相談の広場
総務部長という肩書きで業務を行っています。もちろん代表権はありません。会社で代表権を持つ者は社長だけです。
さて、業務遂行上、外部の会社と契約する必要性があります。契約書の案文を見ると相手方の会社は代表者が記名捺印しているため、当社も代表権のある社長が記名捺印しなければならないかどうかを相手の担当者に問い合わせました。その結果、先方からは社長である必要がなく、総務部長の小生の名前でよいとのこと。もし、今後、その契約内容に疑義が生じて契約内容がまっとうできない事態になったとき、その時点で初めてその契約書の存在を知る社長が自分はあずかり知らぬこと、というのは問題ないでしょうか。小生が責任を取ればいいことなのか、あくまで会社として責任を果たすべきなのかアドバイスお願いします。日々、代表者印で銀行印(代表印である登録印ではなく、登録印は社長が管理している)を部長権限で押すことも多く、同様の問題を含んでいるのではないかと思っています。
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>小生が責任を取ればいいことなのか、あくまで会社として責任を果たすべきなのかアドバイスお願いします。
ということですのでお答えいたします。
まず、契約において最も重要なのは「誰のために」「何を約するのか」です。
本件の場合、「会社のために」各契約を締結することになると思います。
続いて”何を”についてですが、表意者の真意が問題となります。会社にとって有用な契約であるのか、自己の成績向上のためだけの契約であるのか、相手がそれを知りえたかどうかで契約の効力が変わってきます。(民93条)
また、契約の際の意思表示は本人のためにすることを示しておく必要があります。例えば「○○株式会社 総務部長 ○○」としておけば会社のためにする契約であることが明確です。これで契約の効力は本人である会社法人に帰属します。
その代表者が社長であるというだけであり、あなたは社長の代理ではなく、あくまでも会社法人の代理をしているのです。
また、代理人が本人の特定の指図を受けずにした意思表示は、詐欺・強迫・ある事情の既知・過失による不知などは代理人において決します。(民101条)
表見代理において、効力が発生するのは「相手方が代理人に権限があると信じるべき正当な理由がるとき」のみです。ですから、契約の規模により異なるものです。
代理権のないものの契約をした場合は無権代理となります。これは本人(会社法人、その代表者)が追認しなければその効力は生じません。相手方はこれに対し、追認するかどうかの催告権があるのみで契約の強制履行を強いることはできません。このとき、無権代理人は本人の追認を得れなかった場合、相手方の選択に従い履行または損害賠償の”責任を負う”ことになります。ここでも責任を負うのであって契約内容の完全履行ではありません。ただしこれも、相手方が代理権を有しないことを知っていたか、知らないことに過失があった場合は責任を免れます。
契約の規模や代理人の真意、相手方の意思によって責任主体が変わるということです。
予防法務的には、常々誰のために契約をするのか、自己の権限の範囲はどの程度なのかを明示しておくことが重要です。
こんにちは
民法における契約の考えで言えば、相手側は誰が代表であるかは問題になりません。 つまり、それに相応しいと相手が思う人ならば、社長以外でも構わないし、契約のなつ印者や代表者によって契約の効力は変わりません。(表見代理の成立)
その表見代理の点から言えば、総務部長が会社を代表したと相手が信じているならば、そのハンコやサインで契約は成立しますし、社内で社長が知らないと言おうが、契約の効力に抗弁できません。
(誤記があったので修正しました: 代理→代表)
ですから、社長が知っているべきかは、社内で決めておくことで、それが必要ならば社長が常に契約者になるとか、総務部長が押してよいならば、”何の契約に関しては権限を委任した”ということが明確になっている必要があるでしょう。
代表取締役の方が不在が多いまたは十分点検できない会社では、印章規定により、代理の方が契約締結されている会社を
時々みかけます。
(例)執行役員、大阪支店長・・・等
会社が契約締結権を認めているなら勿論有効です。
しかし、締結された契約内容等控えを一覧表にされ、代表取締役に定期的に目を通していただいたら、いかがですか。
また、契約書締結は大変重要ですので、総務部長だけでなく、関係部署の方も点検出来るよう、「契約書締結捺印申請書」を作成され、総務部長の責任だけでなく、関係者の承認のもとに、「○○会社 総務部長の印」を作成されたらいかがでしょう。
契約内容に疑義が生じた場合は、顧問弁護士にアドバイスして頂くことも大切です。
特に、賠償条項には気をつけましょう。一生懸命仕事をして、契約書をたてに損害賠償していましたら、大損になることがあります。
藤田行政書士総合事務所
行政書士 藤田 茂
