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「水素供給体制を先行整備」岩谷産業、牧野明次会長

牧野明次・岩谷産業会長
牧野明次・岩谷産業会長

 70年以上前から水素を扱い、水素ビジネスの先駆けとなってきた岩谷産業。近年は経済産業省が水素ステーションや水素で走る燃料電池車の普及に向けた目標を掲げるほか、民間レベルでもトヨタ自動車やホンダが燃料電池車を販売するなど機運は高まっている。岩谷産業の牧野明次会長に水素ビジネスへの意気込みを聞いた。(中山玲子)

 --政府の後押しもあって「水素エネルギー」は次第に普及しつつある

 「数年前はエネルギーとしての水素はまだ黎(れい)明(めい)期にあった。液化水素は産業用のみで、燃料電池車向けのような民生用はなかった。大きな転換点となったのは、大規模工場の整備によって(それまで主流だった)圧縮水素よりも大量に運搬ができ、純度も高い液化水素が供給できるようになったことだ。産業ガスの供給先であるお客が液化水素に切り替えた」

 --液化水素の需要の高まりに伴う生産体制をどう確保するか

 「平成18年に堺市で液化水素工場を設立して以来、21年には東日本の初の拠点となる千葉県市原市に、25年には山口県周南市にそれぞれ工場を造った。山口県では、今年11月の供給開始を目指して生産能力を2倍に増強しているところだ。燃料電池車が国内で100万〜150万台まで普及しても十分に水素が供給できる体制にする。先行して供給体制を整える」

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