SNS(交流サイト)などで楽しめる1話3分弱の「ショートドラマ」が注目されている。縦の画角で、スキマ時間にスマートフォンで手軽に見られる。中国、北米では課金視聴がビジネスとして急成長。日本でもタイムパフォーマンス(タイパ)を重視する若者を中心に関心が高まり、次世代の才能を育てようと制作支援に乗り出す企業も増えている。
「TikTok(ティックトック)トレンド大賞2024」特別賞に選ばれるなど、熱視線を浴びるショートドラマ。この分野の新しい才能を発掘するため始まった「マイナビショードラアワード」は今月16日、俳優、松本まりからを招いて授賞式を開催する。2回目の今年は昨年の倍以上の4千作近い応募があった。
アワードを運営する広告代理店プログレスの長田俊哉社長は次のように話す。
「スマホを使って通勤や休憩のスキマ時間を埋めたい。しかし、ダンス動画では物足りない。そこで共感できたり、泣けたりするドラマが評価されるようになった」
中国では昨年、ショートドラマ市場が1兆円を突破し、映画の興行収入を超えたとする調査報告も報道された。日本は課金へのハードルが高く、収益化が課題になっている。
そこで、ショートドラマの制作支援に乗り出す企業も現れた。通信大手、KDDIは複数の支援策を手掛ける。「AS CREATION PROJECT」はその一つで、昨年、映画大手、松竹の新興企業投資子会社と共同で始めた。
通信大手としてスマホの利用頻度を上げ、動画視聴による通信量の増大をはかる狙いもあるが、KDDIマーケティング本部の古波蔵洋平さんはこう言う。
「ミニシアターの減少などで若手の作品上映機会は減っているが、スマホをその場にしたい。支援で作品の品質をより高められたら」
そんな思いからプロジェクト名には「AS(明日)」という言葉を入れた。
スマホが〝主戦場〟なので縦画面の作品が圧倒的に多いが、ショートドラマ配信アプリ「mov」を提供するmov社のジェイソン・ウォン社長は、横画面の作品にこだわる。香港出身で日本の大学で映画を学んだウォンさん。
「横画面ならテレビ、映画館などマルチスクリーン展開が可能になる」
スキマ時間に一人で楽しむという性格から、不倫や復讐ものが人気を博す傾向があるが、「日本でショートドラマが次の段階に進むためには、より大きなヒット作を出すことが欠かせない」とKDDIの古波蔵さん。関係者の挑戦が続いている。(石井健)