外環道都内区間の発注手続き開始、五輪でインフラ整備加速

首都圏の道路交通で骨格となる3環状道路――。2020年夏期の五輪開催決定が追い風となり、整備終盤の動きが加速し始めた。
東日本高速道路会社と中日本高速道路会社はそれぞれ2013年11月29日、東京外かく環状道路(外環道)の都内区間で本線となる大断面シールドトンネルの建設工事の発注手続きに着手。同日、入札を公告した。
対象区間は、練馬区にある関越自動車道の大泉ジャンクション(JCT)から、東名高速道路のJCTに至る延長16.2km。北行きと南行きのトンネル本体2本を40m以深の大深度地下に構築する工事だ。工期は契約締結日から5~6年の見通し。

外環道の同区間は国土交通省関東地方整備局が両社と協同で事業を進めており、トンネル本体工事は中日本が北行きを、東日本が南行きを建設する。北行き・南行きともに井の頭通り付近を境に、大泉JCTからの約7kmと東名JCTからの約9kmに分割し、合計4件の工事となる。
トンネル本体とともに、それぞれ8カ所の横連絡坑と1カ所の地中接合部の構築工事を含む。4件の工事とも、一般競争入札における技術開発・工事一括型(A型)の総合評価落札方式で発注する。開札日は2014年3月中旬~4月初旬の予定。この区間では既に先行して、シールド機の発進たて坑工事も準備が進んでいる。

3環状は五輪までに整備率9割に引き上げ
3環状のうち、首都高速道路の中央環状線は2014年度に全通予定。東京都と首都高速道路会社が共同で事業を進める品川線の延長9.4kmが2014年度末に開通し、約47kmの環状道路がつながる見込みだ。

外環道は2015年度に東側の三郷南JCT-高谷JCT間(15.6km)が開通の予定。大泉JCT-東名JCTがつながれば、残るは東名以南のみとなる。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)も、2015年度までに大部分の区間が開通する見込みだ。東京都が国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルによると、五輪開催までに3環状の整備率を9割に引き上げるとしている。
こうした幹線道路に加えて鉄道、空港といった交通分野を中心に、五輪開催の決定を受けて首都圏インフラの将来像に注目が集まっている。「7年後」にとどまらず、防災や景観といった分野も含めて、さらに先を見据えた議論が本格化し始めた。
複雑に膨張した首都圏という舞台で、"都市力"を上げるには、ハードとソフトの両面で知恵を絞る必要があるだろう。
(日経コンストラクション 下田健太郎・森下慎一)
[ケンプラッツ 2013年12月3日掲載]