Photographed by Kosumo Hashimoto
結婚してすぐさま、一軒家を建てることに決めた若い夫妻。ハウスメーカーで働く妻・みつきさんに全幅の信頼をおき、住まいづくりのほとんどを任せきった夫・しょうへいさん。
あえて土間を起点にした、ユニークで広々としたリビングダイニングで、ふたりの話を聞きました。
家づくりのきっかけやあらまし、お気に入りの場所やモノについてのインタビュー記事に続いて、居心地のいい空間をつくるヒントやアイデアを伺います。
場所:神奈川県
広さ:116㎡(駐車場抜きで35坪)
間取り:3LDK
住宅形態:一軒家(2階建て)
工事費用(土地代は除く):約3000万円
間取り図:
暮らしのアイデア①
勾配天井で、広く、親密な空間に
オーク材を多用したやわらかな雰囲気の空間に、ピリッと黒を効かせた1階のリビングダイニングとはうってかわっての寝室。
梁があらわしの状態になった勾配天井がそうさせるのか、パレットを使用したカジュアルなベッドがそうさせるのか、どこからか木漏れ日が差し込んできそうな、ロッジのようなコージーな雰囲気です。
「北側の天井を母屋下げする必要があって、でもそうなると天井高が足りなくなるので、なら思い切ってと、勾配天井にしたんです」(みつきさん)
その大胆な転換で、広々としていながらも、ほっこり親密な空間に。また、寝室にエアコンがついていないことも、このロッジを思わせるあたたかみの秘密かも。
「うちは全館空調なんです。2階も1階もつねに同じ温度に保たれて、いつでも快適。ちなみに、1階に土間をつくることができたのもそのおかげ。玄関から土間が仕切りなく続いていても、スースーしないんです」(みつきさん)
暮らしのアイデア②
ちょっとしたときに便利な、土間のハンガーバー
土間は家の南側。それはこの家の間取りをデザインする際にもっとも重視した、リビングよりも日当たりがいい贅沢な場所です。
そんな土間にも、ちょっとした暮らしの工夫が。
「天井部分に、あらかじめ補強材だけは入れておいたんです。いまは、そこに市販のハンガーバーを吊るしています」(みつきさん)
「ちょっとそこまで出かけるときの羽織りをかけておいたり、植物を吊るしたり。友達が遊びにきたときには、まずここにアウターなどをかけてもらっています。便利ですね」(しょうへいさん)
暮らしのアイデア③
そこに、洗面所?
2階には、寝室のほかに2部屋あって、いずれもいまは物置のように使われていますが、“余白”として残してある部屋なのだとか。その部屋と部屋をつなぐ廊下のちょうど真ん中のくぼみには、洗面台。
2階の廊下に洗面台?というちょっとした意外性もさることながら、ステンレスのボウルやシンプルな水栓、ボール型の照明など、空間デザインのこだわりも気になります。
聞けば、その2部屋を狭くしてまで、あえてあつらえたというからなおのこと。
「水洗スポットにはこだわりたかったんです。1階の洗面所はどちらかというと広さを重視したので、こっちはオシャレな感じにしたくて」(みつきさん)
よくよく考えてみると、2階には屋外テラスもあるので、たまに外で食事をしたり、友人たちを招いてバーベキューをしたり、そういうときの手洗い場としてすごく役立ちそう!
暮らしのアイデア④
クロゼットの下に切り込み。そこには…
キッチンのワークトップはセラミック。ステンレスや人工大理石が人気を集めるなか、熱々の鍋なども直接置けて、掃除もしやすいこの素材を実用的な観点から、そしてリビングのアクセントカラーにもなるというデザイン的な観点から選んだのだとか。
高さは、一般より少し高めの90cmで、それは背の高いしょうへいさんに合わせたからでもあるそうですが、「いちばんは、収納が欲しくて」と、みつきさん。
たしかにカウンターの前後にはたっぷりの収納を備え、おまけに奥側の棚はさらに高くなっていて、引出しも5段。床下収納もありました。
収納といえば、土間からダイニングへあがってすぐのところにも、たっぷりと大きなクロゼット。
その一部は、下部がぽっかり切り取られているデザインで、ここは?としゃがんで覗き込むと、“黒い円盤”とバッタリ目が合います。
「ルンバの基地なんです。高さも奥行きも専用で設計したもので、コンセントも完備しています」(みつきさん)
間取りをデザインしたみつきさんの工夫の数々に、しょうへいさんは終始「そうだったんだ……!」「そんな意味があったんだね」と、取材陣ばりに感心しっぱなし。
一緒に暮らすひとでさえ気づかないほどのさりげなさ、生活に自然と馴染む暮らしのアイデアだということが、そのことからも伺えます。
詳しいお部屋のインタビューはこちらから↓