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シリーズ「組織力強化と
コンピテンシー!」
<第286回>[(第18話)「黒字経営を続ける公立八鹿病院の組織力!]
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今話題の「会社を救う
コンピテンシー」とは何かと
コンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「組織力とコンピ
テンシー!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきます。中
小企業の経営者の方、管理者の方、
人事担当者の方に是非ともお読みいただきた
いと思います。
===========================
今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「黒字経営を続ける公立八鹿病院の組織力!」
1.あなたの町から医師が消える!
2.国が進めてきた現場を知らない医療制度!
3.なぜ公立八鹿病院は黒字経営を続けられるのか!
4.なんと看護師学校まで作った!
5.医師が残ってくれる病院を作れ!
【3】今日のポイント
===========================
8月18日、テレビ東京のカンブリア宮殿で医療問題の第二弾として公立八鹿病
院の医療の現場が報道された。
谷 尚名誉院長80歳がカイゼンと強固な組織体制を築いて20年以上も黒字を
続けている病院のドラマと経営モデルである。
今全国で公立病院が次々閉鎖、閉鎖されないまでも医師不足で診療科が激減し、
特に産婦人科や小児科は次々消滅している。挙句8割の病院が赤字経営で存亡の
危機に立たされているのだ。
【1】心に刻んでおきたい言葉
***********************************************************************
いい医療をすれば患者が増えて結果として利益につながる。
谷 尚
***********************************************************************
【2】メルマガ本論
[(第18話)黒字経営を続ける公立八鹿病院の組織力!]
1.あなたの町から医師が消える!
医師不足は深刻だ。いったい医師たちはどこに消えてしまったのか。カンブリア
宮殿のスタッフが全国の病院に取材を申し込んだところ、ほとんどの病院が取材
お断りだった。
「取材を受ける時間があったら少しでも寝たい」と言われたという。そう、医療
の現場では医師も看護師もろくに睡眠を取っていないのだ。昼間通常勤務で夜は
そのまま当直医、当直看護師として救急医療に当たり、翌日そのまま通常勤務に
就くという現実だ。
2.国が進めてきた現場を知らない医療制度!
「このような医療の現場の実態を国は知らない、いや知ろうとしなかった」と谷
名誉院長は嘆く。これでは勤務医はたまらない。開業医に転進するか大学病院に
戻る医師が多くなるわけだ。看護師だって耐え切れずに多くは辞めてしまうわけ
だ。
相対的に医師不足なのに国はこれまで医学部の定員を減らしてきた。医師過剰と
言い続けてきたのだ。これ以上医師が増えてしまうと開業医が競争激化で潰れる、
病院が過当競争で潰れると考えていた。この場に及んで医学部の定員を増やすこ
とに決めたが一人前の医師に育つにはざっと10年は掛かる。
国が2004年に医療制度を大きく変えたことも影響している。以前は医局制度があ
って大学病院が若い研修医を地方の公立病院などに配分して送り込んでいた。し
かし
人事権の乱用で問題が多いとして、研修医が研修したい病院を自由に選択で
きるようにした。
この結果、都心の人気病院に研修医が集中、大学病院に残る研修医は激減してし
まった。あわてた大学病院は全国に散らばっていた医師たちを一斉に呼び戻した。
特に地方の病院や人気薄の病院には研修医はきてくれず、しかも医師は引き上げ
られるということで医師不足に拍車が掛かった。
医療ミスに対する訴訟の多発に恐れおののいて
退職する医師もいると聞くし、同
じ働くなら肉体的に楽な開業医に転進する医師も増えている。これらも医師不足
の要因に挙げられよう。厳に我が家の近所にあるさいたま赤十字病院でも次々開
業して医師が去っている。
3.なぜ公立八鹿病院は黒字経営を続けられるのか!
公立八鹿病院は兵庫県義父市八鹿町にある。京都から急行を乗り継いでも2時間
以上掛かる八鹿町、但馬牛で知られる但馬地区に位置する八鹿町は人口1万4千
人の田舎だ。その田舎の巨大病院に年間14万人もの患者が訪れるというから驚
く。医師も看護師も接客
コンピテンシーは抜群でいわゆるホスピテリティの空間
を演出している。音楽療法まで採り入れられている。
黒字経営の柱はたくさんある。八鹿病院では、初めての患者は必ず総合診療科で
診る。患者の8割は総合診療で治癒できるのだそうだ。後の2割が専門科、つま
り専門医に送り込むシステムなのだ。どこの病院も専門医が不足しているが八鹿
病院で少ない専門医で対応できるというわけだ。
移動検診車によるサービスの効果も大きい。車の通れる地区ならどこへでも
出向
いて検診サービスを行っている。通常5,400円だが八鹿病院では1,100円と格安だ。
早期発見だから早期に治癒できる。つまり大手術や寝たきり患者を極力作らない
から少ない医師でも対応できるのだ。
口コミ効果もあって八鹿病院を訪れる患者は多い。いい医療をすれば患者が増え、
結果として利益に結びつく構図なのだ。
リハビリ医療の充実も効果的だ。入院患者はできるだけ早期に自宅に帰す仕組み
ができている。ただ帰すだけではない。専門の看護師チームが定期的に訪問しケ
アに当たっている。患者の回転率が高くなるから新しい患者を受け入れる環境が
整うというわけだ。
4.なんと看護師学校まで作った!
