米国の感染者、中国抜き最多 世界50万人が新型コロナ感染
【ニューヨーク=高橋そら、パリ=白石透冴】米国の新型コロナウイルスの感染者数が26日、中国を上回り、世界最多となった。人口密度の高いニューヨーク州を中心に感染が急拡大している。世界の感染者数は50万人を超え、死者は2万人を突破した。比較的拡大を抑えてきた日本でも爆発的な感染のおそれが出てきたとの見方がある。
パンデミック(世界的流行)の震源地は中国から欧州、そして米国へとシフトしている。米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、米国の感染者は8万3507人で、これまで最多だった中国(8万1782人)やイタリア(8万589人)を上回った。特にニューヨーク州の感染者が突出しており、病床や人工呼吸器など医療機器の不足に懸念が強まっている。
全米の死者数は1千人を突破した。ニューヨーク州のクオモ知事は26日の記者会見で、感染拡大が「現在の医療システムの対応能力を超える」と危機感を強めた。医療機器や病床、医療関係者の不足が深刻化している。緊急措置として1台の人工呼吸器を2人の患者で使用できるようにしたほか、数千台の麻酔器を人工呼吸器に変換する作業にも取り組んでいる。病院側も「緊急の手術以外は全てキャンセルし、病床の確保を急いでいる」(ニューヨーク州の病院に勤める医師)という。
感染者は世界で50万人を超えた。欧米を中心に南米・中東・東南アジアでも広がり、世界の20億人以上が外出制限の対象となっている。死者は2万3千人を超え、スペインとイタリアでは1日に600人以上が亡くなる日がある。比較的拡大を抑えてきた日本でも、想定以上に感染者が増え始めている。
感染を調べる検査が進んでいるという背景もあるが、感染拡大の中心は欧米先進国だ。米カリフォルニア州、英仏、インドなどでは買い物などを除く外出を禁じる措置をとっている。
スペインでは過去24時間に655人がなくなり、26日時点の死者数が4千人を超えた。中国の死者数をすでに抜いておりイタリアに次いで世界で2番目に多い。理由は明確ではないが、外出制限を発表した14日というタイミングが遅すぎたとの指摘がある。
首都マドリードで最も感染者が見つかっているが、北東部カタルーニャなど広い範囲で死者が出ている。現地紙パイスは「イタリアよりもウイルスが速く、広く拡散している」と指摘した。
イタリアの死者数は世界で最も多く26日時点で8200人を超えた。医療機関で人工呼吸器などの設備が不足しており、死者数は増え続けている。ただ、伊当局は全107県のうち、57県は感染拡大のピークは終わったとみている。政府が10日に伊全土に出した外出制限令の効果が注目されている。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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