中国に「大変失望した」 WHOテドロス事務局長が表明

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長(ロイター)
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長(ロイター)

 【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は5日のジュネーブでの記者会見で、新型コロナウイルスの起源解明に向けた国際調査団に対し、中国が入国を許可していないことを明らかにし、「大変失望した」と表明した。テドロス氏が新型コロナの問題をめぐり、中国の対応を表立って批判するのはまれとみられる。

 WHOは昨年12月、日本を含めた各国の専門家による調査団を今月第1週に中国に派遣すると発表。各団員は今月5日に中国に向けて出発し、中国内で自主隔離期間を経て、新型コロナの震源地となった湖北省武漢市に入る予定だった。

 しかし、テドロス氏は同日の会見で、中国当局が調査団の入国に必要な認可を出していないことがこの日に判明したと発表した。WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏によると、調査団のうち2人は既に出国したが1人は引き返すことになり、1人は経由地にとどまっている。他の団員も自国を出る前に渡航できなくなったという。

 テドロス氏は会見で、「(調査団の派遣)はWHOにとって最優先事項だ」と中国当局に訴えたと発言。「できるだけ早期に調査が開始されることを切望している」と述べた。

 これまで新型コロナの対応をめぐっては、テドロス氏が中国を擁護するかのような発言が目立っていた。

 昨年、感染防止策で中国の初動の遅れを非難する声があがったが、テドロス氏は「WHOは(新型コロナの)発生を制御する中国の能力を確信している」と述べた。

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