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USTR代表にグリア氏、第1次トランプ政権で対日交渉経験

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【ワシントン=八十島綾平】トランプ次期米大統領は26日、米通商代表部(USTR)代表にジェミソン・グリア元USTR首席補佐官を起用すると発表した。中国との貿易関連の協議を担当する。第1次トランプ政権では、中国や日本との貿易交渉でも最前線に立った経験がある。

グリア氏は通商法などを専門とする弁護士で、現在は民間の法律事務所に所属している。

第1次政権では、ライトハイザー元代表の側近として中国などとの交渉のキーマンになった。日米貿易交渉でも、日本側のガードが最も堅い農業分野を中心に交渉全体に目配りし、日本政府側からの信頼も厚かった。

トランプ氏は25日に中国のほぼ全ての輸入品に10%の追加関税をかけると発表したばかりで、USTRはその実行部隊となる。

関税引き上げ、74年通商法122条を活用か

グリア氏はトランプ氏が掲げる関税引き上げについて、国際収支問題を扱う1974年通商法122条を法的根拠にすれば、議会の承認なく大統領権限で実施できるとの立場を取る。

同条項は、貿易収支で巨額赤字が発生した時に150日間限定で最大15%の関税を大統領権限で発動できる仕組み。

議会の承認があれば延長も可能だ。第2次トランプ政権は、米上下両院の過半数と大統領を共和党が占める「トリプルレッド」の状態になるため、延長も確実にできる見通し。

対中政策は「より強硬に」

グリア氏は今年5月の連邦議会諮問委員会での証言で、対中通商政策について「強力な措置を取ることが、米国の経済と国家安全保障を守るために不可欠だ」として強硬路線を支持している。

中国の「恒久的最恵国待遇(PNTR)」を取り消し、ほかの世界貿易機関(WTO)加盟国と同等の貿易優遇措置を停止して新たな対中関税を設けるべきだと提言した。今月19日に、諮問委員会は議会にPNTR取り消しを勧告した。

グリア氏は対中競争力を上げるため、CHIPS・科学法による補助金支給を半導体だけでなく医薬品や自動車などにも拡大するべきだという考えも示した。対中輸出規制もより拡大するよう提言した。

第1次トランプ政権が発動させた対中関税について、グリア氏は「米国の中国への依存度を下げることができた」と評価している。

関税引き上げは「インフレには大きな影響を与えなかった」と分析。企業が中国外に生産拠点を移し、米国に迂回輸出する動きが一定程度はあったとの見方を示すものの「現状維持よりはましだった」とする。

中国の過剰生産能力問題には厳しい見方を示しており、バイデン米政権がトランプ時代の対中関税をさらに引き上げたことにも肯定的。関税引き上げだけでなく、投資規制の強化など一連の対中強硬策によって「米国経済の回復力は強化され、国内生産も促した」としている。

トランプ氏は「日本との貿易赤字解消望む」

日本との関係について、グリア氏は今年2月の日本経済新聞とのインタビューで、トランプ氏が「貿易赤字をなくしたいという非常に強い願望がある」と指摘した。

日本には農業分野で貿易障壁が残っているとして、第2次トランプ政権の任期中に解決されるべきだとの考えを示している。

米国側はジャガイモなどの農産物の輸出拡大を目指しているが、日本側は食料自給の確保の観点などから国内農家を保護してきた。米国が日本に農産品の受け入れ拡大を求めることになれば、日本政府側は難しい国内調整を迫られる可能性がある。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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