2024年ベストホテル&レストラン

本年もご愛読ありがとうございました。毎年恒例、年末の総仕上げとして、ベストホテルとベストレストランを3つづつ挙げることとしましょう。

【ホテル第3位】
ザ・テラスクラブ アット ブセナ(The Terrace Club at Busena)/名護(沖縄)
ブセナの外れに佇む「ザ テラスクラブ アット ブセナ」。子持ち様はNG。アクティブな高齢者か生活に余裕のあるパワーカップルが集うアダルトリゾートです。
目玉のタラソプールはスマホ持込厳禁なので変なインスタグラマーが来ないのも嬉しい。パパ活なんてもってのほか。

【ホテル第2位】
コンラッド大阪(Conrad Osaka)/中之島

ヒルトングループにおける最高級ブランド「コンラッド(Conrad)」。プレーンなヒルトンは泊まるたびにイラつかされるのですが、「コンラッド」や「ROKU」などの上級ラインナップは別格の居心地の良さです。プレーンなヒルトンの倍の価格設定ですがそれ以上の価値がある。
2026年に予定している「コンラッド名古屋」の開業が今から楽しみです。

【ホテル第1位】
パークハイアット釜山(Park Hyatt Busan)/マリンシティ
素晴らしいホテルでした。これはもう、好きを通り越して住みたいレベルです。ホテルから海雲台(ヘウンデ)ビーチまでは歩いて15分ほどで、その間に感じの良いレストランやカフェも多く、少し足を伸ばせばセンタムシティという巨大ショッピングモールもある。日本との間に時差もないことですし、ワーケーション先として大いにアリかもしれません。大好きだ愛してる。


【レストラン第3位】
ドゥエ リーニュ プリュス (Due ligne +)/牛込柳町
フレンチとイタリアンが融合した料理であり、マッドサイエンティストっぽいシェフの狂気ともいえる作品を愉しみます。
所要時間は4時間と長丁場。食べるのが大好きなグルメ仲間と共に、ワイワイ楽しくやりましょう。

【レストラン第2位】
ラ クルール デテ(La couleur d'ete)/乃木坂
「人生やりたいことをやらなきゃダメだ」と決意した料理人が人気のビストロを閉めワンオペで孤軍奮闘します。
これはもう、フランス料理として完璧ですね。素晴らしいの一言に尽きる。シェフが選んだ孤独は良い孤独であった。

【レストラン第1位】
ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joël Robuchon)/恵比寿

https://www.takemachelin.com/2024/09/robuchon.html
7年ぶりの「ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joël Robuchon)」。パーフェクトなディナーであり、下手な海外旅行よりもよっぽど満足度が高い。
日本でのミシュラン刊行以来3ツ星を守り続けるトップランカーで食事を楽しんで、それほど飲まなければひとりあたり5万円でお釣りが来ることを考えれば実にお値打ち。ワインの値付けも思いのほか良心的でした。


それでは来年も変わらずお付き合いして頂ければ幸いです。それではみなさん酔いお年をお迎えください。Bon appétit !


食べログ グルメブログランキング
人気の記事
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

オルタンシア(Hortensia)/新富町

麻布十番で好評を博した「オルタンシア(Hortensia)」が新富町にて再始動。開業して1年で早速1ツ星を獲得しており、流石の力量を感じさせます。ちなみに店名はアジサイを意味します。
店内はライブ感満載のカウンター席が8に個室がひとつ(写真は公式ウェブサイトより)。虎ノ門の「unis(ユニ)」とまでは言わないまでも、イマドキの誂えだなあと恐れ入ります。

