イラン制裁で安保理が会合 強化求める声相次ぐ
【ニューヨーク=杉本晶子】国連安全保障理事会は10日、核関連活動を続けるイランへの制裁実施状況を報告する定例会合を開いた。安保理の下にあるイラン制裁委員会が、決議の禁じている武器輸出の摘発例などを報告。理事国からは決議違反を続けていることへの懸念や、資産凍結など制裁を科す個人や企業の対象拡大を求める声が相次いだ。
制裁委の議長を務める日本の西田恒夫国連大使が、直近3カ月間の状況を説明。イランを出発した船から違法な武器を摘発した例や、爆発物を積んだ貨物がイラン発シリア行きの船から見つかった事例を報告した。
理事国からは「武器輸出は言語道断の決議違反。(個人や企業の制裁リストに)追加を検討するよう促す」(英国のグラント国連大使)、「国際社会からイランへの圧力を加え続けなければならない」(米国のライス国連大使)など制裁強化を訴える声が目立った。
会合後、西田大使は記者団に「(このほど発足した)専門家パネルが(決議違反などの)報告を精査し、とるべき措置をしっかり検討する」と語った。イラン制裁決議は過去に4つ採択ずみ。国連加盟国(192カ国)に報告書提出を求めているが、いずれの決議でも提出は100カ国を下回り、西田大使は「提出が低水準にとどまっているのは残念」とも述べた。