコの諮問機関として世界文化遺産の価値評価等の審査を行うことでもよく知られています。
今年の学術シンポジウムは、ベニス憲章採択60周年の節目を捉え、「ベニス憲章の再検討:批判的な見地と今日的課題への挑戦(Revisiting the Venice Charter: Critical Perspectives and Contemporary Challenges)」がテーマに掲げられ、4本の基調講演と4回のラウンドテーブルを中心に、国際的な遺産保護の現状や将来展望について活発な議論が展開されました。その中では、気候変動や人口移動、地域間不平等などの様々な社会問題が関係するようになっている21世紀の遺産保護の潮流にあって、ベニス憲章は国際規範としての役割を十分に果たせなくなっているとの意見が主流を占める結果となり、最後に、ベニス憲章にかわる新しい国際憲章の起草を強く勧告する「オウロプレト文書(Ouro Preto Document)」が採択され、会議は幕を閉じました。
東京文化財研究所では、今後もこうした国際会議への積極的な参加を通じて、文化遺産保護に関する国際情報の収集と蓄積に努めていきます。