他の病院に比べて八鹿病院には若い看護師が多い。谷名誉院長は自前の看護師養
成学校を作ってしまったのだ。卒業生の多くは八鹿病院に
採用される。看護師が
多い分医師たちの雑務は軽減される仕組みだ。
看護師養成学校の生徒たちは但馬地区の人々にかかわって役に立ちたいという夢
と希望を持っている。八鹿病院では看護師不足とは無縁だ。
5.医師が残ってくれる病院を作れ!
医師不足の深刻な病院では2,500万円、いや3,000万円の年俸を用意して募集を掛
けているがそれでも医師はきてくれない。深刻だ。
谷名誉院長は医師たちと活発なコミュニケーションを取ることを忘れない。こん
な医療設備がほしいといえば購入する。医師たちの
モチベーションも勢い高くな
るわけだ。
シフト体制も無理のないローテーションを組む。大学病院から戻るように誘われ
た医師もいるが、多くは八鹿病院に残ってくれていると谷名誉院長は胸を張る。
しかし、80歳の高齢。本音は早く引退したいようだ。後継者にスムーズにバト
ンを渡せるようにと老体に鞭を打ちながら今日も医療の現場に立つ。
「医師が残ってくれる病院を作る」ことが今、最大の目標だと言ってくれた。
【3】今日のまとめ
1.全国の病院から医師が消えている深刻な社会問題に国民は向き合わなければ
ならないこと。
2.つまり国民は道路を作るか病院を残すか、選択を迫られていることを認識し
なければならない時代であること。
3.医学部の定員を減らし続けたこと、医局制を
人事権乱用の温床と決めつけ、
研修医が自由に病院を選択できる制度にしたことは早計だったと思われるこ
と。
4.少ない医師で病院を黒字経営するための経営モデルが八鹿病院に凝縮されて
いること。
5.病院といえども組織力と
コンピテンシーの強化が大事であること。
コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒
[email protected]
【4】編集後記
たらい回された救急患者を一人たりとも断らずに全て受け入れている病院が浜松
聖隷病院である。
次々運び込まれる重症患者を効率よく手術し、治癒させる仕組みはやはり組織力
と
コンピテンシーである。
公立病院だから赤字でも自治体が補填してくれるという甘い考えはもはや通用し
ない時代になっていることを誰もが認識しなければならない。
=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=
次回に続く。
***********************************************************************
発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから
[email protected]
彩愛コンサルピアのHPは、
こちらから
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/
(協)さいたま総合研究所のHPはこちらから
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シリーズ「組織力強化とコンピテンシー!」
<第286回>[(第18話)「黒字経営を続ける公立八鹿病院の組織力!]
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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「組織力とコンピ
テンシー!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきます。中
小企業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいただきた
いと思います。
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【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「黒字経営を続ける公立八鹿病院の組織力!」
1.あなたの町から医師が消える!
2.国が進めてきた現場を知らない医療制度!
3.なぜ公立八鹿病院は黒字経営を続けられるのか!
4.なんと看護師学校まで作った!
5.医師が残ってくれる病院を作れ!
【3】今日のポイント
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8月18日、テレビ東京のカンブリア宮殿で医療問題の第二弾として公立八鹿病
院の医療の現場が報道された。
谷 尚名誉院長80歳がカイゼンと強固な組織体制を築いて20年以上も黒字を
続けている病院のドラマと経営モデルである。
今全国で公立病院が次々閉鎖、閉鎖されないまでも医師不足で診療科が激減し、
特に産婦人科や小児科は次々消滅している。挙句8割の病院が赤字経営で存亡の
危機に立たされているのだ。
【1】心に刻んでおきたい言葉
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いい医療をすれば患者が増えて結果として利益につながる。
谷 尚
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【2】メルマガ本論
[(第18話)黒字経営を続ける公立八鹿病院の組織力!]
1.あなたの町から医師が消える!
医師不足は深刻だ。いったい医師たちはどこに消えてしまったのか。カンブリア
宮殿のスタッフが全国の病院に取材を申し込んだところ、ほとんどの病院が取材
お断りだった。
「取材を受ける時間があったら少しでも寝たい」と言われたという。そう、医療
の現場では医師も看護師もろくに睡眠を取っていないのだ。昼間通常勤務で夜は
そのまま当直医、当直看護師として救急医療に当たり、翌日そのまま通常勤務に
就くという現実だ。
2.国が進めてきた現場を知らない医療制度!
