カルフール、インド撤退 新政権が外資進出反対
【ムンバイ=堀田隆文、ジュネーブ=原克彦】インドで流通を手掛ける世界企業が苦戦している。仏カルフールは7日、インドでの卸売事業から撤退すると発表した。5月にインドで発足したモディ政権は積極的な外資誘致を目指すとしつつも、複数ブランドの商品を扱う総合小売業の外資参入には反対している。インド市場開拓を目指す世界企業にとって厳しい環境は変わっていない。
カルフールは2010年にキャッシュ・アンド・キャリー(現金支払い方式の卸売店)という業態でインドに進出した。現在、同国内に5店を持つが、9月末までに店舗を閉め撤退する。
インド政府は12年に外資が総合小売り分野で自国に参入できる規制緩和を実施した。カルフールや米ウォルマート・ストアーズなどはこれに先立ち、規制緩和が早かった卸売業で同国に参入し、小売り進出への布石を打った。カルフールの今回の撤退はこの青写真が崩れたことを意味する。
背景には、外資の総合小売り参入に対するモディ新政権による反対姿勢がある。国内の零細商店の反対が根強いスーパーなどの外資参入には選挙前から反対してきた。
各社は新政権の政策を見守る構えだ。ウォルマートはインドの卸売業でネット通販を7月に始め、卸売業を拡大することで将来的な総合小売り参入に備える。独メトロもインドで卸売店舗数を現在の3倍超の50店に増やす計画を5月に明らかにした。英テスコは政権交代前に決めた小売業への進出計画を維持する。