進んで工夫したり、行動したりする人に、「退場」は絶対に起こらない
- 下町の小さな事務所で、スタッフはたったの5人だけ一人さんはそれだけで、日本一になった!
- 押し出ししないままでいると、退場が待っている!
- この世には3種類の人しかいない
- 追伸 一人さんの場合は「斎藤一人」という名前が押し出しになっている
下町の小さな事務所で、スタッフはたったの5人だけ
一人さんはそれだけで、日本一になった!
ひとりさんは話を続けた。
「戦とは、自分の強いものを活かして勝つんだよ。
みっちゃんだったら、俺と早く知り合ったことが強みになるんだよ。
だから、みっちゃんは、他の人が知らないような俺のエピソードを、惜しみなく皆に教えてあげれば、そのことがみっちゃんの勝ちに繋がるんだよ。
そうやって、自分の有利な点を活かして戦うんだよ。
ところがみんな、自分の不利な点ばかりに目を向けて、ごちゃごちゃ言っているんだよね。
だから勝てないんだよ。
自分に与えられたものを、『ツイてる!』と思って存分に活かすか、『ツイてない・・・・・』と思って文句を言うか、そのことで勝ちの人生になるか、負けの人生になるか決まっちゃうんだよ。
だって、与えられる条件って、実はほとんど一緒なんだよ。
世の中の勝負なんて、みんな微差なんだ。
その微差をうんと大事にしていけば、いつのまにか大差になっているんだよ。
ハンドバッグだって、似たような形のものを持っていたって、シャネルのマークが一個ついているものを持っていくだけで、与える印象が違うよね。
それで、シャネルのハンドバッグを持ちながら、気さくで丁寧な対応するから、みんなイチコロで好きになっちゃう。
そこがギャップの魅力なんだね。
そこが押し出しの面白さなんだよ」
ひとりさんは一気に熱く語ってから、お茶を美味しそうに飲み干した。
私はこう思った。
「まるかん」の事務所は、下町の新小岩で営業していても、銀座の会社と勝負できるくらい売り上げがある。
創業以来、たった5人のスタッフで戦っていて、納税額日本一の売り上げが出せる。
そんな会社、他にない。
そんな会社、日本で唯一だ。
ひとりさんはそれを、さらっとやりこなしている。
苦労ばなしなどはしたことがないし、不機嫌なところも見たこともない。
いつも機嫌が良くてニコニコして、毎日が楽しくてしょうがないようだ。
これが、一人サンリオの行き方なんだ。
ひとりさんは、どこまで行ってもかっこいい人だ。
ひとりさんは話を続けた。
「俺の勝ち方を、みんなが真似しなくてもいいんだよ。
世の中には、いろんな勝ち方がある。
皆は皆で『うちの会社、ここが最高ですよ』って言えるようなものを見つければいいんだよ。
サラリーマンの人なら、『会社の中で、自分はこれは負けない』というモノを持てれば勝ちなんだよね。
OLさんだったら、『挨拶が一番元気がいい』とか、『電話の出方が一番いい』とか、何か一つ得意なことがあればいいんだよね。
それぞれが自分の勝ち方を見つけた時、皆にとって、この世の中は最高に面白くなるんで・・・・・。
神は俺だけが、幸せになる方法を教えてこないんだよ。
押し出しは、皆を幸せにする方法なんだよ。
皆が押し出した時、皆が幸せになれるんだよ」
そこまで話すと、一人さんはふっと立ち上がった。
「みっちゃん、ちょっと外に散歩に行かないかい? 気分転換に歩きながら話そうよ」
私は「はい、喜んで! 是非お供させて下さい」と立ち上がった。
ひとりさんは最近、1日に30分から1時間ぐらい歩くことを日課にしている。
人間というのは歩くと健康になるように作られているそうで、ひとりさんも新小岩の近辺をぐるぐる歩いている。
私は、ひとりさんが喉が渇いた時のために水を持って、一人さんの後ろをついて行った。
散歩の途中で、どんな話が聞けるんだろう。
それを思うと、ワクワクした。
ひとりさんの大きな背中を追う足取りが、スキップを踏むように軽くなっていた。
押し出ししないままでいると、退場が待っている!