古賀哲司シェフは「ブリーズ オブ トウキョウ」や「エディション・コウジ シモムラ」を経て麻布十番で「オルタンシア(Hortensia)」を開業。いったん閉業し、しばらくはカトープレジャーグループなどの裏方に回っていたそうです。
飲み物はショッキングなほど高価。酒屋の4-5倍は当たり前の値付けであり、つらい、つらすぎる。ワイン愛好家としては胸が締め付けられる思いでした。ワインリストも全くショボいので、経営者はあまりワインに思い入れが無いのかもしれません。
さっそく米をどないかしたものに根菜類のピクルスが組み込まれているのですが、あまりにフラワーでありグロテスクに感じます。口当たりも悪く、意図のよくわからないひと品です。
アミューズは7種と凝りに凝っており、そのいずれもが素晴らしい出来栄えです。それぞれにビッグライトを照射して前菜として腹いっぱい食べたいくらいです。
ブルターニュ産のオマールブルー。引き締まった身から溢れる濃厚な甘みと旨味が魅力的。カリフラワーの優しい味わいにココナッツの南国を思わせる甘い香りが溶け込み、洒落た味わいです。
ヒラメとホッキガイ、ウニ。海の幸がギッシリと詰まっており、それをバターを主体としたコッテリとしたソースでまとめます。バターのコクと風味が、ヒラメの繊細な旨味、ホッキガイの甘み、ウニの濃厚な旨味を包み込み、実にリッチな味わいです。
パンは自家製。素朴な味わいであるものの、噛みしめるごとに穀物の風味が滲み出てきます。ちなみに終盤に〆の炭水化物が出てくるので食べ過ぎ注意です。
小甘鯛と車海老。小甘鯛は淡白な白身でありながら、上品な甘みと旨味が特長的。皮はパリッと香ばしく、身はふっくらと仕上がっています。車海老はスーパーエビフライとも言うべき品質であり、全体を通してムール貝とイカスミの旨味もきいていて、酒を呼ぶひと皿です。
メインは飛騨牛。手前のフィレはとろけるような舌ざわりであり、決して脂臭くなく、今年食べた牛肉で一番旨いんじゃないかと思えるほどです。ソースには生山葵の風味をきかせており個性的な味わい。シェフのセンスが光る肉料理でした。
〆のお食事にリゾット。貝の旨味と食感をいかしており、磯の香りが支配的。緑色にはエゴマを用いており、その香ばしい風味も魅力的。量もたっぷりで食べ応えがあります。
スープも出ます。本日の食材のほぼ全てを詰め込んだ液体であり玄妙にして複雑。アクセントに松茸もきいていて、丼いっぱいにして描き込みたいくらいです。 
デザートもたっぷりサイズ。秋の味覚の代表格であるブドウを贅沢に用いており、甘酸っぱさを凝縮した味わい。ココナッツで炊いたわらび餅もセンス良く、バニラの香りと組み合わさって複雑で奥深い味わいが生まれます。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり4.5万円。料理はパーフェクトに美味しいのですが、さすがに飲み物の値付けが悪すぎて心証を失いました。ワインの持ち込み料は1本5,500円と高めではありますが、それでも持ち込んだ方が納得感があるでしょう。料理は良いのに何だか色々もったいないなあ。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

ビストロ アビエ(BISTROT HABILLER)/首里(那覇)

2024年10月で5周年を迎える「ビストロ アビエ(BISTROT HABILLER)」。首里石嶺という、観光客にとっては馴染みの薄い立地ですが、地元の方には大変人気があるビストロです。
店内はカウンターに6-7席で、壁に沿ってテーブルがたくさん。さすがに料理人が独りで捌くには厳しい席数で、ピーク時には皿出しが遅くなります。時間に余裕をもって訪れましょう。
酒は安く、ハウスワインは600円から始まります。味の強いお通しも付いていて、これだけで1杯飲めてしまいます。
まずはサバのリエット。水分量が多くサバサバとした口当たり。メタリックな風味もあって、酒が進むひと品です。
ワタリガニの濃厚スープ。その名の通り甲殻類の香りがプンプンのスープ。カニの旨味が凝縮されており、海の恵みを感じる逸品です。
リヨン風サラダ。私はこのサラダが大好きでメニューにあれば必ず注文し、日本の成人男性としてはトップクラスに食べ込んでいるほうだと自負しているのですが、当店のそれはとても美味しい。カリカリのクルトン、ジューシーなベーコン、クニクニとした砂肝、とろりとしたポーチドエッグ。それぞれが異なる食感で、口の中で楽しいリズムを生み出します。東京のレベルの低いフランス風料理店は反省するように。
前菜盛り合わせも丁寧に作り込まれており、先のサラダのベーコンに続き、パテやムースなど加工肉系が魅力的。「Apérowa(アペロワ)」「Bistro Groin Groin (ビストロ グロングロン)」など、豚肉をよく食べる県民だからでしょうか、沖縄はシャルキュトリのレベルが非常に高い。
エスカルゴのオーブン焼き。細かく刻んだパセリとニンニクがたっぷり入ったバターがエスカルゴの旨味を最大限に引き出してくれます。カタツムリ感は一切無く、クニクニと歯ごたえの良い貝類を食べているような食体験。
メインは仔羊スネ肉のトマト煮込みとクスクスを選択。じっくり煮込まれた仔羊のスネ肉は、ホロホロと口の中でほどける柔らかさ。トマトの酸味とスパイスの香りが、羊肉独特の風味と見事に調和しています。クスクスは、そのソースをたっぷり吸い込んで、もう一口、もう一口と止まらなくなる美味しさです。
フォンダンショコラは冷製のテリーヌのようなスタイルで登場し、思っていたのとちょっと違いましたが、ねっとり濃厚な口当たりでこれはこれで美味しい。白いソースも素朴ながらクラシックで重厚な味わいです。
以上を食べ、しっかり飲んでお会計はひとりあたり7-8千円といったところ。王道のビストロ料理を腹いっぱい食べてこの支払金額は大変お値打ち。シェフは宜野湾の人気フレンチ「加藤食堂」で経験を積んだそうで、そちらのお店にもお邪魔しようと心に決めた夜でした。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。

