Windows 8のタッチUI用IE10はプラグインに非対応。FlashもSilverlightも使えず

2011年9月16日

Windows 8の最大の特徴は、「Metroスタイル」と呼ばれるタッチUIが提供されることです。そして、Windows 8に搭載予定のInternet Explorer 10には、当然ながらMetroスタイルに対応したモードが追加されます。

タッチUIのMetroスタイルに対応したInternet Explorer 10の画面

Windows 8の開発状況を伝えるマイクロソフトのブログ「Building Windows 8」にポストされた記事「Metro style browsing and plug-in free HTML5」は、MetroスタイルのモードのInternet Explorerが「プラグインフリー」、つまりプラグインに非対応だと説明しています。

Metro style browsing and plug-in free HTML5 - Building Windows 8 - Site Home - MSDN Blogs

マイクロソフトのIEチームリードであるDean Hachamovitch氏は次のように書いています。

the Metro style browser in Windows 8 is as HTML5-only as possible, and plug-in free. The experience that plug-ins provide today is not a good match with Metro style browsing and the modern HTML5 web.

Windows 8でのMetroスタイルブラウザは、可能な限りHTML5のみとなり、プラグインフリーだ。現在のプラグインが提供する体験は、MetroスタイルのブラウジングやモダンなHTML5のWebに適さないものになっている。

つまりWindows 8上のInternet Explorer 10をタッチUIで操作する場合、プラグインとして提供されているFlashにもSilverlightにも対応しない、と見られます。

次の一文からは、プラグインの代わりにHTML5のみ対応する方針が読み取れます。

Running Metro style IE plug-in free improves battery life as well as security, reliability, and privacy for consumers. Plug-ins were important early on in the web’s history. But the web has come a long way since then with HTML5.

MetroスタイルのIEをプラグインフリーにすることで、バッテリー寿命が向上するだけでなく、セキュリティ、信頼性、プライバシなども改善される。Webの歴史の初期には、プラグインは重要な役割を果たした。しかしWebはそこからHTML5で大きく前進した。

Webサイトはプラグインフリーが基本となる

Windows 8には従来のUIを踏襲したデスクトップモードもあり、このモードのInternet Explorer 10ではこれまでどおりプラグインが動作します。また、ChromeやFirefoxなどサードパーティのWebブラウザがMetroスタイルに対応しつつプラグインにも対応すれば、Metroスタイルのブラウジングでもプラグインが利用可能になるかもしれません。

あるいは、マイクロソフトがBUILDカンファレンスで明らかにしたWindows 8のアーキテクチャによると、Metroスタイルの下のレイヤにはWin32 APIや.NETなど従来のAPIがないので、そもそもMetroスタイルでは従来のプラグインが全滅なのかもしれません。

いずれにせよ、マイクロソフトが「Metroスタイルではプラグインに対応しない」と決定したことの影響が非常に大きいことは間違いありません。

現在のタブレット市場を席巻するiPadはFlashにもSilverlightにも対応していません。そしてWindows 8のタッチUIが欠かせないWindowsタブレットでもFlashやSilvelightが対応しないのであれば（Androidタブレットの影響力はあるとしても）、今後多くのWebサイトがプラグインフリーを基本に構築することを真剣に考え始めるでしょう。

また、従来FlashやSilverlightのDRMを利用していた有料動画配信のWebサイトなどは、WindowsタブレットのタッチUI下でどのように動画配信サービスを実現するのかについて考え直さなければならなくなりそうです。

そしてもちろんマイクロソフト自身がSilverlightをどう位置づけるのか、Windows 8のMetroスタイルからSilverlightは取り残されたままなのか、あらためてデベロッパーに説明する必要が生じています。このことはマイクロソフト自身もよくわかっているとは思いますが。