一人さんは新小岩の住宅街を、すたすたと歩いて行った。
そして、繁華街に入る。
私はとにかく、ひとりさんの後を追っていった。
すると、繁華街に「餃子の王将」があった。
ひとりさんはその看板を指さして言った。
「みっちゃん、この看板、よく見てごらん」
私は「餃子の王将」の看板をじっと見て、「餃子の王将ですよね」と言った。
この看板から、ひとりさんは何を言いたいのか、さっぱり分からなかった。
「あのね、みっちゃん。
『餃子の王将』って、餃子も美味しいけれど、王将ラーメンとか、焼きそばとか、ニラレバ炒めも美味しいよね」
「はい、美味しいですね、ひとりさん・・・・・・」
ひとりさんが何を教えようとしているのか、ますますわからない。
「でも、看板には『餃子の王将』としか書いていないよね。
これって何でだと思う?」
「さあ、何ででしょう」私は突然の首をひねった。
そんなこと、考えてみたこともなかった。
「それはね・・・、その方が目立つし、お客さんに覚えやすいからだよ。
要は、これも押し出しなんだよ」
ひとりさんは私の持っていた水を飲みながら、こんな話を始めた。
「『餃子の王将』っていう看板を見て、お客さんは『そうだ、餃子食べたいな』と思ってお店に入るよね。
そうすると、お店のメニューには、いろんな料理の名前が書いてある。
それを見て、『あ、ラーメンも美味しそう』『あ、焼きそばも美味しそう』『うわあ、レバニラもあるんだね』となるんだよ。
それで『餃子と一緒に、他のメニューも頼んでみよう』という気持ちになる。
この流れがいいんだよ。
物を売る時は、売りになるもの、ひとつに絞って押し出すんだよ。
その方が、お客さんは覚えやすいし、わかりやすい。
わかりやすいことが、お客さんへの最高の親切なんだよ。
だから、売りになるものをひとつ選んで、でっかく目立つように看板に書く。
これも押し出しなんだよ」
「うわあ、そうだったんですね!
だから『餃子の王将』って書いてあるんですね」
私はようやく、一人さんの言いたいことを理解した。
今まで気がつかなかったけど、「王将」の看板にはそんな工夫がなされていたんだ。
ひとりさんは話を続けた。
「こうやって『餃子の王将』は押し出しているんだよ。
そうすると、お客さんの記憶に残るよな。
お客さんに、お店の存在を覚えてもらおう。
これが商いの第一歩だよね。
一番いけないのは、『あそこにお店があった気がするけど、なんだったけな・・・・』って、お客さんの記憶に残らないことなんだよ。
よく『お店がなくなっちゃったけど、何のお店か覚えていない』っていうのがあるよな。
あれ、すごく悲しいよな。
あれってね、実は『退場』って言って、神様に退場もらったんだよ」
「神様に退場をもらった?
それってどういうことですか、ひとりさん?」
聞きなれない言葉を耳にして、私は目を丸くして、思わず一人さんに問いかけた。
私は全身の力を耳に集中させて、一人さんの言葉を待った。
この世には3種類の人しかいない
「そうか、神様の退場の話、みっちゃんにはしていなかったような。
それはこういうことなんだよ・・・・・」ひとりさんは話を始めた。
「あのね、みっちゃん。
この世の中には、3種類の人しかいないんだよ。
一つは向上心をもって、喜んで仕事をする人。
お客さんにもっと喜んでもらいたいとか、もっとみんなを幸せにしたいとか、そういう気持ちで常に工夫したり、行動したりする人を、向上心があるって言うんだよ。
次にね、『このままだとお店が潰れちゃうから、仕事しようかな』っていう気持ちで仕事する人がいるの。
この人は恐怖を元にして動いてるよね。
神は恐怖で動く人が嫌いなの。
だから、神様は絶対この人の味方しないから、この人は自分の努力だけで仕事をしていくことになるんだよ。
最後に、『このままだとお店が潰れちゃうけど、それでもやる気が出ない』っていう人が居るよね。
切羽詰まっているのに、それでもやろうとしない人。
お客さんが来ないのに、『この味を守らなきゃ』とか言って、改良しない人。
そういう人に、神は『退場』をくれるの。
そうすると、いつのまにか店が無くなっていたりするんだよ」
「うわあ、そういうことだったんですね、ひとりさん!