http://www.fujita-kaishahoumu.com/
藤田様
実務的な内容で、詳細をお教えいただきありがとうございました。賠償条項に特に注意を払うべきは、しっかり押さえておきたいと思います。(UniP)
> 代表取締役の方が不在が多いまたは十分点検できない会社では、印章規定により、代理の方が契約締結されている会社を
> 時々みかけます。
> (例)執行役員、大阪支店長・・・等
> 会社が契約締結権を認めているなら勿論有効です。
>
> しかし、締結された契約内容等控えを一覧表にされ、代表取締役に定期的に目を通していただいたら、いかがですか。
>
> また、契約書締結は大変重要ですので、総務部長だけでなく、関係部署の方も点検出来るよう、「契約書締結捺印申請書」を作成され、総務部長の責任だけでなく、関係者の承認のもとに、「○○会社 総務部長の印」を作成されたらいかがでしょう。
> 契約内容に疑義が生じた場合は、顧問弁護士にアドバイスして頂くことも大切です。
> 特に、賠償条項には気をつけましょう。一生懸命仕事をして、契約書をたてに損害賠償していましたら、大損になることがあります。
> 藤田行政書士総合事務所
> 行政書士 藤田 茂
> http://www.fujita-kaishahoumu.com/
弓削法務事務所殿
無権代理と追認についての考え方はしっかり分かっていないといけませんね。大事な考え方のアドバイスありがとうございました。 (UniP)
> >小生が責任を取ればいいことなのか、あくまで会社として責任を果たすべきなのかアドバイスお願いします。
>
> ということですのでお答えいたします。
>
> まず、契約において最も重要なのは「誰のために」「何を約するのか」です。
> 本件の場合、「会社のために」各契約を締結することになると思います。
> 続いて”何を”についてですが、表意者の真意が問題となります。会社にとって有用な契約であるのか、自己の成績向上のためだけの契約であるのか、相手がそれを知りえたかどうかで契約の効力が変わってきます。(民93条)
> また、契約の際の意思表示は本人のためにすることを示しておく必要があります。例えば「○○株式会社 総務部長 ○○」としておけば会社のためにする契約であることが明確です。これで契約の効力は本人である会社法人に帰属します。
> その代表者が社長であるというだけであり、あなたは社長の代理ではなく、あくまでも会社法人の代理をしているのです。
> また、代理人が本人の特定の指図を受けずにした意思表示は、詐欺・強迫・ある事情の既知・過失による不知などは代理人において決します。(民101条)
> 表見代理において、効力が発生するのは「相手方が代理人に権限があると信じるべき正当な理由がるとき」のみです。ですから、契約の規模により異なるものです。
> 代理権のないものの契約をした場合は無権代理となります。これは本人(会社法人、その代表者)が追認しなければその効力は生じません。相手方はこれに対し、追認するかどうかの催告権があるのみで契約の強制履行を強いることはできません。このとき、無権代理人は本人の追認を得れなかった場合、相手方の選択に従い履行または損害賠償の”責任を負う”ことになります。ここでも責任を負うのであって契約内容の完全履行ではありません。ただしこれも、相手方が代理権を有しないことを知っていたか、知らないことに過失があった場合は責任を免れます。
>
> 契約の規模や代理人の真意、相手方の意思によって責任主体が変わるということです。
> 予防法務的には、常々誰のために契約をするのか、自己の権限の範囲はどの程度なのかを明示しておくことが重要です。
外資社員さん
よくアドバイスをいただくことが多いように思い、ありがとうございます。その後、いただいた弓削法務事務所さん、藤田さんのアドバイスと、外資社員さんのアドバイスを合わせて考えるとより一層内容が理解できるように思います。
ありがとうございました。 (UniP)
> こんにちは
>
> 民法における契約の考えで言えば、相手側は誰が代表であるかは問題になりません。 つまり、それに相応しいと相手が思う人ならば、社長以外でも構わないし、契約のなつ印者や代表者によって契約の効力は変わりません。(表見代理の成立)
>
> その表見代理の点から言えば、総務部長が会社を代表したと相手が信じているならば、そのハンコやサインで契約は成立しますし、社内で社長が知らないと言おうが、契約の効力に抗弁できません。
> (誤記があったので修正しました: 代理→代表)
>
> ですから、社長が知っているべきかは、社内で決めておくことで、それが必要ならば社長が常に契約者になるとか、総務部長が押してよいならば、”何の契約に関しては権限を委任した”ということが明確になっている必要があるでしょう。
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