スター・ウォーズ生みの親・ルーカス監督が「フォースの覚醒」を批判 ディズニーへの売却を「奴隷業者に売ってしまった…」

「ディズニーは懐古趣味」とルーカス氏

米SF映画の金字塔「スター・ウォーズ(SW)」シリーズの生みの親、ジョージ・ルーカス監督(71)が、自分の手を離れ米ディズニーによって製作されたシリーズ最新作「エピソード7/フォースの覚醒」(J・J・エイブラムス監督)をあからさまに批判したうえ、自分がSWの全権利を米ディズニーに売却したことを「奴隷業者(ホワイト・スレーバーズ)に(SWを)売ってしまった」と嘆いたことで、米娯楽業界が騒然としている。ルーカス監督は「奴隷業者」発言こそ謝罪したが、エピソード7の作風に関してはSWのオールドファンからも非難や不満が出ており、これを機にSW論争に火が付きそうだ。(SANKEI EXPRESS

ディズニーはルーカス氏のアイデアをボツに

「私はSWを単なるSF映画だとは思っていない。SWはメロドラマであり、すべての家族の問題を描いているんだ。ところがディズニーは(SWを)メロドラマではなく、ファンを喜ばせるためのレトロ(懐古趣味)なSF作品にしようとしていた…」

昨年12日31日付の米紙ロサンゼルス・タイムズや英紙デーリー・メール(いずれも電子版)などによると、昨年12月25日、米CBSテレビの朝の報道番組に登場したルーカス監督はこう切り出し、今回、ディズニーが作ったエピソード7が「懐古趣味」をアピールしていることについて「嫌いだ。私が作ったSWは宇宙船も惑星も(前作とは)全く違うものになるよう懸命に努力した」と強調。

さらに、2012年に自身の映画製作会社「ルーカスフィルム」とSWの全権利をディズニーに約40億ドル(約4800億円)で売却した件について、高齢の自分ひとりではSWの物語のけじめが付けられず、もともと計画していた残りの3部作についても完成に10年はかかることから売却を決意したと説明。

しかし売却後、その新3部作の始まりとなるエピソード7については、ディズニーが自分のアイデアを却下するなど、互いの方針が違ったため、SWから手を引き「互いが互いの道を行くことになった」と述懐。

そして「SW全6作は私の子供だ。私が作り、非常に密接に関わり、それを愛している。私はそれを奴隷業者に売ってしまったのだ」と厳しい表現を使って嘆いた。

試写後に発言撤回も…古参ファンの心情を代弁

この発言はたちまち物議を醸したため、ルーカス監督は12月31日付で「試写を見る前の発言で、非常に不穏当かつ不適当な例えを用いたことを謝罪します」と事実上、撤回。「記録的なヒットに舞い上がりそうで、この新作と、エイブラムス監督(49)と(ルーカスフィルムの)キャスリーン・ケネディ社長(62)を誇りに思う」と釈明した。

SWは、1977年に登場した1作目(第4章)を含む旧3部作(第4、5、6章=77年~83年)と新3部作(第1、2、3章=99年~05年)の全6作で構成されてきて、今回のエピソード7は前作から10年ぶりのシリーズ続編となることから、昨年12月18日の公開から12日間で全世界の興行収入が史上最速で10億ドル(約1200億円)を突破するなど空前のヒットを記録している。

しかし、その一方で、古くからのファンや映画マニアからは「エピソード4/新たなる希望」や「エピソード6/ジェダイの帰還」(83年)の焼き直しといった非難や疑問が噴出。12月28日付のロサンゼルス・タイムズにも「想像力を欠く駄作」などと評するコラムも掲載された。

今回のルーカス監督の発言は、表現こそ不穏当だったが、その内容は、まさに古参ファンの気持ちを代弁するものともいえ、全世界で大絶賛されるSW最新作に一石を投じるものとして今後、注目を集めそうだ。

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