やる気がないのはいけないことだと分かるけど、改良しないのも、実は罪なんですね」
「そうだよ、みっちゃん。
ちなみに改良するのに、お金はいらないんだよ。
仕事が下手な人ほど、お客さんが来ないと『内装を変えなきゃいけない』とかお金をかけようとするけれど・・・・・・。
お客さんに笑顔で接するとか、返事を良くするとか、料理の味を良くするとか、お金をかけないでできることっていっぱいあるんだよ。
お勤めしている人は、『いつもブスっとしている』とか『返事が悪くて、頼みづらい』とか、そういう態度をとっていると、その会社から退場をもらうことがあるよねね。
そういう人って、自分の態度を改めない限り、他の会社に行っても退場が待っているんだよ。
『この会社に、徳をさせよう!』と向上心を持って働けば、会社にとってはなくてはならない人間になるよね」
「退場って、そういうことだったんですね、一人さん」
商店街の近くで生まれた私は、数々のお店の「退場」を見てきた。
だんだんお店の活気がなくなって、お客さんが来なくなる。
そして、いつのまにかひっそりと消えてしまう。
そのお店のことを誰も覚えていないし、誰も話題にもしない。
「あそこに前あったの、何のお店だっけ・・・」と誰かがポツリというだけだ。
あれは「神様から退場」という修行をもらったんだ。
私はちょっとショックを受けた。
ひとりさんは話を続けた。
「退場といっても、それは神の愛なんだ。
だって、その人は退場もらわない限り、自分の思いや働き方を変えないよね。
だから、退場もらって、初めて自分のことを洗いざらい見直すんだよ。
その機会を神がくれているの。
『退場』って、人生にもあるんだよ。
俺たちは魂を向上させるために生まれてきたのに、いつまでも向上しないで、くだらないことを言ってると、神様に『帰ってこい』って言われるんだよ。
それが『人生の退場』なの。
退場させられない前に、向上心をもって、自分からやるの。
俺たちだったら、人を幸せにするとか、健康にするとか、持って生まれた使命があるんだよ。
この使命をもらったんだから、常に進んで工夫したり、行動したりするんだよ。
そういう人は、寿命が来るまで『退場』にはならないからね」
「はい、ひとりさん、私は進んで行動します!」私は力いっぱい答えた。
なんだか今日は、すごい話を聞かせてもらった。
新小岩の商店街に佇んで、ひとりさんと二人、夕日の中でオレンジ色に照らされている。
私は真っ赤になった空を見上げて、ふと思った。
私はご縁をもらって、一人さんの弟子にしてもらったけれど、経験とか、そういうものは何も持っていない。
こんな何もない私なのに、今日もひとりさんは全力で、何時間もぶっ続けてレクチャーしてくれた。
「ひとりさんは疲れませんか?」そう私が思わず聞くと、一人さん笑ってこう答える。
「俺は話すことが楽しいから、話しているんだよ。
俺もこうして話しながら、みっちゃんと一緒に楽しんでいるんだよ」って。
私にできる、たったひとつの恩返しは、ひとりさんから教わったことを、惜しみなく皆さんにお伝えしていくことだけか。
たぶんそれが私の「使命」で、それをやり続けることが、私にとっての「向上」なのだろう。
夕日の中で、にこやかに微笑んでいるひとりさんを見ながら、私は誓いを新たにした。
追伸 一人さんの場合は「斎藤一人」という名前が押し出しになっている
その日、私は東京・江戸川区の新小岩にある「まるかん」の本社でひとりさんと待ち合わせをした。
会社のスタッフ以外の人に、「まるかん」の本社の様子について話すと、大抵の人は驚いた顔をする。
きっと、「生涯納税額日本一の斎藤一人さんのことだから、新小岩の繁華街の目抜き通りにドカンと大きなビルでも立てているのだろう」と想像しているのだろう。
でも、本社があるのは、駅から10分ほど歩いた住宅街だ。
大きな看板も何もない。
どこにでもある普通の建物のドアに「銀座まるかん」の老後が出ていて、中では5人のスタッフが、甲斐甲斐しく働いている。
初めて本社に来る人は、気がつかずに通り過ぎてしまうことがほとんどだ。
「生涯納税額日本一の大実業家」と、「こじんまりした事務所」。
このことが、初めての人には、ものすごいギャップに感じるらしい。
ちなみに、本社で働いているスタッフさんは、みんな創業当時からのメンバーだ。
パートさんも、誰一人としてやめずに何十年も通い続けている。
ひとりさんが事務所を下町の江戸川区から動かさないのは、このパートさん達のためだ。
「銀座かどこかに本社を移したら、パートさん達が通うのに大変だから移さない」ひとりさんは当たり前のように言う。
本社の横には、「ゲストルーム」と呼ばれる部屋がある。
