スマート農業普及へ新法決定、生産者らへの融資・税優遇
政府は8日、人工知能(AI)やドローン(無人機)といった技術を使った「スマート農業」の普及に向けた新法を閣議決定した。機器を導入したい生産者や技術を研究する開発者を融資や税で優遇する。漁獲管理を厳格にする改正法案なども決めた。
今後20年間で農業従事者が4分の1程度にまで減るとの見込みがあり、生産性を高めるスマート農業の活用が欠かせないと政府はみている。
農相が生産者らの計画を認定する。生産者は収穫見込みや資金、調達予定の機器などを計画に盛り込む。農産品を活用する食品事業者なども参加できる。
開発に意欲のある農機メーカー、学術機関なども認定の対象にする。今後、農林水産省が重点分野を明示する。生産者の労働負担が大きく、実用化が進んでいない収穫、選別、出荷などを念頭に置く。
認定を受けた事業者は日本政策金融公庫の長期低利融資が使えるようになる。機器や関連設備の導入への税優遇も設ける。起業などに伴う登録免許税も軽減する。ドローンの飛行許可などの手続きも簡素化する。
農政の基本指針を定めた「食料・農業・農村基本法」の改正案では、生産性や付加価値の向上を通じた農業の持続的発展を柱の一つとして据えた。坂本哲志農相は同日の記者会見で「(新法は)施策を具体化するものだ」と述べた。