インターネット上に違法アップロードされた民放のテレビ番組に、通常のテレビCMなどを出す大手企業84社の広告が付けられていたことが22日、日本民間放送連盟(民放連)の調査で明らかになった。民放連は昨年11~12月、動画サイトのユーチューブやXなどの交流サイト(SNS)を中心に違法アップロードと広告の状況を調べた。ユーチューブだけでも違法動画によって17億円程度の広告費が流出した可能性があるという。
違法動画や偽情報が掲載された媒体に広告を配信することは、企業ブランドを損なうなど経営リスクにつながるため、総務省は広告主に具体的な対策を求めるガイドラインの策定を目指している。民放連もこうした状況が続けばコンテンツ制作が不可能になるとして実態調査に乗り出した。
ユーチューブでは登録者数1万5000人以上に限っても、少なくとも54チャンネル、5745件の動画に民放番組が違法アップロードされていた。こうした動画に190社の広告が付いており、自動車や食品などの大手メーカーが含まれていた。
X、フェイスブック、ティックトックについても300件ずつサンプル調査を行い、それぞれ2000~6000件の違法動画などを確認。ユーチューブと合わせた全体では約460社が広告を出していた。うち、テレビCMを出す機会も多い「大手広告主」は84社に上った。
民放連の本橋春紀常務理事は「限られた調査期間の中でも、違法動画に多くの広告が流れ込んでいる状況が明らかになった。氷山の一角に過ぎないと考えており、極めて深刻に受け止めている」と述べた。