出版社の人と打ち合わせをしたり、スタッフが集まって会議をする部屋だ。
この「ゲストルーム」だって、初めての人には「ギャップ満載」のことだろう。
だって、社長の打ち合わせ室にあるような革張りのソファーも、ガラス張りのテーブルも、額縁に入った絵画も、何もないのだから。
よく地方の公民館などに置いてある折りたたみ式の長机と、折りたたみ式のイスが並んでいるだけだ。
この素朴な「ゲストルーム」で世話をしている途中に、一人さんの画期的なアイデアがばんばん降りてくることがある。
何百億もの売り上げが出るような仕事の方法が生み出されることもある。
そう、ここは「伝説のゲストルーム」なのだ。
ちなみに本社の前にはコンビニがある。
ひとりさんはこのコンビニを「うちの冷蔵庫」と呼ぶ。
もちろん、本社に小さな冷蔵庫はあるのだが、お客さんへの飲み物や食べ物は、「うちの冷蔵庫」から、その都度出してくる。
ひとりさんはこう言う。
「大きな冷蔵庫を買っても、場所をとるし、みんなが入れたいものが全部しまえるわけじゃないよな。
歩いて10秒のところにある、コンビニの大きな冷蔵庫に行けば、お茶だって、アイスコーヒーだって、サイダーだってあるよ。
それを『うちの冷蔵庫』って呼んでれば、なんか笑えるし、気持ちが豊かになって楽しいよな」
これが、ひとりさん特有の考え方なのだ。
ゲーム感覚で、こういう面白い表現を思いついて、人を笑わせたり、喜ばせたりする。
例えば、ひとりさんと仲間とのドライブ中に、海岸沿いに立っている灯台や、公園を見かけると、ひとりさんは決まってこう言う。
「あの灯台は、みっちゃんにあげるよ。
今日から『みっちゃん灯台』って呼ぼうな」
「あの公園は、はなゑちゃんのものにしよう。
『はなちゃん公園』って呼ぼうね」
もちろんこれは一人さんのジョークなんだけど、「みっちゃん灯台」っていう名前をつけてもらうと、みんながそう呼ぶたびに、本人はすごく嬉しい気持ちになる。
こういう言葉遊びをゲーム感覚で楽しんで、みんなで大笑いをするひと時が、私は大好きだ。
ひとりさんは昔からこうだった。
一言、ぽろっと面白いこと言って、みんなを楽しませる天才なのだ。
私は「ゲストルーム」の机の上にお茶を並べて、ひとりさんを待った。
すると「やあ、みっちゃん、おはよう」とひとりさんがニコニコしながら入ってきた。
「よし、今日も押し出しの続きを話そうね。
今日は何で俺が押し出しが肝心だって何度も言っているのか、その理由をじっくり話すよ」
「はい、是非お願いします」
私は唾をごくんと飲み込んで、レコーダーのスイッチを入れた。
ひとりさんは早速話を始めた。
「なんで俺が『押し出しって大事だよ・・・・』って言うかっていうとね、この世の中で押し出しはしないで成功した例って、見たことないんだよ」
「え・・・・・・、押し出しをしないで成功した例はない?」
私は頭の中で、あれこれ思いあぐねた。
ええと、押し出しをしないで成功した人っていなかったっけ。
私が無言で考えていると、ひとりさんが話を始めた。
「みっちゃん、例えばね、押し出しって、いろんな方法があるんだよ。
大きな会社になると、でかいビル立てたりするのも、あれも押し出しなんだよね。
銀座にビル建てるのも、一等地に本社を構えるのだって、押し出しなんだよ」
「そうですね、ひとりさん」
ちょっと戸惑いながらも、私はこう聞いた。
「でもひとりさんは、事務所銀座に移したりするような押し出しはしていませんね」
私は素朴な「ゲストルーム」のあちこちを、改めてキョロキョロ眺めた。
私の答えに、ひとりさんはにっこり笑った。
そしてこう言った。
「うん、俺は別の方法でうんと押し出してるからね。
事務所を銀座に移すことは、やらなくてもいいんだよ」
「別の方法で押したてるって、何のことですか?」そう聞きながら、私はあっと思った。
「そうか、一人さんの場合は、斎藤一人っていう名前自体が押し出しなんですよね」
私はようやく気がついた。
ひとりさんほど有名な実業家はいない。
別に芸能人でもないのに、ひとりさんのファンの人は全国に何十万人もいる。
そして、ここだけの話だけど、芸能界でも、一人さんのファンはたくさんいる。
人気のある俳優さんも、タレントさんも、みんなひとりさんに会いたがっている。
こんなにたくさんの人から熱狂的に愛される実業家って、日本で一人さんぐらいなものだろう。
そうか、一人さんの場合は、もうその名前が押し出しになっているんだ。
私は限りなくある押し出しの方法に、ますます興味を引かれていた。
斉藤一人さんのお話を纏めました。
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