白金高輪駅から歩いて数分の場所にオープンした「CARTA BIANCA(カルタ ビアンカ)」。私の推しの焼鳥屋「鬼わそと」のすぐ近くです。真っ白な外壁と大きな窓が目印です。
店内はカウンター席が数席にテーブルが2卓。とは言えシェフがワンオペで運用するお店なので、予約数はグっと絞っているようです。店名の通り固定のメニューは無く、その日ある食材の説明を受け、ゲストの好みの調理法や組み合わせをシェフと相談しながら決めていくスタイルです。
ワインリストも無く、こちらもシェフと相談しながら決めていくスタイルです。料理の指定もそうですが、場慣れしていないと中々に難しいシステムかもしれません。食べ慣れたハイアマチュア同士で訪れるのが良いでしょう。
まずはカボチャのスープ。素材の自然な甘さを最大限に引き出しており、フワフワの泡と共に口腔内で溶けていきます。
サラダはチコリに似たお野菜(?)にザクロを合わせて頂きました。こちらも素材そのものといった味覚であり、身体がキレイになっていく。
スミイカに優しく熱を入れ、セリと合わせたひと品。セリの爽やかな香りとシャキシャキとした食感は、スミイカの甘みとねっとりとした口当たりを引き立て、絶妙なハーモニーを生み出します。
続いてポルペッティ。イタリア風のミートボールであり、お肉にはラムを起用しています。仔羊の甘やかな風味にトマトソースの程よい酸味が加わり、全体の旨味を引き立てます。チーズのコクが感じられるのも良いですね。メインはエゾジカをチョイス。鉄っぽく力強いアタックはありつつも、味そのものは実に繊細。牛や豚とは一線を画す細やかな味覚に舌鼓を打ちます。
炭水化物は最後に頂きました。このように、料理を食べるタイミングまで指定することが可能です。ソースはイノシシのラグー、パスタはマファルディーネをチョイス。麺の波状の縁にイノシシのラグーがたっぷり絡みつき、野性味あふれる旨味が口の中に広がります。隠し味にジュニパーベリーも潜んでおり、複雑で奥深い印象を与えます。
デザートはティラミス。伝統的な味わいですが添えられたフルーツのコンポート(?)が程よい箸休めとなり、センスの良い組み合わせです。
以上を食べ、2人で泡を1本飲んでお会計はひとりあたり1.8万円。いずれの料理も奇をてらわずシンプルにド直球で分かり易く美味しい。「アッピア」の自由度を更に高くした雰囲気で、「ドゥエ リーニュ プリュス (Due ligne +)」のようなギークっぽい空気もたっぷり楽しむことができます。
冒頭記した通り、客を選ぶスタイルではあるので、食いしん坊仲間と貸し切りでお邪魔するのも良さそう。お腹いっぱい楽しみましょう。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
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- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
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- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
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- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。