見直すのはここ!「優秀な人材」を確保する・定着させるための方法
企業の成長において、優秀な人材の確保と定着は最も重要な課題となっています。とくに近年は、少子高齢化の影響で労働人口が減少し、人材の採用そのものが厳しくなってきているのが現状です。
一方で、デジタル化の加速やグローバル化により、従来とは異なる新しい能力や価値観を持つ人材が求められています。かつては専門的なスキルや知識、実務経験のある人が「優秀な人材」とされてきました。しかし、現在では問題解決力やコミュニケーション能力、変化への適応力など、より複合的な能力が求められています。
本記事では、現代における優秀な人材の定義や効果的な確保の仕方、定着させる方法を解説。自社の採用戦略の立案や見直しの参考として、ぜひご活用ください。
目次
そもそも優秀とされる人材とは?
優秀な人材の定義は企業の規模や業界、企業文化によって大きく異なりますが、一般的に共通している要素がいくつか存在します。まず基本となるのは、業務に必要な専門スキルや知識、実践的に活用できる能力です。加えて、技術的な能力だけでなく多面的な要素が不可欠となります。
具体的には、以下の3つが優秀な人材に共通している要素です。
- 問題解決力
- コミュニケーション能力
- 変化への適応力
問題解決力
問題解決力とは、課題を発見し適切な解決策を見出して実行する能力です。問題解決力の高い人材は、課題の本質を見抜き、効率的な解決方法を提案できます。そのため、情報収集力や分析力、実行力も含まれると考えてよいでしょう。問題の解決だけでなく、問題が発生する前に潜在的なリスクを予測し、予防措置を講じる「予防的問題解決力」も必要です。
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コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、単なる会話力だけではありません。情報の正確な伝達や相手の意図の理解、建設的な議論などを含みます。特に重要なのが「相手の意図の理解」です。これは、組織の状況や相手の立場を踏まえた適切なコミュニケーションを取る際に欠かせません。近年はリモートワークの普及により、テキストコミュニケーション能力も重要となってきました。
変化への適応力
変化への適応力は、変化の激しいビジネス環境において最も重要な能力のひとつです。新しい技術やビジネスモデルへの対応、異文化理解、柔軟な思考力なども含まれます。
また、適応力がある人は、前向きに考える傾向にあるといえるでしょう。たとえ予期せぬ変化や困難な状況に直面しても、冷静に対応し新たな機会へのステップアップだと捉えることができます。このように、常にポジティブな考えを持つことも優秀な人材の特徴です。
優秀な人材を「確保」する方法
優秀な人材を確保するためには、戦略的な採用が必要です。近年の採用市場では、さまざまな採用手法や情報発信手段があります。そのため、従来の求人広告だけでは十分な効果が得られにくくなっているのです。従って、計画的な採用戦略の立案と実行が欠かせません。
求める人材を明確にする
優秀な人材を確保するために必要なのは、自社が求める人材像を明確にすることです。そこが曖昧だと内定を辞退されたり、入社後にミスマッチが生じて早期退職につながったりする可能性が高くなります。
また、技術的な知識や実績、経験などはもちろん、企業が目指す方向性に合っているかも重要です。そのためには、経営方針やビジョン、社長の考え方をもとに、ターゲットとなる人物像を明確にしましょう。
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自社のアピールポイントを整理する
優秀な人材を惹きつけるためには、自社の魅力を伝える必要があります。単なる待遇面だけでなく、企業文化や独自の福利厚生など、他社と差別化できる強みを強調することが必要です。そのためにも、自社のアピールポイントを明確にしましょう。「自社に入社すれば、将来こうなれる」といった、キャリアアップの環境なども効果的なアピールポイントとなります。
ターゲットに合った採用手法を使う
採用する際は、求める人材層に適した手法を選択する必要があります。たとえば、プログラマーを採用したいのであれば、IT業界に特化した転職エージェントや転職サイトを使うとよいでしょう。若年層向けやシニア向け、管理職向けなど、どの媒体がよいのかを検討したうえで、採用活動を行うことが大切です。
また、媒体だけでなく、ダイレクトリクルーティングやヘッドハンティング、SNS採用などを組み合わせることも効果的。近年は、社員からの紹介によるリファラル採用を取り入れている企業も増えています。
【こちらもおすすめ】リファラル採用とは?近年注目の理由やメリット、デメリットを解説優秀な人材を「定着」させる方法
優秀な人材の定着には、公平な評価とキャリア実現のために働ける環境づくりが不可欠です。これらの要素が適切に整備されていない企業では、せっかく採用した優秀な人材が他社へ流出してしまう可能性が高くなります。人材を定着させるためには以下のことに気をつけましょう。
評価基準の明確化と公平な評価
評価基準の明確化は、優秀な人材の定着において最も重要な要素のひとつです。具体的な数値目標や行動指標を設定し、何をすれば評価されるのかが明確になっていれば、社員は目標に向かって行動しやすくなります。また、自分の行動が正しく評価されれば、モチベーションも向上するでしょう。近年は多様な働き方が増えているため、従来型の評価基準のままでは不公平になるケースもあります。それぞれの働き方に応じた評価基準を策定し、明確化しましょう。
キャリアパスの構築
キャリアパスの構築は、社員が将来的な目標を決めるうえで欠かせません。キャリアアップとは、ポジションや裁量権はもちろん、スキルを蓄えて仕事の幅を広げたり、自分の価値を高めたりも含まれます。そのため、単なる昇進ルートの提示だけでなく、スキルアップの機会や専門性を高められる研修制度の整備も必要です。キャリアアップ助成金などを上手に活用するとよいでしょう。
【こちらもおすすめ】【2022年4月大幅改正】廃止するコースも!キャリアアップ助成金の変更点チェックリスト風通しのよい環境づくり
風通しのよい職場環境は、優秀な人材の定着に大きく影響します。たとえば、上司に質問しづらかったり、意見を述べても頭ごなしに否定されたりすれば、部下は萎縮してしまいます。そのため、上司と部下の間で率直な意見交換がしやすい雰囲気づくりが重要です。
また、企業の方針やルールなどをオープンにすれば、やってよいことと悪いことの判断がつきやすくなります。「暗黙の了解」などがあると、積極的な発言や行動がしづらくなってしまうでしょう。
まとめ
企業の持続的な成長には、優秀な人材の確保と定着が不可欠です。現代における「優秀な人材」には、専門的なスキルだけでなく、問題解決力、コミュニケーション能力、変化への適応力が求められます。
このような人材を確保するためには、まず、自社が求める人材像を明確にしなければなりません。また、自社の魅力を発信し、他社との差別化を図ることも必要です。さらに、ターゲットに適した採用手法で、戦略的な採用活動を行うことがポイントとなります。
加えて、採用した優秀な人材の定着には、評価基準の明確化、キャリアパスの構築、そして風通しの良い職場環境の整備が必要です。中でも、失敗を恐れず挑戦できる環境づくりは、人材の成長と定着を促進します。このように、優秀な人材の確保・定着には計画的な採用が欠かせません。本記事を参考に、自社の採用戦略を見直してみませんか。
*Natali _ Mis / shutterstock