iPSで世界初の臨床研究、8月1日開始 理研など
目の網膜を再生
理化学研究所と先端医療センター病院(神戸市)は30日、神戸市内で記者会見し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って目の網膜を再生する臨床研究を8月1日から始めると発表した。iPS細胞を用いる臨床研究は世界初。
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理研などは2月、厚生労働省に実施計画を申請。安全性や倫理面で問題がないかの審査を経て、田村憲久厚労相が今月19日に正式に了承した。
会見では、担当する理研の高橋政代プロジェクトリーダーらが、患者の選定条件や実施に当たっての注意事項など今後の進め方を説明。高橋氏はこれまで「実際の治療は1年後くらいだろう」としており、移植は早ければ来年夏にも行われる見通しだ。
臨床研究では、高橋氏らが中心となり、目の網膜が傷み、視野がゆがんだり、視力が急激に落ちたりする難病「滲出型加齢黄斑変性」の患者から採取した皮膚組織を使ってiPS細胞を作り、網膜色素上皮細胞に変化させてシート状にし、傷んだ部分に移植する。シート作製には10カ月ほどかかるという。
対象患者は6人で、手術や細胞の安全性を確かめるのが主な目的。がんを作るような変化が遺伝子に起きていないかなどを調べる。
理研は網膜色素上皮細胞の作製を担当し、先端医療センター病院は患者への移植や検査を行う。〔共同〕