「このような医療の現場の実態を国は知らない、いや知ろうとしなかった」と谷
名誉院長は嘆く。これでは勤務医はたまらない。開業医に転進するか大学病院に
戻る医師が多くなるわけだ。看護師だって耐え切れずに多くは辞めてしまうわけ
だ。
相対的に医師不足なのに国はこれまで医学部の定員を減らしてきた。医師過剰と
言い続けてきたのだ。これ以上医師が増えてしまうと開業医が競争激化で潰れる、
病院が過当競争で潰れると考えていた。この場に及んで医学部の定員を増やすこ
とに決めたが一人前の医師に育つにはざっと10年は掛かる。
国が2004年に医療制度を大きく変えたことも影響している。以前は医局制度があ
って大学病院が若い研修医を地方の公立病院などに配分して送り込んでいた。し
かし人事権の乱用で問題が多いとして、研修医が研修したい病院を自由に選択で
きるようにした。
この結果、都心の人気病院に研修医が集中、大学病院に残る研修医は激減してし
まった。あわてた大学病院は全国に散らばっていた医師たちを一斉に呼び戻した。
特に地方の病院や人気薄の病院には研修医はきてくれず、しかも医師は引き上げ
られるということで医師不足に拍車が掛かった。
医療ミスに対する訴訟の多発に恐れおののいて退職する医師もいると聞くし、同
じ働くなら肉体的に楽な開業医に転進する医師も増えている。これらも医師不足
の要因に挙げられよう。厳に我が家の近所にあるさいたま赤十字病院でも次々開
業して医師が去っている。
3.なぜ公立八鹿病院は黒字経営を続けられるのか!
公立八鹿病院は兵庫県義父市八鹿町にある。京都から急行を乗り継いでも2時間
以上掛かる八鹿町、但馬牛で知られる但馬地区に位置する八鹿町は人口1万4千
人の田舎だ。その田舎の巨大病院に年間14万人もの患者が訪れるというから驚
く。医師も看護師も接客コンピテンシーは抜群でいわゆるホスピテリティの空間
を演出している。音楽療法まで採り入れられている。
黒字経営の柱はたくさんある。八鹿病院では、初めての患者は必ず総合診療科で
診る。患者の8割は総合診療で治癒できるのだそうだ。後の2割が専門科、つま
り専門医に送り込むシステムなのだ。どこの病院も専門医が不足しているが八鹿
病院で少ない専門医で対応できるというわけだ。
移動検診車によるサービスの効果も大きい。車の通れる地区ならどこへでも出向
いて検診サービスを行っている。通常5,400円だが八鹿病院では1,100円と格安だ。
早期発見だから早期に治癒できる。つまり大手術や寝たきり患者を極力作らない
から少ない医師でも対応できるのだ。
口コミ効果もあって八鹿病院を訪れる患者は多い。いい医療をすれば患者が増え、
結果として利益に結びつく構図なのだ。
リハビリ医療の充実も効果的だ。入院患者はできるだけ早期に自宅に帰す仕組み
ができている。ただ帰すだけではない。専門の看護師チームが定期的に訪問しケ
アに当たっている。患者の回転率が高くなるから新しい患者を受け入れる環境が
整うというわけだ。
4.なんと看護師学校まで作った!
他の病院に比べて八鹿病院には若い看護師が多い。谷名誉院長は自前の看護師養
成学校を作ってしまったのだ。卒業生の多くは八鹿病院に採用される。看護師が
多い分医師たちの雑務は軽減される仕組みだ。
看護師養成学校の生徒たちは但馬地区の人々にかかわって役に立ちたいという夢
と希望を持っている。八鹿病院では看護師不足とは無縁だ。
5.医師が残ってくれる病院を作れ!
医師不足の深刻な病院では2,500万円、いや3,000万円の年俸を用意して募集を掛
けているがそれでも医師はきてくれない。深刻だ。
谷名誉院長は医師たちと活発なコミュニケーションを取ることを忘れない。こん
な医療設備がほしいといえば購入する。医師たちのモチベーションも勢い高くな
るわけだ。
シフト体制も無理のないローテーションを組む。大学病院から戻るように誘われ
た医師もいるが、多くは八鹿病院に残ってくれていると谷名誉院長は胸を張る。
しかし、80歳の高齢。本音は早く引退したいようだ。後継者にスムーズにバト
ンを渡せるようにと老体に鞭を打ちながら今日も医療の現場に立つ。
「医師が残ってくれる病院を作る」ことが今、最大の目標だと言ってくれた。
【3】今日のまとめ
1.全国の病院から医師が消えている深刻な社会問題に国民は向き合わなければ
ならないこと。
2.つまり国民は道路を作るか病院を残すか、選択を迫られていることを認識し
なければならない時代であること。
3.医学部の定員を減らし続けたこと、医局制を人事権乱用の温床と決めつけ、
研修医が自由に病院を選択できる制度にしたことは早計だったと思われるこ
と。
4.少ない医師で病院を黒字経営するための経営モデルが八鹿病院に凝縮されて
いること。
5.病院といえども組織力とコンピテンシーの強化が大事であること。
コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
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【4】編集後記
たらい回された救急患者を一人たりとも断らずに全て受け入れている病院が浜松
聖隷病院である。
次々運び込まれる重症患者を効率よく手術し、治癒させる仕組みはやはり組織力
とコンピテンシーである。
公立病院だから赤字でも自治体が補填してくれるという甘い考えはもはや通用し
ない時代になっていることを誰もが認識しなければならない。
=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=
次回に続く。
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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
彩愛コンサルピア代表 下山明央
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