ウェブサイトやECサイト、オンラインサービス上で、円滑にコンテンツを配信する役割を持つのがCDNです。今回はCDNの意味や仕組み、そして導入するメリットについて詳しくご紹介します。
目次
CDNとは?
CDNとは、ウェブサイト上にあるコンテンツをスピーディーかつ円滑に配信するためのサービスです。Content Delivery Network(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)の頭文字をとったもので、日本語では「コンテンツ配信ネットワーク」とも呼ばれます。
CDNを導入すると、ウェブサイト上で提供されるコンテンツの配信速度を高速化し、表示速度の改善が実現します。これにより、動画など大容量のデジタルコンテンツの配信やアクセスの集中、または物理的に遠方からのアクセスをする際、サーバーへ負担がかかり応答に時間がかかるという問題を解消することができます。
それでは、CDNはどのような仕組みで動いているのか、わかりやすく説明していきます。
CDNの仕組み
CDNは、コンテンツを一時的に保管できるキャッシュサーバーを世界各地に設置し、ウェブサイトのコンテンツのキャッシュを配信することで円滑な配信を実現します。
複数のコンテンツキャッシュサーバーの集合体で構成されるCDNは、アクセス集中時など、ウェブサイトが保管されている配信元のサーバーであるオリジンサーバーへの負担を軽減することが可能です。また、ユーザーとサーバーが物理的に離れている場合にも、世界各地にあるキャッシュサーバーに保存されている内容を配信することで、サーバーのダウンや表示の遅延といったリスクを下げることが可能となります。
CDN導入のメリット4つ
CDN導入のメリットは、主に以下の4つが挙げられます。
- オリジンサーバーへの負荷軽減
- SEO対策
- セキュリティ向上
- コスト削減
それではメリットについて、一つずつ見ていきましょう。
1. オリジンサーバーへの負荷軽減
オリジンサーバーにアクセスが集中してしまうと多くの負荷がかかり、ウェブサイトを表示するまでに時間がかかる可能性があり、オリジンサーバーがダウンしてしまうこともあります。CDNを導入することによってキャッシュサーバーへ負担を分散させ、ウェブサイトの読み込み時間が遅いことによるユーザー離脱のリスク回避にもつながります。
2. SEO対策
CDNを導入することは、SEO対策にもつながります。その理由は、ウェブサイトの表示速度がSEOに影響を与えるからです。Googleなどの検索エンジンは、表示速度をSEO評価の基準の一つとしています。また、ユーザーが快適に閲覧できるウェブサイトを提供するためにも、表示速度は重要です。ウェブサイトの読み込み速度が遅いと、ユーザーが待ち時間を不快に感じ、ページを離脱することにもつながります。つまり、CDNを導入して読み込み速度を改善することはユーザーへの利便性を向上させるためにも、そしてSEO対策にも有効と言えます。
3. セキュリティ向上
CDNを介してウェブサイトへアクセスするため、オリジンサーバーのセキュリティ向上が期待できます。オリジンサーバーへ直接アクセスをすることがなくなるため、サイバー攻撃を受けた場合、攻撃を受けるのがキャッシュサーバーとなります。そのためオリジンサーバーへ直接攻撃を受けることがなくなるため、サーバーがダウンするリスクを避けられます。
4. コスト削減
CDNの利用は、コスト削減にもつながります。アクセス数が多い場合でも、一つのサーバーへアクセスが集中することがなくなるため、サーバーのスペックを上げる等の対策が不要になります。例えば、オリジンサーバーへアクセスが集中してしまう場合、サーバーダウンや読み込み時間が長くなる等のパフォーマンスの低下を避けるために追加料金を支払いメモリ容量やCPU処理能力の高いものへと変更する必要が出てきます。ところが、CDNを導入することにより、ユーザーは世界各地にある最寄りのキャッシュサーバーへアクセスするため、オリジンサーバー強化への費用を抑えることができます。
CDN導入の際に気を付けたいポイント3つ
CDN導入の際に気を付けたい3つのポイントがあります。
- 古いコンテンツの配信リスク
- キャッシュされるべきではない情報を表示してしまうリスク
- アクセス解析ツールが正しく機能しないリスク
1. 古いコンテンツの配信リスク
ウェブサイトを更新しても、キャッシュサーバーに残されているキャッシュの影響で古いコンテンツを配信してしまうリスクがあります。CDNではキャッシュの保持時間を設定することができるため、適切な時間を設定するなどの対策が必要です。
2. キャッシュされるべきではない情報を表示してしまうリスク
アクセスする人によって表示コンテンツが変わる場合、誤って閲覧できないはずの情報がキャッシュ・配信されてしまうというリスクがあります。エンドユーザーへの配信内容が同じ場合は問題が発生しませんが、例えばログイン後の表示画面やログインした人の個人情報など、アクセスした人によって表示内容を変える場合にはキャッシュされるファイルを選別しなければなりません。
3. アクセス解析ツールが正しく機能しないリスク
アクセス解析ツールを利用している場合は、使用するサービスによっては、正しく解析できない場合があります。例えば、アクセスログと呼ばれる、オリジンサーバーへの通信履歴を記録したものを元に解析するアクセス解析ツールを使用する場合はデータが収集できません。そのため、Google Analyticsのようなウェブサイト自体にトラッキングコードを埋め込むタイプのツールを選べば、CDN経由でも正しくアクセス解析ができます。
まとめ
特にビジネスシーンで注目を集めているCDNの導入。キャッシュされるコンテンツやキャッシュ保持の時間設定などをしっかり行えば、SEO対策としても有効です。
メリットデメリットをしっかり把握したうえで、自身のビジネスモデルに合ったCDNの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
CDNについてよくある質問
CDNはSEOに有利?
CDNはSEOに有効です。サイト表示速度を高速化し、検索エンジンの評価を上げることにつながります。
文:Masumi Murakami