香港では女性は母であると同時に重要な働き手でもあり、女性の活躍は著しいです。そのため、子育てに親やヘルパーさんの手を借りることが社会通念上も制度としても整っています。
ヘルパーさんはフィリピンなどから来ます。政府間で最低賃金などが取り決められており、契約には両政府が介在し、双方の権利を担保しています。
わが家もヘルパーさんのおかげで大変充実した生活を送っています。夫と私は共働きですが、住み込みヘルパーさんが子供たち2人の学校の送迎、朝食や夕食の準備、遊びのプランを立てたり、お稽古事にきちんと連れて行ってくれたり。地域のヘルパーさん同士は仲が良く、他の子供の面倒も見てくれます。
他人に子供を預けることに私も初めは少し躊躇(ちゅうちょ)がありましたが、実家の母に励まされました。「多くの人に触れて愛される機会が増えるのは良いこと。多様な文化への理解も増えるし、社会性が身に付くわよ」
香港の人は非常に子供に優しく、子育てしていても心に余裕が持てます。女性の社会進出と子育てへの理解。この街が活気にあふれているのは、そんなことも関係があるのかもしれません。
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アルテール・エリナさん(39) 東京生まれの東京育ち。外資系ファッション会社でアジア・パシフィック向けのEコマースを担当。フランス人の夫(37)と長男(5)、長女(4)とともに香港に住んで2年半。