埼玉県警の50代の男性警察官が、容疑者の男の逃走を阻止しようとした際に高級腕時計が壊れたとして、修理費約70万円とけがの慰謝料など計約360万円の損害賠償を求め、男を相手取りさいたま地裁に民事訴訟を起こしていることが22日、分かった。男の代理人は「捜査中に高級腕時計を着けていたことが落ち度だ」と反論。県警は「個人の問題なのでコメントできない」とするが、県警の警察官らは「聞いたことがない訴訟」と困惑している。
訴状などによると、男性警察官は平成25年11月、埼玉県蓮田市内で公然わいせつ事件の張り込み捜査中に、女子高生に下半身を見せた男を発見し追跡。車で逃げようとしたため、ワイパーをつかみ阻止した。
その際、数十メートルにわたり引きずられ、手や膝にけがを負い外国製高級腕時計が壊れた。男は公務執行妨害の疑いで逮捕され、傷害罪で略式起訴。男性警察官は「けがの跡が残り、精神的ダメージを受けた」として慰謝料250万円、時計の修理代73万6560円など計357万1330円の損害賠償を求めている。