バルピパル キッチン(BARPIPAL Kitchen)/目黒

目黒駅すぐ近くの三大飲み屋ビルの一角をなす「メグロード」。地下1階にはオシャレ系タイ料理店「タイ食堂 くるみ」がありますが、この日のランチは2階のガチ系ネパール料理店「バルピパル キッチン(BARPIPAL Kitchen)」にお邪魔しました。
木材を多用した内装で、なんでもネパールのアンティーク家具や木彫りの装飾品を活用しているそうです。ちなみに系列店として西小山の「バルピパル」や武蔵小山の「チャチャフイ」があるとのこと。店員のオッチャンの語り口が優しく可愛らしい。
まずはダルバートを注文。ネパールを代表する国民食であり、日本で言う定食のようなものです。これに食後のドリンクがついて1,200円です。
ダルバートの主役たる「ダル」。いわゆる豆のスープであり、レンズ豆などをじっくり煮込んであるもよう。甘味抜きのお汁粉のような味わいであり、日本の味噌汁のような心安らぐ味わいです。お代わりOKなのが嬉しいですね。
「ダルバート」のもう一つの主役が「バート」つまりライスです。ネパールでは日本と同じようにお米が主食だそうで、当店のそれは日本の定食屋で食べるそれと全く同じ方向性の味わいです。付け合わせは青菜の炒め物に大根のスパイスマリネで、やはり日本の定食で言うところの漬物のような存在です。
カレーは日替わりで2種。こちらは野菜の部で、カリフラワーや大豆が用いられています。辛みは殆ど無く、もはやカレーというよりもポトフに近い料理です。
こちらはお肉のカレーでこの日はマトン。やはりカレーというよりは肉入りスープといった印象です。
こちらはネパール風焼きそばのセット。970円です。「チャウメン」と呼ばれる料理だそうで、塩コショウをベースに、ターメリックやクミンなどの香辛料が加わって、スパイシーな焼きそばといったところ。もしくは辛味の効いたナポリタン。
こちらは「モモ」。大久保のイスラム横丁で食べた以来の2度目であり、あらゆる意味でTWICEです。つまらないですかそうですか。ネパールで愛されている小籠包に似た蒸し餃子であり、肉汁の旨みがジュワッと口の中に広がり、思わず笑顔になる美味しさです。
食後にチャイでほっとひと息。濃厚なミルクティーに、スパイスの香りが豊かに広がるのが特長的。様々なスパイスが体の芯から温めてくれるだけでなく、独特の風味と香りを生み出します。
以上、それぞれのセットメニューが千円前後。目黒駅すぐ近くという立地を考えれば大変良心的な価格設定であり、これは夜に飲みに来るのもアリだなあという期待も持たせてくれます。ネパールというと、普通の日本人はインドの近くにあるエベレストの国ぐらいの認識でしょうが、味覚は日本人にかなり近いのではないか。そのうちヒマラヤ山脈にトレッキングにでも行ってみよう。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。