人体から宇宙まで 19年のびっくり科学ニュース10選
2019年後半を振り返る第2弾の今回は、自然科学分野のニュースの人気記事ベスト10をご紹介しましょう。
第1位 ファストフードから「永遠の化学物質」 人体に蓄積?
第1位は食に関する記事でした。ファストフードといっても問題になっているのは、その包み紙のほうです。包み紙に塗布される化学物質は、体に取り込まれると外に出ていきにくいことが研究で分かりました。食塩や飲料水など、口にするものにマイクロプラスチックが混入しているという記事も過去に紹介していますが、やはり体内に入るものの健康への影響は気になりますね。
第2位 77億人超の炭素を保持 地下深くに巨大な生態系発見
米誌タイムの今年の人にグレタ・トゥンベリさんが選ばれました。地球温暖化をどうやって止めるのかは、地球に暮らす私達に与えられた大きな課題です。温室効果ガスの一つであるCO2(二酸化炭素)を減らすには、植物に取り込んでもらうことを思い浮かべます。実は炭素を封じ込めているのは、地上の森林だけではありません。地下の生態系には、世界人口をはるかに超える炭素を保持する生態系があるというのです。この記事は、ほかにも地下深くに関する興味深い事実が紹介していますので、そちらも注目です。
第3位 殺虫剤で蚊が繁栄 予期せぬ副作用、不都合な真実
最近、抗生剤が効かない耐性菌の存在が話題になりました。実は似たような話が蚊にも起こりつつあります。農園で殺虫剤が利用されることで、蚊が繁栄しているというのです。蚊は水の中で育ちます。幼虫の天敵がトンボの幼虫です。ところが、農園から流れ出た殺虫剤の成分は、蚊の幼虫には効かず、天敵であるトンボの幼虫を殺してしまうといいます。策はあるのでしょうか?
第4位 巨大ブラックホール、一般相対論を証明 天の川銀河で
19年4月、人類は初めてブラックホールを画像で見ることができました。世界中の天文学者が協力して成し遂げた偉業です。ブラックホールに関係するニュースは、1年を通じて人気がありました。第9位にもブラックホールに関連する記事が入りました。
第5位 世界を20分駆け巡った謎の地震 ついに原因が解明
世にも奇妙な地震ミステリーが、読者の関心を集めました。18年11月に、世界中を20分揺らし続けた謎の地震がありました。この地震は、周期があまりに長いため、揺れを感じた人はいませんでした。そして、震源がどこなのかも、当時は特定できませんでした。ようやく今年に入って、科学者たちを悩ませた地震の正体が判明したのです。
第6位 人は年間何万ものプラスチック片を摂取 ボトル水にも
第1位の「永遠の化学物質」同様、私たちの健康に関係する可能性がある話題です。海洋プラスチック汚染がニュースで取り上げることが増えましたが、私たちが日頃食べている食品に既にマイクロプラスチックが入っており、その量は計算上、数万あってもおかしくないといいます。そして空気中のほこりにまで、マイクロプラスチックが含まれていることが指摘されています。
第7位以降の記事も、宇宙に関する記事が人気でした。19年は宇宙イヤーだったのかもしれませんね。
第7位 月の裏側の地下に謎の超巨大物体 盆地形成に関係?
第8位 9億年前のブラックホールと中性子星合体 宇宙に反響
第9位 克明に分かった恐竜最後の日 小惑星衝突の一部始終
第10位 星間物質は摂氏3万度 ボイジャーが太陽圏越え観測
あなたが読んだ記事はラインクインしていたでしょうか? 2020年は、どんな科学ニュースが登場するか楽しみです。私たちの暮らしをより良く変える研究成果を期待したいと思います。今年もありがとうございました。20年もナショナル ジオグラフィック日本版にご期待ください。
(編集部、日経ナショナル ジオグラフィック社)
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