世界18億人に洪水リスク 世銀分析、日本は3600万人
「100年に1度」レベルの洪水が起きると浸水が15センチを超える恐れがある地域に、世界で約18億人が暮らしているとの分析を世界銀行などのチームが6日までにまとめた。このうち約16億人は低中所得国に集中しており「悲惨な影響を及ぼす」と警告した。日本でも約3600万人がこうした洪水のリスクにさらされているという。
15センチの浸水でも経済活動や暮らしに混乱が生じるほか、洪水リスクに直面する人口は「将来、気候変動の影響でさらに増える」と予測し、対策が急務だと訴えた。
日本を含む188カ国を対象にした研究。降雨や雪解け水による河川氾濫、高潮、高波などによる洪水リスクがある地域の人口を算出、貧困度合いを加味して分析した。
世界の人口の23%に当たる約18億1千万人が暮らす場所は、100年に1度の規模の洪水により15センチ超の浸水に見舞われると推定。約10億6千万人には50センチ以上の浸水被害リスクがあるとした。
15センチの浸水で見ると、国別では中国とインドでそれぞれ約3億9千万人が暮らし、次いでバングラデシュが約9千万人などと上位をアジアが占めた。日本は約3600万人で10位だった。上位の国は「主要な河川や海の沿岸地域に人口が集中している」と指摘した。
チームによると、洪水を防ぐ構造物が十分な地域は被害が推定より小さくなるものの、リスクに直面する人の89%は低中所得国に居住する。このうち約1億7千万人は1日1.9ドル未満での生活を強いられる極度の貧困状態に置かれている。1日5.5ドルで区切ると約7億8千万人に及ぶ。所得が低い国は、被災後に速やかな政府の支援が期待できる日本などとは状況が異なるとも強調した。〔共同〕