戦術核の再配置、韓国から要請なら応諾 米政府高官
【ソウル=尾島島雄】韓国紙の中央日報(電子版)は28日、米政府高官が「韓国側から戦術核の再配備が公式に要求されれば、米政府は応じる」と述べたと報じた。韓国には現在、核兵器は存在しないとされるが、ここにきて再配備論も聞かれるようになっている。米政府高官の発言は米韓がそろって再配備への容認姿勢を示して北朝鮮への核放棄圧力を強める狙いがあるとみられる。
戦術核は敵軍の部隊や陣地などの軍事目標を打撃するもので、都市や工業地帯を狙う戦略核兵器とは区別される。同紙の取材に同高官は「米国は朝鮮半島近隣の(現在の)戦力で韓国を十分に防御できる。戦術核の再配置は象徴的、政治的な意味になる」と指摘。ただ「韓国政府が再配置を決定する可能性は低いとみている」とも述べた。
戦術核の再配備を巡っては、延坪島(ヨンピョンド)砲撃前日の昨年11月22日、当時の金泰栄(キム・テヨン)韓国国防相が国会答弁で、米国の戦術核を韓国に再配備することを「検討してみる」と発言。北朝鮮のウラン濃縮活動をけん制したものと受け止められていた。鄭夢準(チョン・モンジュン)元ハンナラ党代表も再配備論を主張している。
韓国では1991年まで西部群山にある米軍基地などに核兵器が配置されていたといわれるが、91年11月に当時の盧泰愚(ノ・テウ)大統領が「朝鮮半島の非核化」を宣言。12月には「この瞬間、我々の国のどこにも核兵器は一つも存在しない」と言明した。