浜ホト、科学計測用カメラ 量子研究に活用期待
浜松ホトニクスは10日、記録画像の乱れにつながる電気的なノイズを従来製品の約3分の1に抑えた科学計測用カメラを20日に発売すると発表した。光の最小単位である光子の数や位置を2次元の画像として捉えることを世界で初めて実現した。量子コンピューターといった量子技術の研究開発などへの応用が期待される。
製品名は「オルカ-クエスト qCMOSカメラ C15550-20UP」。独自の設計技術や微細な半導体の製造技術を応用し、低ノイズで高画素なCMOS(相補性金属酸化膜半導体)画像センサーを開発して採用した。独自の信号処理技術などで画像処理のためセンサーから読み出す信号の誤差を抑え、カメラの低ノイズ化を実現した。
イオンや中性原子など量子から出る光の量を正確に観察でき、量子コンピューターでは演算ミスの改善などの研究開発が進むと期待される。極めて微弱な光の現象を広い視野で捉えられることから、天文分野で未知の天体を発見するのに使うといった応用も見込まれるという。価格は517万円。3年後に年500台の販売をめざす。
科学計測用カメラを中心とする画像計測機器事業で新たな主力製品になると期待している。画像計測機器を手掛ける常光製作所(浜松市)で生産し、同製作所に2022年6月完成予定の新工場棟で増産する予定だ。
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